八段合格者の手記 令和元年11月28日・29日審査合格者|審査当日の心境と審査に向けて積み重ねた稽古

インタビュー

恒例の八段合格者手記。令和元年11月28日〜29日に東京都八王子市・エスフォルタアリーナ八王子で行なわれた剣道八段審査は、従来よりもさらに狭き門となり、1880名が受審して合格者はわずか7名(合格率0.37%)という結果となった。
その中で見事合格を手にした剣士に、審査当日の立合について、そして積み重ねてきた稽古について、手記をお願いした。(年齢は審査当日)

 

城田 雅幸 (しろた まさゆき)

埼玉・54歳

プロフィール

【生年】1965年2月
【出身地】群馬県高崎市
【始めた時期】小学校1年生
【始めた場所】錬心館中島道場
【経歴】東京農業大学第二高校→中京大学体育学部武道学科
【現職】尚美学園大学客員教授・剣道部監督
【薫陶を受けた師】
中島義孝範士(故人)、岩立三郎範士、林邦夫範士
【大会での戦歴】
全日本剣道選手権大会出場
全日本都道府県対抗優勝大会出場4回
全日本東西対抗大会出場
全国教職員大会出場7回/優勝1回、3位1回
国民体育大会出場10回
全日本学生選手権大会・優勝大会出場
全日本学生剣道東西対抗試合出場
インターハイ出場2回

稽古では基本動作と間合を確認。イメージトレーニングも実践し体調を整えて臨んだ

■体調コントロールに気を配って

審査を受け始めてから9年17回目でしたが、最初の数回はあまり意識せず勢いのまま無我夢中で審査に臨んでいました。もう一歩の時もありました。しかし、年数がたち、回数が増えるごとにいろいろなことを意識したり考え始めてしまい、自分自身で分からなくなってしまったこともありました。急激な体重制限やトレーニングを行なったり、審査前になると不安になりオーバーワークになったりもしました。なので今回は審査3か月前から体重コントロールを始め、トレーニングも以前より抑えて実施しました。その結果体力的にも精神的にも過度なストレスを感じることなく体調コントロールができたと思います。

さらに今回は審査合格者のビデオを何度も繰り返し見たり、八段合格者の言葉を参考にしてイメージトレーニングや実践練習を行ないました。その結果、今回の審査では前回までのような極度の緊張感もなく、さらには変なこだわりも持たずに、自然体で審査に臨めたように思います。

■下半身、左手からの始動と間合の確認

稽古については非常に恵まれた環境の中で取り組むことができました。

まず第一に10年前に尚美学園大学に着任し、そこで師範の岩立三郎先生に師事することができたことです。常に的確なアドバイスで私の剣道を否定することは一切なく、悪いところだけを指摘し、その後の練習方法を指導していただきました。

二番目は毎日学生と稽古をすることができたことです。まずは学生との根気比べで、当たり前のことですが、練習を休まないことでした。「面をつける回数で力はついてくる」ということの実践から始めました。朝練習では基本練習と打ち込み稽古、午後の練習では地稽古を中心に(審査前は技練習)練習しました。

三番目には、週に一度月曜日に地域の先生方が来て稽古をする機会があります(尚美会)。そこで八段の先生方をはじめ、いろいろな先生方にかかる稽古ができました。さらに月に一度大学の剣道場を開放して、だれでも参加できる稽古会を実施しています。そこでもたくさんの先生方とお願いできる機会がありました。普段は学生指導で出稽古に行けませんが、その分上記のような環境でたくさんの先生方にご指導いただくことができました。

稽古で意識し、実践したことは、基本動作の確認と癖の克服でした。幼少時に正しい基本を習得したはずでしたが、いつの間にかいろいろな悪い癖がつき、打突部位を刃筋正しく打ち切る剣道ができておらず、いわゆる当てに行く剣道になってしまい、正しい打突ができていませんでした。そこで練習では下半身からの始動、左足の引き付け、左手からの始動を心掛け、打ち切る練習を意識しました。特に始動する瞬間に右手に力が入り、それが起こり(兆し)となることを常日頃より岩立師範に指導を受けていたので注意し練習しました。

もう一点は間合の問題でした。触刃の間合から交刃の間合まで我慢することができずに、早打ちになってしまい、相手に簡単に返されたり、乗られたりすることが多かったことです。自分自身では打ち間だと勘違いし、引き出されていることも多くありました。そこで、本来の交刃の間合よりもやや近くなるまで我慢し、仕掛け技や応じ技の練習を繰り返しました。その練習のおかげで以前よりも早打ちが少なくなり、我慢することができ、溜めをつくることができたのかもしれません。

