剣道が強くなる!脳の鍛え方

剣道が強くなる!脳の鍛え方 上達のコツ

『脳』の働きを知り、剣道に生かす

『脳』の働きを知る

剣道が強くなる方法と聞いて何を思い浮かべますか?やはり、地道な筋トレや素振り、あるいは打ち込みや応じ技かと思います。

今回はそのような部分とはまた少し違った切り口として、脳を鍛える事で剣道が強くなるのか解説していきます。

■脳を鍛えると剣道が強くなる理由

脳を鍛えると剣道が強くなる理由

武道に限らずスポーツなどで重要になるのはボディとメンタルであって、脳と何の関係があるのかと疑問に思うかもしれません。

しかし、私達の脳の中では日々、様々な脳内物質(ホルモン)が分泌されています。分泌された脳内物質は体の至る所に影響を与え、体と精神のパフォーマンスを左右するのです。

例えば、試合が始まる直前に胃のあたりが重くなったり、あるいは稽古の時に余計な事を考えずに集中できたりするといった調子の浮き沈みは脳内物質によって決まっていきます。

つまり、脳から分泌される脳内物質をコントロールできれば、剣道の上達ぶりや試合の時の調子を上げる事に繋がるのです。

■脳内物質が身体能力に与える影響と種類

脳内物質が身体能力に与える影響と種類

では、脳内物質が実際にどのよう影響を与えるか、そしてそのコントロール方法を説明していきます。

心臓や筋肉などを高める、アドレナリン

アドレナリンは直接肉体のパフォーマンスを向上させる役割を持っています。

アドレナリンが増加されると血管が拡張され、血流が良くなります。そうなると筋肉が多くのエネルギーを生み出すため、運動能力が向上されるのです。

アドレナリンを多く分泌する方法は、実は大きな声で叫ぶのが最も効果的といわれています。

砲丸投げの選手やウェイトリフティングの選手が競技中に叫ぶのを見た事があると思われます。

あれは「シャウティング」と呼ばれるコントロール方法で、叫ぶことでアドレナリンが多く分泌されていると科学的にも実証されています。

剣道では声出しが重要視されていますが、この時に意識的に腹から声を出せば出すほどアドレナリンは多く分泌され心臓や筋肉のパフォーマンスは向上されます。

日頃の稽古の時も、声出しを面倒だとは思わずに真剣に取り組みましょう。

注意力や集中力を高める、ノルアドレナリン

ノルアドレナリンは、恐怖や不安から逃げたり、あるいは戦うための精神状態を作る脳内物質です。

この物質はストレスを感じる事で分泌されます。例えば稽古中に叱られたりすると気持ちが縮こまったり、あるいは気を引き締め気を付けようと思いますね。

この時、ノルアドレナリンが脳内で分泌されています。ただし、これが長期間分泌されている状態だと、悪い意味で慣れてしまいます。

叱られたりするのが日常的になりうんざりしているようになると、注意が散漫になり怪我をしやすくなります。そんな時は休養を取ってリフレッシュしたりしましょう。

睡眠と覚醒をコントロールする、セロトニン

セロトニンとは太陽を浴びる事で分泌される脳内物質です。セロトニンが少ないと日中でもぼんやりとした状態になりやすいです。

剣道の練習中にぼんやりとしていると、重大な事故に繋がりかねません。

夜はしっかりと寝て、朝日を浴びながら起きると理想的な目覚めが手に入れられます。

夜、寝る際にカーテンを開けておくと朝日で目覚める事が出来るためオススメです。

眠気をもたらす、メラトニン

メラトニンとセロトニンは名前が似ているだけなく、効果も似ています。

夜になるにつれ増えていき、眠気が増してくるのはメラトニンが大量に分泌されるからです。

メラトニンが多い方が良質な睡眠となり、体をリフレッシュさせてくれます。

日中の稽古で疲労した体や、試合前日の不安感を解消させるには、少しでも良い睡眠が必要になります。

メラトニンは目から入ってくる光が少ないほど多く分泌されます。

寝る二時間ほど前からスマホやパソコンなどの目に刺激が多い物には触れないようにしましょう。

やる気や幸福感を高める、ドーパミン

ドーパミンとは別名「幸福物質」と呼ばれています。私達が幸せだな、と感じると分泌されるのが特徴です。

分泌されるとやる気や幸福感が向上されるため、練習の時などにコントロールできれば高い効果を期待できます。

ドーパミンを自分でコントロールするには褒められた体験や、目標を達成したという達成感や満足感と言った、精神的な報酬が鍵になります。

そのため、自分で自分に対して「頑張ったな」「今のは良かったぞ」といった風に褒めるのがコツです。

また、日々の稽古に目標を設定し、それをクリアする事でもドーパミンは分泌されやすくなります。

ストレス解消効果などを高める、エンドルフィン

エンドルフィンは別名「脳内麻薬」と呼ばれるほど、脳内で幸福感を作ります。

麻薬と付くと危ないイメージですが、身体の修復力や免疫力を向上させる効果があります。

上記のメラトニンと合わせてコントロールできれば、疲労を翌日に持ち越さなくても済む様になります。

コントロールする方法は軽い運動などで可能ですが、眠る前や稽古後に体を動かすのは逆効果です。

そこでオススメなのがチョコレートです。チョコレートに含まれている成分はエンドルフィンを誘発する効果があります。

夕食後に、チョコレートを一欠けら食べるだけでも、効果は期待できます。

■トランス(変成意識)状態

ゾーンに入った状態

スポーツなどで選手が「ゾーンに入った」という表現を耳にされた事があるかと思います。

このゾーンとは、いわゆるトランス(変成意識)状態の事を指し、『日常的な意識状態以外の意識状態』と言われています。

言葉だけだと分かりにくいですが、例えば朝起きる時の夢うつつな状態や、アルコールを摂取した時の状態など、自分の意識がはっきりしていないけど意識はある状態をトランス状態というのです。

トランス状態の時、体は普段感じているストレスから解放され、集中力を高める事が出来ます。

パフォーマンスが向上するため、一流のスポーツ選手は自発的にトランス状態に入れるようにトレーニングをしています。

実はゾーンにはある程度まで自力で入る事が可能なのです。

■トランス状態の入り方

トランス状態に入る方法

トランス状態を作るコツは二つあります。

呼吸法

一つは呼吸法です。静かな環境で自分の落ち着ける体制で座り、20秒かけて深呼吸を繰り返します。

この時、意識は呼吸に集中させ、他の事を考えないようにします。これを20分ほど続けましょう。

日頃から練習しておけば、試合前の数分間、呼吸だけに集中することでトランス状態に入りやすくなります。

ルーティン

ルーティンとは繰り返し行う動作の事です。その動作を行う事で冷静になり、気持ちが落ち着くことでトランス状態を作り上げるのです。

まず、自分の体を触り精神的に落ち着く箇所を見つけましょう。

例えば頬に手を当てたり、あるいは肩を回したりするのがリラックスできる動作なら、それを日頃から繰り返す事で日常化させていきます。

そうすると、試合前の緊張した場面でルーティンを行う事で、気分がほぐれやすくなります。

■まとめ

脳を鍛えて強くなる

脳とは未知の領域である一方で、筋肉と同じように鍛えることができる場所なのです。

今回紹介した方法を日頃から意識して取り入れていけば、周りよりも先んじる事が可能になります。ぜひ、試してみましょう。