通勤・通学の10分でできる!剣道に役立つ脚のトレーニング4選

上達のコツ

少しの空き時間を活用できる!脚のかんたんトレーニング法

剣道という競技は、必ずしも運動神経がいい人や体格のいい人が有利なわけではありません。

たとえばバスケットボールではより身長の高い選手が有利でしょうし、ラグビーではより重量がある、またはより足の速い選手が重宝されます。

しかし、全日本剣道選手権では比較的小柄な選手、または体力や運動能力のピークを過ぎた45歳の選手が20代、30代の選手を押さえて優勝した例もあります。

このように、剣道は経験と日頃の鍛錬しだいで自分より身体能力的に優れた相手に打ち勝つ可能性を秘めているのです。

今回は毎日少しずつできる『鍛錬』の部分、基礎トレーニングについてお話ししていきます。

■上達につながる!鍛えておきたい脚の筋肉3つ

脚の筋肉

下腿三頭筋

脚の筋肉を強化することは剣道の上達につながるだけでなく、怪我をしにくい体をつくる上でもかかせません。
通勤・通学の間にも手軽に行える脚のトレーニングを、以下の三つの筋肉に焦点を当ててご紹介します。

下腿三頭筋(かたいさんとうきん)

一つ目、特に重要となるのが『下腿三頭筋』と呼ばれるふくらはぎの筋肉です。

剣道における足の構えは『前にくる右足のかかとは床に少し触れる程度』、そして『後ろにくる左足のかかとは床から離す』が基本です。
つまり、両足のかかとが床にきちんと接地していない状態を常にキープしなければなりません。下腿三頭筋は、この『かかとを持ち上げる』という役割を果たします。

大臀筋(だいでんきん)

二つ目は、『大臀筋』と呼ばれるおしりの筋肉です。

剣道では上記の基本姿勢から、おもに左足で床を蹴ることで体を前に出し相手に打ち込みます。
このとき下腿三頭筋とともに上体を前に押し出す力になってくれるのが大臀筋となります。

中臀筋(ちゅうでんきん)

三つ目は『中臀筋』と呼ばれる筋肉です。中臀筋も大臀筋と同じくおしりの部分の筋肉です。
骨盤の側面に位置しており、大部分が大臀筋に覆われています。

中臀筋には骨盤を安定させる役割があり、日常生活では私たちが歩く時、片脚を振り出すときに地面に着いている側の脚がバランスを崩さないように骨盤と股関節を支えています。
中臀筋を鍛えて股関節周囲の安定性を高めておくと、すばやい体さばきや、体当たりでも当たり負けない体作りに役立ちます。

■かんたんにできる!トレーニング方法

それでは具体的なトレーニング方法を紹介します。

以下に示す方法は主に電車やバスの車内等で行うことを想定しています。揺れには十分気をつけましょう。また、周囲の乗客に迷惑がかからないよう注意して行ってください。

下腿三頭筋の鍛え方

下腿三頭筋の鍛え方

1. つり革や手すりにつかまって立ち、足を肩幅に開きます。

2. 息を吐きながらゆっくりと三秒かけて踵を持ち上げます。

※このとき、足指の付け根から先だけが地面に着いている状態になるまでしっかりと踵を浮かせます。これが難しければ、自分で持ち上げられる限界まで踵を浮かせてください。

※上体が前のめりになったり、後ろに反ったりしないように気をつけます。頭のてっぺんから真上に引っ張りあげられているイメージでまっすぐに踵を持ち上げてください。

3. ゆっくりと三秒かけて踵を地面につけます。

大臀筋の鍛え方(1)

大臀筋の鍛え方(1)

1. つり革や手すりにつかまって立ち、足を肩幅に開きます。

2. 膝を伸ばしたまま、脚をゆっくりと後ろに持ち上げ、5秒間キープします。

※あまり大きく脚を持ち上げる必要はありません。上体が前のめりになったり、後ろに反ったりしないように気をつけます。

※後ろに人がいないか確認してから行ってください。

大臀筋の鍛え方(2)

大臀筋の鍛え方(2)

こちらはフォワードランジという方法です。
車内のスペースに十分なゆとりがある場合におすすめです。大臀筋のほか、太ももの前面にある大腿四頭筋や太ももの後面にあるハムストリングスと呼ばれる筋群も同時に鍛えられます。

1. つり革や手すりにつかまって立ち、足を肩幅に開きます。

2. 片方の足を前方に踏み出し、太ももが床と平行になるところまでしゃがみこみます。 ※前方に出した側の膝がつま先よりも前に出ないように注意します。

3. 前に出した足をすばやく元の位置に戻します。

中臀筋の鍛え方

中臀筋の鍛え方

1. つり革や手すりにつかまって立ち、足を肩幅に開きます。

2. 膝を伸ばしたまま、足をゆっくりと横に持ち上げ、5秒間キープします。真横よりもやや斜め後ろに持ち上げるイメージです。

※上体が横に傾かないよう、まっすぐに保つよう意識してください。

※周囲に人がいないか確認してから行ってください。

■最後に

丹田(へそ)

丹田

いかがでしたでしょうか。
いずれも十~二十回を一セットとして行うのがよいでしょう。あまりにも負荷が軽すぎる、もしくは重すぎると感じる場合には回数を調整してください。

今回は主に電車やバスの移動時にできるトレーニングを紹介しましたが、徒歩での通勤・通学の場合でも工夫次第で効率的に脚の筋肉を鍛えられます。
たとえば、できるだけ歩幅を広くとって大股で歩くことで普通に歩くよりも大臀筋や下腿三頭筋がより活動します。
さらに、平地よりも階段や坂道ではより脚の筋肉が多く使われます。通勤・通学路に階段や坂道がある場合は積極的に通るようにしましょう。

余談ですが、剣道では肩の力を抜き、丹田(たんでん:へその下)に力を入れて立った状態が基本姿勢となります。
この姿勢をとることで正確な構えを作ることができ、竹刀の振りにも無駄な動作がなくなります。
余裕がある人は、上記のトレーニングの際に肩の力を抜き、丹田に力を入れるということを意識して行ってみてください。

歩く時もできるだけ姿勢を正して、丹田に力が入るように意識してみてください。
また、可能であれば持ち歩くかばんはショルダータイプのように重心が左右どちらかに偏りやすいものではなく、リュックサックなど姿勢をまっすぐに保ちやすいものを選ぶとよいでしょう。