2019年6月30日(日)
大阪市・エディオンアリーナ大阪
筑波大勢がベスト4のうち3名を占めた。しかも出場した6名が全員ベスト16に残り、あわやベスト4を独占する勢いだった。決勝は星子啓太と松﨑賢士郎の対戦。九州学院高校と島原高校の大将として高校時代からしのぎを削ってきた、実績ある2人が相まみえた。
決勝はともに序盤から打ち切る姿勢を見せるが、延長に入ってしばらくしたところで星子の足が攣ってしまい、治療のため中断となった。再開後しばらくして、松﨑がメンに行ったところを星子がドウに返し、優勝を決めた。
星子は試合後やや複雑な心境を明かした。
「自分が万全のかたちでやれなかったことに悔いが残りますし、松﨑は優しいので自分に気を使ってくれたんだろうなって、喜べない気持ちです。優勝できたことはよかったのですが、むこうに気を使わせたというのが大きいというか……。(試合が終わって)松﨑と話したら、『ドウが来ると思った』と言っていました。自分は返しドウしか打てない体だったので、松﨑がもっと来ていたらたぶん負けていたと思います」
一方の松﨑はこう試合を振り返った。
「今日は今までやってきたことの集大成としてベストを尽くそうという気持ちで、自分の剣道を貫こうと思っていました。相手に打たれたくないとか、勝ちたいということより普段どおりの力を出すことに集中できました。(星子は)ライバル的な存在でもあったのでどうしても特別に見てしまうし、ここで勝ちたいという気持ちもあったのですが、自分の剣道を貫こうという気持ちの方が強かったです。(最後の場面は)自分の中では、攻めて、ここだと思って思い切りいったところ、相手が一枚上手でした」
昨年は世界選手権大会のメンバーにも選ばれて活躍した星子。今シーズン最大の目標としているのは全日本選手権大会だという。予選は7月後半である。一方の松﨑はすでに昨年に続く全日本選手権出場を決めている。剣道界の次代を担う両選手の大舞台での活躍が楽しみだ。
もう一人ベスト4に残った筑波大の選手は白鳥涌也。東海大浦安高校出身で星子、松﨑と同じ3年生である。準決勝では星子に破れたが、個人では初めてだという全国大会での入賞を果たした。白鳥はこう試合を振り返った。
「筑波のチームメイト、同級生が続々と勝ち上がってきていたので、上で当たれたらいいなと思って頑張りました。星子には小学校や高校の全国大会で負けているので、今度こそはと挑みました。研究もしていたんですけど……(笑)」
筑波大勢が上位を独占したが、昨年の全日本学生団体を制している中大勢も力を見せた。ベスト8の時点では筑波大勢が4人、中大勢が3人と互角の様相だった。
準々決勝で中大勢は昨年本大会3位の丸山大輔(4年)が星子に、同じくベスト8の本間渉(4年)が松﨑に敗れたが、2年生の山崎将治が筑波大の主将佐藤祐太(4年)を破る殊勲、四強の一角に食い込んだ。帝京第五高校出身の山崎は全国大会の個人戦での入賞は初で、まだ団体戦でのレギュラーも確保できていないという立場だが、中大のレベルの高さを証明する快進撃だった。
ベスト8の残る一角には国際武道大の長尾和樹(2年)が食い込んだ。ベスト16に関東勢以外で進んだのは鹿屋体大の曽田俊平(2年)のみ。昨年は5名が進んでおり、今年は地方勢力が振るわなかった。
秋の団体戦を占えば、筑波大と中大の二強という構図が浮かぶが、関東大会では法大の2人が優勝を争い、国士大、明大の選手が3位と、筑波大と中大が入賞を逃しており、予断は許されないだろう。