 

 

勝野 伸太郎 (かつの しんたろう)

愛知・51歳

プロフィール

【生年】1968年1月
【出身地】愛知県名古屋市
【始めた時期】小学校2年生
【始めた場所】一心寺剣光会
【経歴】同朋高校→大阪体育大学
【現職】愛知県警察警察官・逮捕術師範
【薫陶を受けた師】
大嶽將文先生、作道正夫先生、神崎浩先生
【大会での戦歴】
全日本選手権大会出場2回
国民体育大会出場4回
全国警察大会出場10回
全国警察選手権大会出場5回

「お互いの良いところを見せ合いなさい」の教えを守り、相手との調和を大切に

このたび、10回目の挑戦で合格をいただきました。節目の受審でもあったため、結果を恐れず、思い切り打ち込むと同時に、勝手に技を出すことなく、相手との調和を大切にすることを意識しました。

県内の講習会で範士の先生が、
「お互いの良いところを見せ合いなさい。二人とも合格するような気持ちが大切です」
とおっしゃいました。過去9回の立合は、「打ちたい」という気持ちのみが先行し、勝手な剣道をしてしまった感があります。左足に意識を置いて、相手との調和を図り、無理な技を出さないことを念頭に置いて稽古に臨んだことが、合格をいただけた大きな要因であったと思っています。

今回の合格は、ご指導をいただいた先生方、剣友の皆様のおかげと心より感謝いたしております。今後も謙虚な気持ちを大切にし、努力精進を続けていきたいと思っております。

 

 

中尾 真吾 (なかお しんご)

大阪・48歳

プロフィール

【生年】1971年10月
【出身地】宮崎県日南市
【始めた時期】小学校1年生
【始めた場所】思誠館道場
【経歴】高千穂高校→大阪体育大学→大阪府警察
【現職】大阪府警察第一機動隊剣道師範
【薫陶を受けた師】
石井隆年先生、吉本政美先生(故人)、作道正夫先生、神崎浩先生
【大会での戦歴】
全日本選手権大会出場
全日本東西対抗大会出場
全国警察大会優勝2回、2位3回、3位2回
国民体育大会出場5回/優勝1回

審査では技よりも、覚悟、気持ちの充実を心がけた

■最初の受審で学んだことを意識し、「我慢」を心がけた

令和元年11月28日、東京八段審査におきまして合格させていただきました。

これもひとえに、これまでご指導いただいた諸先生方、先輩、同僚、後輩、そして日々新鮮な気持ちを与え続けてくれた関目剣友会の子どもたち、その他たくさんの関係者の皆様方のおかげと、心より感謝申し上げます。

今回の審査に向けて、大きく二つのことを意識し実践してまいりました。

まず一つは、前回初めて受審した京都審査での学びです。一次審査で不合格、漠然とした気持ちの中で二次審査の最後まで見届けることにしました。その時に感じたのは、合格された先生方の立合での「品格と重み」、立合に向かうまでの「立ち振る舞い」「姿勢」「気持ちの充実」「所作」等において、私自身にない内側から滲み出てくる何ともいえない「雰囲気」を痛感し、その凛とした「後ろ姿」に、普段の厳しい稽古と日常生活での厳しい姿勢態度を垣間見ることができました。この時感じたすべての思い、形に現われない大切なものを、稽古や道場外での日常生活の中で意識するように心がけました。

二つ目は「我慢」です。初めての審査では「打ってやる」「打たなければ」という強い思いが先立ち、力とスピードで相手を打つことだけしか頭にありませんでした。そこで、稽古の中で「我慢」するために、三つのポイントを意識しました。

 ①無理な攻めをしない
 ②無駄打ちをしない
 ③打突の機会を打つ

「無理な攻めをしない」という点については、相手をよく「観察」し、「攻め合い」を大切にし、触刃、交刃の中で相手の攻めに対して慌てる気持ちを抑え、そこで打ちを出さずに「攻め返す」ように意識して稽古しました。そのことで、それまで一足一刀の間合に入ると勝手に「攻めた」「打突の機会だ」と勘違いして簡単に技を出していたのが、形として改善できたように思います。

