なぜ稽古後のストレッチがいいのか?
稽古前のストレッチはけが予防のために重要ですが、実は稽古後に行うストレッチも筋肉痛を予防するなど筋肉をケアするはたらきがあります。
今回は稽古後にできる簡単なストレッチをご紹介したいと思います。
■筋肉ケアが疲労回復に
ストレッチというと運動前に筋肉をほぐしたり、関節の動きをなめらかにしたりするために行うイメージがありますが、実は運動後に行うことで筋肉や体全体の疲労を回復してくれる効果もあるのです。
よく使われる筋肉は常に緊張状態にあります。筋肉の緊張状態が持続すると、周囲の血管を圧迫し血液の流れがとどこおってしまいます。
そうなると乳酸などの体外に出したい疲労物質も血液循環によってうまく排出されず、疲れを持ち越してしまう原因にもなります。
剣道をする人が最もよく使い、日頃から疲労が溜まりやすい筋肉を中心にストレッチの方法を以下にまとめました。
道具を使わず体ひとつでできるのでぜひ実践してみてください。
■脚のストレッチ
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
下腿三頭筋の柔軟性が低下するとアキレス腱断裂などのけがにもつながりやすくなってしまいます。
ちなみに剣道でアキレス腱断裂が多いのは、相手の打突を回避してから前に踏み込む蹴り足(54%)、打突の際に前へ踏み込む蹴り足(45%)となっているようです。
稽古前・稽古後ともにしっかりとストレッチを行い、下腿三頭筋の柔軟性を保っておきましょう。
下腿三頭筋ストレッチ方法
1. 足を肩幅に開いて立つ。
2. 膝を伸ばした状態で片方の脚を後ろに引き、前足に体重をかける。
※後ろに引いた脚のかかとが浮かないように気をつけましょう。
3. この状態を15秒ほどキープします。
大臀筋(だいでんきん)
大臀筋ストレッチ方法
1. 両膝を立てて床に座ります。
2. 片方の足首をもう片方の膝に置きます。
3. 上体を立てた膝に近づけます。
4. この状態を15秒ほどキープします。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
大腿四頭筋ストレッチ方法
1. うつぶせに寝そべります。
2. 片方の膝を曲げ、かかとがお尻につくように手で引っ張ります。
3. この状態を15秒ほどキープします。
■手首のストレッチ
尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)
尺側手根屈筋ストレッチ方法
1. 肘を伸ばし、小指を上にして手のひらを前に向けます。
2. 反対の手で伸ばした手を手前に引きます。
■肩・首のストレッチ
肩や首の筋肉が硬いと脳に血液を送る血管が圧迫されるため頭痛や頭重感等にもつながってしまいます。忘れずにストレッチを行いましょう。
首は特にデリケートな部分ですので、痛みが強い場合やヘルニアなどの疾患がある場合は無理に行わないでください。
多少筋肉が伸ばされる痛みがあっても、気持ちよさを感じてリラックスできる程度で止めるのが望ましいです。
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋ストレッチ(その1)
1. 首を片方に倒します。
2. 頭に手を置き、下に押すように力を入れます。
※このとき、上半身が横に傾かないように注意してください。
※痛みが強い場合は無理に行わないでください。
3. 15秒ほどキープします。
僧帽筋ストレッチ(その2)
1. 頭の後ろで手を組みます。
2. あごを引き、組んだ手で頭を下に押すように力を入れます。
※このとき、背中が曲がらないように気をつけてください。
※痛みが強い場合は無理に行わないでください。
3. 15秒ほどキープします。
胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
この筋肉は首を安定させる役割をしています。
剣道では面と頭の重さを支えたり、面を打ち込まれた時に首を安定させることで衝撃から守ったりと、負担がかかりやすい筋肉といえます。
胸鎖乳突筋ストレッチ
1. 両手をクロスさせ、鎖骨の内側を押さえます。
2. あごを突き出して真上を見ます。
3. 首を左右どちらかに回します。
※痛みが強い場合は無理に行わないでください。
4. 15秒ほどキープします。
■まとめ
・脚、手首、肩、首など、剣道で特によく使われる筋肉は稽古後にしっかりストレッチを行うようにしましょう
いかがでしたでしょうか。
どのストレッチでも、痛みが強すぎるとかえって筋肉がこわばってしまいストレッチの効果が得られにくくなってしまいます。
「筋肉が伸ばされる痛みもあるけど、気持ちいい」と感じる程度の強さで止めるようにしましょう。
あまりに体が硬くてつらいと感じる場合は、お風呂あがりなど血流が良くなって筋肉がある程度ほぐれているタイミングで行ってもかまいません。
稽古後のストレッチとしてご紹介してきましたが、就寝前にも上記のようなストレッチを行うと血流が促進されるだけでなく副交感神経も刺激されるため、睡眠の質を高める効果もあります。
疲労を持ち越さずすっきりとした気持ちで翌日の稽古に臨みましょう。