2019年全日本選手権大会、優勝者・國友と入賞者3人が、自らの戦いを振り返る

試合リポート

2019年11月3日に行なわれた第67回全日本剣道選手権大会は、國友鍊太朗(福岡・福岡県警)が3度目の決勝進出で、初優勝を果たした。國友選手のインタビュー(後日福岡県警察第一機動隊にて収録)と、試合当日に収録した入賞者(2位・松﨑賢士郎、3位・前田康喜、竹下洋平)のインタビューから一部を紹介する。

優勝・國友鍊太郎(福岡・福岡県警)

 

決勝、松﨑からコテを奪い、優勝を決めた

──今回の全日本選手権はどんな気持ちで臨みましたか?

「当日どれだけ相手のペースにならないで、自分の剣道ができるか。そして打ち切った技、勇気のある技を出せるか。100%の力が出せれば可能性はあるかなと思っていました。でも95%や99%だったらまた勝てないだろうなと……」

──1回戦は子どもの頃から知っている下野選手との対戦でした。

「手の内もほとんど知っているので、甘い考えをしないように、自分の剣道を貫こうと試合に臨みました」

──決勝まで進んで、ここで負けたらまた2位かというような思いは……。

「少しはよぎりましたけど、そういう気持ちでは勝てないと思って決勝に臨みました。3回目は許されないだろうと思いながらも、目の前の相手に集中するよう自分に言い聞かせて、1回戦のつもりでやりました」

──今大会で決めた技は面が5本、小手が3本でした。面は子どもの頃から得意だったのですか。

「そうですね。面主体でやっていたと思います」

──今は技の種類を増やそうとしているのでしょうか。それとも面を中心とした得意技に磨きをかけているのでしょうか。

「自分は技があまり多い方ではないので、技をもっと増やしたいと考え、取り組んでいる段階です。小手はもっと勉強したいです。全日本選手権の決勝では小手を決めましたが、どんな体勢でも決められるように、鋭くキレのある小手が打てるように、バリエーションを増やしもっと磨きをかけたいと思っています。面が生きるためにも小手を磨いて、また面も磨いていけば、相手はもっと嫌がると思いますから」

──警察では季節によって稽古環境が違うとも聞きますが。

「基本的に4月から11月の全日本選手権までは、稽古に集中できる環境をつくっていただいています。冬の時期は警戒勤務などに当たることもありますが、時間は見つけて稽古できています。まあメンバーが半分しか揃わないということもありますが」

──稽古のほかにトレーニングなどは?

「トレーニングもときどき行なって腹筋や体幹を鍛えています。稽古ができない日は筋トレやランニングをしています。筋肉の付き方も考えて、筋トレの後には速い素振りをしたりするように心がけています」

──大きな大会に臨む前にすると決めていることはありますか?

「マッサージを受けたり、風呂に入りに行ってリラックスすることを心がけています」

──来年は30歳になりますが、来年の全日本選手権にはどんな気持ちで臨みますか。

「30歳になって、あと何年できるか先が短くなってきたので、まずは出場し、2連覇できるように頑張りたいと思います。それが世界大会の出場にもつながったりするのではないかと思います」

『剣道ナビマガジン2020新年号』では8ページに渡り國友選手のインタビューを掲載しています。

 

2位・松﨑賢士郎(茨城・筑波大学)

──今大会に臨む心境は?

「直前の全日本学生優勝大会では、負けたこともそうですが、自分の剣道ができなかったことに悔いが残りました。その課題を活かして、今回は思い切り勝負していこうという気持ちでした」

──竹ノ内佑也(東京・警視庁)との準々決勝について

「憧れの大先輩でもあったので、胸を借りるつもりで最初から全力で臨みました。先に一本を取られてしまって、時間も残り少なかったので焦る部分はありましたが、自分の剣道を貫く以外にないと思って勝負をかけていきました」

──2位という見事な結果で大会を終えて

「昨年の大会では自分の力を出し切れず、中途半端に終わってしまったという気持ちがありました。大舞台で力を発揮するために、今年一年、精神力の強化を意識してきました。決勝戦まで自分の剣道を貫けたという意味では、その部分は成長できたのかなと思います。決勝までこれたことは自信になります。でも、この結果は自分だけの力では成し遂げられなかったと思いますし、たくさんの方々の支えがあってこそ。決勝に上がらせてもらったことに感謝したいと思います」

 

3位・前田康喜(大阪・大阪府警)

──今大会に臨む心境は?

「最初で最後の大阪開催。かける思いは誰よりも強かったと思います」

──安藤翔(北海道・北海道警)との準々決勝について

「安藤先輩が強いのは当たり前。ベスト8までくれば強い相手しかいないので、あれこれ考えず自分の得意な攻める剣道を徹底していこうということだけ決めていました」

──國友鍊太朗(福岡)との準決勝について

「一本目は自分も狙っていた場面。今回は攻めの強さも技のキレも、すべての面で國友選手が上回っていたのかなと思います」

──3位で大会を終えて

「ベスト8を超えられたのは素直にうれしいです。でも、3回目で今年こそてっぺんを狙えるという気持ちがあったので、やっぱり悔しい。もう(優勝が)見えたので、そこにたどり着けるように毎日頑張っていきます」

 

3位・竹下洋平(大分・大分県警)

──準々決勝までの戦いについて

「この一年しっかりと取り組んできました。勝ち進んでいくにつれて、世界大会のメンバーが残っていて心強かった。一緒に戦った仲間が頑張っているから、自分も頑張ろうという気持ちになれた」

──準決勝で松﨑賢士郎(茨城)に敗れて

「最初から飛ばしていくつもりでした。〝初太刀一本〟と言われるなかでそこを打たれてしまうのは自分の甘さ。今年の敗戦は正直悔しさが残ります。去年と同じ位置(3位)で変わっていないということは、まだまだ努力が足りないということ。日本一になるためにはもう一つ、いや、もう二つ、考えて稽古に取り組んでいかなければならないと感じています」

『剣道ナビマガジン2020新年号』では、第67回全日本選手権を大特集。優勝した國友選手のインタビューのほか、入賞者を含む14名の選手の戦いを追い、試合後に語った言葉を紹介しています。ぜひご覧ください。

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