「無駄打ちをしない」という点については、いつでも打突できる「構え」「体勢」「気力の充実」を作り、相手の技のすべてに合わせられる技出しと、技を出さない中でも「縁」を切らない稽古を心がけました。

「打突の機会を打つ」という点については、まずは打突機会を判断できる肚を作り、機会と判断したら、しっかりと打ち切る一拍子の打突を心がけました。気持ちでは分かっていても、「瞬時の判断」「勇気」「一拍子の打突」などは、打ち切ることを意識してもなかなか難しいものがありました。逆に稽古で打たれることで「機会」と「判断」の感覚と自分のズレを教えられ、打たれることで少しずつ打突の機会が分かるようになりました。

■子どもとの稽古でも合気になることを意識して

また、今回の合格に大きな要因として力をいただいたのは、恵まれた環境です。

現在、平成31年3月より大阪府警第一機動隊で勤務させていただいています。日頃は、機動隊隊員に対する術科指導を主に、府警本部特練員との稽古、週三回(月・水・木)の少年剣道指導と、剣道に向き合えるこの環境に本当に感謝しています。

少年剣道の子どもたちから、剣道に対する純粋な気持ち、取り組む姿勢態度、思いやり等々たくさんのことを学ばせてもらっています。子どもと稽古する時に意識しているのは、子どもと合気になること。自分だけがいいところを打とうと思わずに引き出してやる。力任せに打っても、それでは独創的な稽古になってしまいます。自利自他の精神で気を合わせて、自分の剣道や気持ちを子どもたちに感じてもらえる稽古を心がけています。

子どもから大人までさまざまなレベルの相手と稽古ができる、素晴らしい環境と時間は大きな力となり心の支えになりました。

最後になりますが、審査では、気負う気持ちを抑えながら平常心で覚悟を決めて挑みました。本当に合格できましたのは、多くの諸先生方、皆様方のおかげだと心から感謝しています。そして、家族の大きな支えが未熟な自分の背中を押してくれたことにも感謝をし、これからも感謝の気持ちを忘れることなく、謙虚に、真摯に、恩師の教えを守り稽古に精進してまいります。

 

 

林 満章 (はやし みちあき)

北海道・60歳

プロフィール

【生年】1959年8月
【出身地】北海道足寄町
【始めた時期】小学校4年生
【始めた場所】足寄町剣道連盟
【経歴】足寄高校→東海大学体育学部武道学科
【現職】札幌東豊高等学校校長
【薫陶を受けた師】
少年時代……足寄町剣道連盟・安久津義人先生(故人)、前谷信正先生(故人)
高校時代……古賀勝男先生
大学時代……井上正孝先生(故人)、橋本明雄先生(故人)
社会人……山城宏惟先生
【大会での戦歴】
国民体育大会出場4回
全国教職員大会出場6回
東北・北海道対抗大会出場13回

審査日までに「100回稽古」を達成。「打ち切る稽古は嘘をつかない」

今年の目標を「100回稽古」とした。1月5日から始まり11月26日に「100回」達成。「稽古は嘘をつかない」と自己暗示をかけて審査に臨んだ。

審査会場に入り、自分自身のために行動することを心がけた。大学同期・同郷・友人等々との会話も極力控え、他の審査状況を見ることも控えた。その結果、自分自身のために集中して審査に挑めた。これが合格に繋がった。

「自分を信じ、打ち切る稽古は嘘をつかない」そう実感している。

実技において具体的には次のような点を心がけた。

◯攻める、崩す、仕掛ける。待ってはダメ。攻撃の姿勢を常に持つこと。
◯初太刀の入り方。触刃から交刃へ「一の攻め」「二の攻め」を意識した。
◯発声。「相手より長く、大きな声で」を実践。
◯足さばき。勢いがある抜けを実行。これが「打ち切る・捨て切る技」へと繋がった。
◯「我慢」。打ってはいけないときには打たない。無駄打ちをなくすこと。

自己評価は……今回の審査、自分に甘いですが、一次も二次も「満点・満点」です。

合格につながった稽古としては、次のようなものが挙げられる。

◯素振りと基本稽古(基本打ち)の実践。
◯鎬を意識した返し胴の実践。
◯足さばきの実践(特に打ち込んだ後の勢いを殺さず、抜け切り、次に繋げる足)
◯「打つ」を表現すること。
◯掛かる稽古の実践。
◯残心……打ち切った後の決め(立合でなく試合[勝負]の意識)。

 

 

大久保 和彦 (おおくぼ かずひこ)

