キツいぶん上達する?掛かり稽古を行うメリット
剣道の稽古で必ずと言っていいほどするのが「掛かり稽古(かかりげいこ)」です。
稽古では一番キツイ練習になるため、正直「やりたくない・・」という選手も多いでしょう。
しかしこのようなツライ稽古を毎回やるのには、それなりの理由があるのです。
掛かり稽古にしっかりと取り組むことができれば、短期間のうちに飛躍的な上達も期待できます。
今回は掛かり稽古の基本的な知識や、上達するためにどのような掛かり稽古をしていけばよいかなど詳しく解説していきます。
上手くなりたい初心者の方は、必見ですよ!
■掛かり稽古とは何か?
掛かり稽古とは
掛かり稽古とは元立ち(受ける側)と掛かり手(打つ側)が二人一組になり、掛かり手が元立ちに絶え間なく打ちかかっていく稽古法です。
15秒~1分間の時間内で激しく打ち込む稽古を何回もしていくため、体力と気力が要求されます。
これが剣道の中でも非常にキツい稽古であるという所以(ゆえん)です。
掛かり稽古の目的とは?
なぜわざわざ、このようなキツい稽古を毎回のようにするのでしょうか?
正直この目的がなければ、ただのしごき稽古になってしまいますよね。。
いえいえ、掛かり稽古にはれっきとした剣道を上達させるための3つの目的があるのです。
2:激しく打ち込むことで心肺機能を向上させ体力をつける
3:短時間のうちに気力を尽くし全身を使って打ち込む術を知る
これらを見ても初心者の方は「何を言っているのかよくわからない」かもしれません。
そこで1~3を簡単にまとめると、短時間に激しく打ち当たっていくことで打つ技術や体力の向上、試合で必要とされる気力と精神力の鍛錬目的とするということです。
つまり「心技体」を集中的に体得していくのが「掛かり稽古」と呼ばれる稽古法なのです。
■初心者がしてしまう掛かり稽古NGパターン
では掛かり稽古さえすれば「心技体」がかならず身に着くかと言えば、そうでもありません。
激しい稽古だけに、間違ったやり方で稽古をしてしまうと頑張りが水の泡となってしまいます。
特に初心者は掛かり稽古が「悪いクセづけ」になってしまうこともあるため気をつけたいところです。
そこで、初心者がやってしまいがちな掛かり稽古NGパターンをあげますので、まずは自分がそれに該当していないかをチェックしてみましょう。
まだ掛かり稽古をしたことがない方も、ぜひNGパターンを頭に入れておきましょう。
そうすることで「正しい掛かり稽古のやり方」がわかるようになりますよ!
NGパターン1:打ち急いでしまう
初心者が陥りがちなのは「掛かり稽古=とにかく速く打つ」と思ってしまうことです。
速く打つことばかり考えていると一つ一つの打ちが雑になり、体勢が崩れます。
具体的に言うと前のめりになったり、振り向きざまなど身体を曲げたまま打とうとします。
やがてそれがクセになり身体の軸が定まらなくなります。すると全ての打ちが弱くなってしまうのです。
1の改善法
掛かり稽古では速く打つことと同時に体勢(体軸)をしっかりと保つことを意識します。
初心者は最初ゆっくりでもよいので、背中に一本の棒が入っていることをイメージしながら体勢を崩さずに打ち込むことを心がけましょう。
それができるようになったら、だんだん速度をつけて打ち込むようにしましょう。
NGパターン2:小手先で打ってしまう
掛かり稽古中は何度も連打をして腕も使うため、つい打ちが「小手先」になってしまいがちです。
苦しいので振りかぶらずに手元をちょっと浮かせて打つようになってしまうのです。
試合では一本と判定されない「軽い打ちグセ」がついてしまう可能性があります。
2の改善法
苦しい時こそ「一本を取る」という気持ちで、しっかりと振りかぶり打つようにします。
