空き時間にできる手軽な稽古法
剣道の稽古は本来、胴着や袴、防具をつけてするもの。だからこそ稽古は「道場でなければできない」と思ってはいませんか?
実は自宅やちょっとしたスキマ時間にできる稽古法があるのです。
今回は自宅で自主トレを行いたい方や、初心者で防具をまだ買い揃えていない方でも手軽にできる稽古法についてお伝えしていきます。
さあ、今すぐに始めてみましょう!
■お手軽稽古「足さばき編」
初心者が最初に教わるのは「足さばき」です。
剣道では右足が前、左足が後ろに位置する基本の構えで全てを行います。そのため足さばきを習得することは基本中のキホンです。
それだけに経験者になってくると、あえて練習をしないのが「足さばき」ではないでしょうか。
しかし足さばきの上手い選手はやはり動きも良いですし、相手の素早い動きに対応して技をしかけることができます。
基本だと見過ごさず、自主トレで積極的に次の方法を取り入れてみましょう。
稽古その1:踏み込み足スクワット
いつも踏み込んでいる歩幅よりも半歩長く踏み込めるようにするための練習です。
長く踏み込むことができれば、相手が間合いを詰めてくる前に踏み込み技を決めることができます。
方法
右足が前、左足が後ろの「基本の構え」から左足を残したままでいつも通り右足で踏み込みをします。
踏み込みをした右足のかかと位置にビニールテープなどで印をつけておきましょう。
次に印をつけたテープよりも前へ深く踏み込むようにします。(左足はそのまま)
そのとき上半身が下向きにならないように、平行移動する感覚で右足を前に出します。
右足の膝はスクワットのように曲げるのがポイント。これを15セットしましょう。
これが慣れてきたら、素振りとセットでするとより効果が高くなります。
稽古その2:かかと上げ歩行
剣道では両足のかかとを少し浮かせて足さばきをしますが、日常でかかとを浮かせて歩行をしていきます。
この時つま先立ちではなく、床から紙一枚くらい~5㎜ほど浮かせて歩くことで体幹を鍛えることができます。
体幹が鍛えられると稽古や試合で体当たりをしても上体が反れないため、すぐに次の技を仕掛けることができるようになります。
方法
歩く時、かかとを5㎜ほど浮かせて歩きます。
意識しないと忘れてしまうため、気づいた時にすると良いです。また階段もかかとを上げてのぼるようにしましょう。
最初はグラグラしますのがなるべく姿勢を真っ直ぐにすること、またお腹のみぞおち(中心)あたりに力を入れることで重心が定まり歩きやすくなります。
稽古その3:前後左右すり足
試合では前後だけでなく左右にも動きます。このとき、特に体勢を崩しやすいのが左右の足さばきです。
体勢が崩れると隙ができてしまうため、相手の方が有利になります。そのため、普段から前後左右のすり足を習慣づけておくと良いでしょう。
方法
基本の構えでは右足が前、左足は右足のかかと部分に位置し、右足と左足の間はこぶし1個分あけます。
右足はかかとを床から少し離し、左足は紙一枚分かかとを浮かします。
この基本姿勢のまま前後左右で1セットのすり足をします。これを15回~30回続けます。
やってみるとわかりますが、意外と左右のすり足は難しいもの。体がグラグラしないように平行移動を心がけましょう。
■お手軽稽古「素振り編」
家の中での素振りは天井に竹刀が当たってしまうため、やったことがない方も多いのではないでしょうか。
でも家の中で少しでも素振りができたらいいですよね。そこで狭い場所でもできる素振りの方法を使って効果的なトレーニングをしていきます。
稽古その1:蹲踞(そんきょ)素振り
蹲踞をしたままの体勢で素振りを行っていきます。
立って行う素振りよりも腕の力を必要とするため、腕の筋肉を鍛えるトレーニングにもなります。
蹲踞素振りでも天井や壁にぶつかってしまう恐れがある時は、竹刀を短く持って素振りを行うようにすると良いです。
方法
蹲踞をして素振りをするだけですが、このとき上体がグラつき後ろに反れてしまいます。
上体を真っ直ぐに保ち素振りを行うようにしましょう。
また竹刀を振り上げる時も、上腕から上げるようにするとより腕の筋力を鍛えることができます。