神奈川・68歳

プロフィール

【生年】1951年10月
【出身地】岩手県宮古市
【始めた時期】中学校2年生
【始めた場所】小国中学校
【経歴】遠野高校→神奈川県警察
【現職】無職 神奈川県剣道連盟常任理事
【薫陶を受けた師】
菅崎吉雄先生(岩手)、駒井元先生(故人・岩手)
【大会での戦歴】
全日本選手権大会出場2回/3位1回
日光剣道大会団体3位1回
国民体育大会出場2回/3位1回

稽古の前に必ず打ち込みを行なうことで、基本を確認し、気持ちの充実を得た

このたび、20年の長きにわたり八段に挑戦し続けて合格できたことは、ひとえに神奈川県剣道連盟小林英雄会長はじめ、数々の先生方のご指導のおかげと深く感謝しております。

これまで数十回と挑戦してまいりましたが、ことごとく失敗してまいりました。神奈川県警を退職後、このままでは合格することはできないと思い、決意を新たにし臨んでまいりました。

幸いにも非常勤で警察学校に勤務することができ、7年間勤務させていただきました。この7年間は私にとって貴重な時期で、昼休み時間、何もない限り毎日、武道教官、剣道愛好家の皆様とともに打ち込み稽古をしました。

打ち込みはだいたい20分ぐらいですが集中して行なうことで、基本の確認、体幹を鍛えること、そして自分自身に自信を持つことにつながりました。

また、月一回の神奈川県剣道連盟主催の稽古会に参加させていただき、八段の先生方に稽古をお願いし、悪いところを指摘されたり、このように直したら良くなると指導を受けたことを、ノートに記載し直すように心がけました。

今は週4回ぐらい稽古を行なっていますが、稽古をする前には必ず打ち込みを10分間程度行ない、その後稽古をするように心がけています。稽古前に打ち込みをすることにより、基本の確認、そして気持ちの充実を得て稽古をしているところです。

今回審査に臨むにあたり心がけたことは、

(1)絶対下がらない
(2)溜めをつくる
(3)打ったら打ち切る
(4)相手をよく見る
(5)仕太刀の気持ち

以上五項目をしっかり心に刻んで審査に臨みました。 

実際に審査に臨んで、特に一次審査は自分ではどのように立合をしたかわからない状況でした。二次審査もそんな状況で、正直、審査直後は立合の内容は覚えておらず、後輩が撮影してくれた動画を見ることで少しずつ思い出すような感じでした。

審査全体を通して、下がらず、落ち着いていたように思えました。終始相手に集中できたことが良かったのかなと思っております。

終わりに、このたび私の長年の目標であった八段の合格は、今までご指導いただきました多くの先生方や剣友の皆様、そして何より家族の理解と協力のおかげと心より感謝申し上げます。

これからも生涯剣道を目指し、努力精進していく覚悟であります。

 

 

関屋 猛久 (せきや たけひさ)

愛知・48歳

プロフィール

【生年】1971年9月
【出身地】愛知県東海市
【始めた時期】小学校2年生
【始めた場所】横須賀剣道教室
【経歴】星城高校→東レ(株)
【現職】会社員 東レ(株)東海工場
【薫陶を受けた師】
東良美先生、北村豊先生、畠中公夫先生
【大会での戦歴】
国民体育大会出場3回
全日本都道府県対抗優勝大会出場10回/2位2回
全日本東西対抗大会出場2回

打たれるのを覚悟で、ここだという機会に捨て身で打ち切る稽古を実践した

■我慢すること、捨て切ること、初太刀の面を打つこと

まずは我慢することです。過去の審査では我慢ができず、自分から打つべき機会でもない場面で打ち急ぎ、打突部位に届かなかったり、または技を返されたりしたことを反省して、今回は気迫ある攻めをし、打つべき機会が来るまで我慢し、そして打突の機会が来たら技を出すことを意識して審査に臨みました。

次は技を打ち切る、捨て切ることです。技を出すときは一足一刀の間合から、さらに相手の剣先を少し押さえる、または自分の剣先を少し下げる等の、打つ前の一仕事をし、その後「溜め」を作って、打突する際は姿勢を崩さず気・剣・体一致の打突ができるように心がけました。

審査という短い時間で相手を打ち切ることは、至難の業だと思います。打つべき機会に打ち切ろう、そして当たらなくても良いから最後まで自信を持って打ち切ろう、捨て切ろうと自分に言い聞かせながら審査に臨みました。そして打突後は、相手の横を抜け切る勢いを意識しました。

