勝負所を見極める! 直感を鍛える簡単トレーニング

勝負所を見極める! 直感を鍛える簡単トレーニング 上達のコツ

“直感”を鍛えるにはどうすればいいのか

直感を鍛えるにはどうすればいい?

剣道の試合で勝つためにトレーニングは欠かせません。下半身を鍛えるために走り込みをし、パワーを手に入れるために筋トレをし、基本の型を覚えるために素振りをします。

そうやって鍛えても、本番で勝つのは難しいです。なぜなら剣道は、ほんの一瞬で勝敗が付いてしまう厳しい武道だからです。

そのため勝利するには「直感」も重要となってきます。今回は直感が剣道においていかに重要なのか、そしてどうやったら鍛えられるのか紹介していきます。

■直感とは何なのか

直感を鍛えるにはどうすればいいのか

直感という単語を辞書で調べると次のように書いてあります。

理性を働かすというより、感覚的にただちにとらえること」。平たく言えば、直感とは考えるよりも前に行動する事です。

似たような言葉に「直観」や「ひらめき」がありますが、厳密には違っています。

ある脳科学者は「ひらめき」は思いついた後に、その理由を理論や論理に基づいて説明出来る事と定義しています。

一方で「直感・直観」は思いついた後に、なんとなくしか理由が説明できない、感覚的な判断の事と定義しています。

つまり「直感」とは理由を言えないけど思いついた事や行動を指します。

では直感が私達の体の何処で働くかというと、研究の結果、人間の脳にある大脳基底核の線条体だと判明しています。

この大脳基底核とは、目で見た情報を脳の思考する部分に伝達する途中にある場所の事で、線条体は体を動かす際の入力装置と判明しています。

線条体がになっている役目で重要なのは、「繰り返し行っている行動の記憶を置いておく場所」という事です。

自転車の乗り方、刃物の使い方、文字の書き方、箸の握り方など、日常的に繰り返し行う事で意識せずに行える動作が、線条体にインプットされていきます。

直感とは、この意識せずに行える動作を引き出す事を指しているのです。

■直感が試合に役立つ理由

考える前に素早く動ける

考える前に素早く動ける

剣道に限らず、武道には先の先対の先後の先といった考え方があります。

先の先とは相手が仕掛けるよりも前に、自分が先に攻撃する事を指します。

対の先は相手の行動を読んで動きを封じながら攻撃する事を指します。

後の先とは相手が行動してから攻撃する、いわゆるカウンターを指します。

この時重要になるのは、考えてから行動しては遅いという事です。

特に対の先や後の先は、相手に行動するチャンスを与えます。向こうが動き出してからどうするのか決め手は遅いです。

かといって、念入りに考えた通りに試合が運ぶとは限りません。相手も人間のため、色々な事を考えて行動しています。

そこで重要なのが「直感」なのです。相手がこう動いてきた時は、自分はこうする、といったパターンが体に染みついていたら、あるいは「直感」として組み立ててあれば考える前に動くことができます。

より試合に集中できる

より試合に集中できる

試合中は相手の動きを警戒し、どうやったら勝てるのかと考えるため、心身ともに疲労します。

疲労によって思考が鈍くなってしまうと勝てる試合も勝てなくなります。

そんな時に「直感」で行動できるようになっていれば、余計な事を考えずに試合に集中できるようになります。

直感力に優れた剣士の特徴と言えば、無駄な動きが少ない事が上げられます。

中段に構えてあっさりと一本を取るシーンや、向かい合った時に何をされたのか分からないという経験があるかもしれません。

これは長い経験から剣道において重要な動きを「直感」で行えるようになっているため、余計な行動をしなくて済んでいるのです。

余分な行動が無いという事は、隙が生じ難く、体力の消耗も少なく済みます。

これらのことから、「直感」を鍛えておけば剣道の試合において非常に役立つ事になります。

■直感を鍛える方法

「直感」が脳の中にある機能である以上、鍛える事は可能です。

それは子供であっても大人であっても同様です。脳とは使えば使うほど鍛えられる体のパーツなのです。

では、どうやったら鍛えられるのか、簡単なトレーニング方法をご紹介します。

自分の行動を意識づける

自分の行動を意識付ける

「直感」が働く線条体は繰り返される行動を学習します。

学習する際に、その結果や経験に対する感情が結び付くことでより印象深くなるのです。

例えば、素振りをしている時にどうして素振りをする必要があるのか、どんな目的で行っているのかと自覚したり、稽古中に相手に一本取られた時にどうして取られたのか、何が悪かったのかを意識的に考えるのです。

そうやって考えながら日々のトレーニングを行っていくと、線条体が活発になり記憶が蓄積されて行きます。

剣道から離れてしまいますが、サッカー選手の本田圭佑さんは高校生の頃、その日の練習内容から思ったこと、考えた事を毎日ノートに書き留めていました。

自分がやっている事を再確認する事で、線条体が活発になり直観力が鍛えられたのが、今の活躍に繋がった要因の一つです。

丹田呼吸法を活用する

丹田呼吸法

呼吸する際、人は横隔膜が収縮して空気を取り入れ吐き出しています。

一方で丹田呼吸法とは丹田を膨らませることで息を吸い、引っ込ませることで息を吐く呼吸法の事です。

丹田とは仰向けに寝て、上半身を少し持ち上げた時に固くなる腹筋の部分を指します。ここが動くのを実感しながら呼吸を繰り返します。

普通の呼吸と違い、丹田呼吸法は脳内のセロトニンという物質を活性化させる効果があります。

セロトニンが活性化する事で脳内の血流量が増え、線条体の働きが活発になります。つまり、「直感」が働きやすくなるという訳です。

丹田呼吸法は「直感」の向上以外にも、緊張を緩和させるリラックス効果もあります。一日五分でも良いので、毎日続けると高い効果が期待できます。

■まとめ

直感力を鍛える

・直感とは考えるよりも前に行動する事。「ひらめき」とは異なる

・直感は経験の繰り返しによって養われる

・直感を鍛えるには日常の行動を振り返ったり(日記など)、丹田呼吸法が効果的

「直感」は脳の研究が進んだことによって、あやふやなイメージではありません。紹介したように鍛える事の出来る分野になっています。

今回紹介した情報をトレーニングに取り入れて、「直感」を鍛えましょう。