稽古その2:左腕素振り
蹲踞素振りを左腕のみでする方法です。
剣道の基本として素振りは左手が軸になり、右手は添える程度です。
そのため左腕だけで素振りをすることで、より鋭い打ち込みをすることができるようになります。
方法
蹲踞をして最初の構えの時だけ両手で竹刀を持ちます。振り上げる時から左腕だけを使い素振りをしていきます。
振り上げる時も下す時も、必ず竹刀は体の中心を通るようにします。振り下ろす時もしっかりと腕を伸ばすようにしましょう。
稽古その3:左指3本素振り
先ほどの左腕素振りの進化形で、さらに左指(中指・薬指・小指)の3本のみを使って素振りをする方法です。
この3本指を鍛えておくと構えたとき中心軸がしっかりと定まるため、さらに鍛えておきたい部分です。
このように身体のパーツを鍛えることも、剣道上達において欠かせない要素です。
方法
蹲踞をして最初の構えの時は両手で竹刀を持ちます。
振り上げる時から左指3本のみを使って素振りをしていきます。
指3本でも竹刀がグラつかないよう、しっかりと握りましょう。
最初はキツく感じますが、慣れてくると両手素振りもラクにできるようになってきます。
■お手軽稽古「イメトレ編
剣道では勝負が一瞬で決まることも珍しくないため、試合を想定したイメージトレーニングが欠かせません。
全ての場面を想定しておくことで対戦相手に対応することができますし、自己を客観視するよい機会にもなります。
体を動かす司令塔は脳です。この脳を日頃から鍛えておくことで、試合でもよく体が動くようになります。
ぜひイメトレを毎日の稽古に取り入れましょう。
稽古その1:理想の自分をイメージする
剣道において「理想的な自分をイメージしておく」ことも重要です。
なぜなら理想の自分がイメージできると、身体もそのように動きやすくなるからです。そのためには自分と向き合うことから始めてみましょう。
方法
まずは自分の理想のイメージを細かく出していきます。
・理想の試合をしている自分
・大会で優勝している自分
・チームをまとめている自分
なるべく具体的に理想像とその場面ををイメージすることで「理想の自分」になり切ることができます。
これが習慣づけられると意識がポジティブに変わり心も強くなります。
稽古その2:苦手な対戦相手をイメージする
自分が苦手なところを上手くついてくる相手は誰にでもいます。いわゆる自分にとって相性が悪い相手ですね。
そのような相手と対戦しないことを願うのではなく、事前に想定することで苦手な相手にも対応できる自分になることができます。
方法
自分が一番苦手な対戦相手を思い浮かべ、試合している場面をイメージします。
その相手は自分のどこを突いてきますか?相手が隙を突いてきたところが自分の弱い部分(稽古をするべきところ)です。
これを繰り返すことで自分の弱点が浮き彫りになってきます。浮き彫りになってきたところを、次の稽古では重点的に直すようにしましょう。
このトレーニングは自分に自信がつくのでおススメです。
稽古その3:ピンチの場面をイメージする
ピンチの場面とは、例えば試合で相手から一本先取され、残り時間が30秒しかない絶対絶命の時などを具体的に想定します。
このようなピンチは勝ち進めば進むほどやってきますので、事前に想定しておくことで本番では焦らず集中して試合をすることができるようになります。
方法
自分が本番だったらパニックになったり、焦ってしまったりする場面をいくつも出してイメージします。
・自分はその時、どんな精神状態か?
・どのようにしたら挽回できるか?
・最後はどんな勝ち方をしたか?
試合では瞬時に判断しなければならないことも、事前に想定ができていればすぐに対応ができます。
剣道は一瞬の隙が勝敗を分けるからこそ、ぜひイメージトレーニングに時間をかけておきましょう。
■まとめ
いかがだったでしょうか?どれも今すぐできるものばかりだったと思います。
小さな稽古の積み重ねができる人は、やがて大きな成果を生みます。
今回は全部で9つの方法をご紹介しましたが、気軽に始められそうなものからぜひチャレンジしてみてくださいね!