さらには、先をとっての初太刀の面です。審査では、自分の得意とする技を出し切ることが重要だと思います。先をとっての初太刀の面を打つことを常に意識しました。実際の審査においても、臆することなく初太刀の面を打つことができたと思います。

■ビデオも有効に活用して自分の剣道をチェック

効果的であったかどうか分かりませんが私が実践してきたことは、八段の先生方や目上の先生、先輩たちに「掛かる稽古」です。打たれるのを覚悟で、ここだという打つべき機会に捨て身で打ち切るということを実践してきました。それにより技に勢いが出てきたように感じます。あとは、審査時間は2分間ということで、2分間の立合稽古を幾度となく実践してきました。それにより審査本番の組み立てを自分なりに考えることができました(イメージトレーニング)。

ビデオの有効活用ということで、2分間の立合稽古をビデオに録画し、構え方、立ち姿、攻め入りや打ち方、打つべき機会は良いか、勢いはあるか、次への身構え気構えのある残心はできているか等を、そのつどチェックし反省点があれば次の稽古に生かしました。ビデオでは自分が気づいていないことを確認できるので、非常に役立ちました。

 

 

堤 幸司 (つつみ こうじ)

大分・49歳

プロフィール

【生年】1970年10月
【出身地】大分県大分市
【始めた時期】小学校1年生
【始めた場所】日東館
【経歴】大分高校→大分県警察
【現職】警察官 大分県警察本部教養課
【薫陶を受けた師】
堤義嗣先生(故人)、青木彦人先生、後藤清光先生、大東正一先生(故人)、江口忠文先生、笠谷浩一先生、一丸正史先生
【大会での戦歴】
全日本選手権大会出場6回
全日本東西対抗大会出場
国民体育大会2位2回
全国警察大会三部優勝
全国警察選手権大会2位
インターハイ個人2位

「このチャンスを絶対に掴む。剣道人生の勝負」と心を奮い立たせて集中した

■審査では「動じぬ心」「溜め」「打ち切る初太刀」を意識

令和元年11月29日の剣道八段審査において、幸運にも合格させていただきました。

私が今回の審査において意識したことは、以下の三点です。

1、相手の攻めに動じぬ心(風格と構え)
2、溜め(我慢)
3、絶えず相手に圧力をかけ、常に打ち切る初太刀

以上を特に強く意識して審査に臨みました。審査後も、やはり溜め(我慢し)たうえでの打ち切る初太刀が必要不可欠なものと感じています。

また、審査中の精神状態として、常に雑念を捨て、「このチャンスを絶対に掴む。剣道人生の勝負」と心を奮い立たせて集中したことが、今回の審査結果につながったと思います。

■稽古では「打ち切る」「打突のプロセス」「合気で初太刀をとる」を心がける

今回の審査にあたって、できる限りの剣道修行を行ないましたが、何か特別なことをしたわけではありません。ただ、今までに各先生方からご指導いただいた内容や、過去の審査での反省点を整理し、徹底した基本稽古と打突のプロセスを意識した面技主体の地稽古を行ないながら、次の点に心がけて稽古に臨みました。

1、打ち切る基本稽古に励むこと
「刺し面からの脱却」と「打突力の強化及び矯正」のため、振り子式に手首を大きく使った面打ちを励行し、一本一本の打突に気力を充実させ、しっかりと打ち切る基本稽古を行ないました。
もちろん、基本稽古で「喉まで切り落とすような面打ち」が少なからずできるようになれば、自ずと地稽古においても充分に活かせると考え、修練に励みました。

2、打突のプロセスを意識した地稽古に励むこと
地稽古を行なうにあたり、「攻め」→「溜める」→「崩す」→「打ち切る」という打突のプロセスを充分に意識し、それぞれの段階でのチャンスを逃さないように注意しながら地稽古を行ないました。
また、人により攻めや「間」、合気が違いますので、できるだけたくさんの方に稽古をお願いし、さまざまなタイプに対応する打突ができるよう研鑽を重ねました。

3、気を充実させ、合気で初太刀をとる稽古に励むこと
初太刀を意識しすぎると、溜めなく打ち急ぎとなることから、気攻めで充分に相手の心を掴み、合気で相手の起こり(兆し)や崩れを感じたときに初太刀を出せるよう、気攻めと我慢の稽古を行ないました。