面小手胴、全て振りかぶります。試合中も激しい打ち合いの場面がありますが、しっかりと振りかぶることでこのような時でも確実に一本を取る打ちができるようになります。
常に本番を想定した掛かり稽古をしていくことで、試合でも成果が発揮されます。
NGパターン3:構えてから打っていない
掛かり稽古は連打するため、構えをしっかりとせずに打つ選手も多いです。
しかしこうした間合いを取らずに打ちに行くと、竹刀の中心部で打ってしまったり、間合いが近いところで打つため踏み込みが弱くなります。
そのため、一本にはならない打ちが増え、体力ばかり消耗することになってしまいます。
3の改善法
ポイントは、掛かり稽古であっても間合いの取り方を心がけることです。
例えば最初の面は間合いが十分で打てますが、体当たりをして引き面を打ったらしっかりと間合いをとって構え直してから面や小手、胴を打つようにしましょう。
このように間合いを常に取りながら掛かり稽古を重ねることで「自分の間合いを瞬時に詰められる感覚を身に着ける」ことができます。
■格段に上達する掛かり稽古のポイント
ここからは2でお伝えした内容をまえながら掛かり稽古で上手になるためのポイントを、稽古を想定した時系列でお伝えしていくことにします。
ぜひ自分の稽古風景をイメージしながら読み進めてみましょう。
掛かり稽古が始まる前
気力を十分に高めておきましょう。気合を持続して打つための心の準備をしておきます。
「はじめ!」の合図で始まったら
- しっかりと振りかぶって打つ
- 引き技をした後、間合いを取り詰めてから打つ
- 打った後、相手をすり抜けてもすぐに振り返り間合いを詰めて打つ
- 背中に一本の棒が入っている感覚で体勢を崩さずに打つ
- 頭を下げたり竹刀を下に向けたりせず気力を上げる
さあ、ここからが苦しい場面です
- 苦しい時こそ声を出そう!
- 筋肉に乳酸がたまり腕が上がらなくなるがココからが勝負。しっかり打つ!
- 終了の合図ギリギリまで気力を持続させる!
- 最後の一本まで気合を入れて打ち込むこと!
「やめ」の合図が入ったら
- 終わったからと言って休まない
- すぐ構えに入る
- 構えながら深呼吸して呼吸を整える
- 次の「はじめ」の合図まで気力を高めておく
以上の流れで繰り返し掛かり稽古をしていきます。
おわかりの通り「苦しい時こそ自分の間合いを取りしっかりと打つ」ことが掛かり稽古で上達するポイントです。
つまりこうした稽古の中で自己コントロールしていくことが、結果的に「精神力・体力・技術」の向上につながるのです。
これは他の武道、スポーツにも共通して存在する稽古(練習)スタイルですね。
まずはできるところからで良いので掛かり稽古のポイントを1つずつクリアしていきましょう!
まとめ
今回は初心者のための掛かり稽古の意味と上達法についてお伝えしました。
ではまとめていきましょう。
掛かり稽古とは・・・元立ちと掛かり手が二人一組になり、掛かり手が元立ちに絶え間なく打ちかかっていく稽古法
掛かり稽古の目的・・・剣道で重要な「心技体」を体得することが目的
- ・打ち急いでしまう
- ・小手先で打ってしまう
- ・構えてから打っていない
掛かり稽古が上達する主要5つのポイント
2:引き技をした後、間合いを取り詰めてから打つ
3:打った後、相手をすり抜けてもすぐに振り返り間合いを詰めて打つ
4:背中に一本の棒が入っている感覚で体勢を崩さずに打つ
5:頭や竹刀を下に向けたりせず気合を最後まで高める
掛かり稽古=格段に上達できる稽古法ということがお分かり頂けたでしょうか。
掛かり稽古はただ苦しいだけのものではなく、剣道で重要な「心技体」を高めてくれる稽古法です。
ぜひ頑張って日々取り組むようにして下さい。