2018年8月22日(水)〜24日(金)
岡山県・岡山市総合文化体育館
写真=窪田正仁・鈴木智也
フレッシュな顔ぶれが上位に進出、初優勝をかけた戦いを淑徳巣鴨中が制する
優勝・淑徳巣鴨中(東京)|3回目の出場で一気に頂点に駆け上る
3年前に本大会初出場を果たした淑徳巣鴨中(東京)。
その年に決勝トーナメント1回戦まで進み、2回目の出場となった昨年は予選リーグで優勝した大和中(佐賀)に敗退、今回3位の玉島東中(岡山)と引き分けで姿を消した。
そして3回目の出場となった今回、一気に頂点に駆け上った。
中高一貫校で、3年前に初出場を果たしたメンバーを中心に今年インターハイ初出場も果たしている。
水泳の池江璃花子選手をはじめ中高ともスポーツが盛んな学校であり、以前から中高ともに東京では上位に進んでいたが、全国の舞台でも見事に花を咲かせ、これからの活躍が大いに期待される。
先鋒木村が大会を通して5勝1敗、次鋒崔が5勝1分で終始チームを引っ張り、副将の北井が5勝1敗で勝負を決めていった。
予選リーグ第1試合の遊佐中(山形)戦では木村、崔と連勝し、中堅下村、副将北井も勝利で続いて4─1で快勝。
続く第2試合が決勝までを通して唯一木村が敗れた試合だったが、崔が相手に先行されながら二本を奪い返すと、副将北井、大将梅澤が勝利を収め逆転勝ちした。
決勝トーナメントに入り、南大分戦(大分)では木村が勝利、崔は引き分けるが、下村、北井、梅澤と連勝して4─0で快勝する。
最後の3試合はすべて木村、崔が連勝した。強豪潮田中(神奈川)との準々決勝では2勝のあと下村が敗れるが、北井がメンを決めて決着をつける(梅澤は敗れスコアは3─2)。
昨年覇者の大和中(佐賀)との準決勝でも木村、崔が連勝、下村は一本先行するも追いつかれて引き分けるが、北井がメン二本を決めて決着、3─0で勝利を収める。
決勝は木村、崔の勝利のあと、下村が引き分け、北井が最後になって唯一の黒星を喫したが、梅澤がきっちりと二本勝ちでフォローし優勝を決めた。
■2位・中村学園女子中(福岡)|高校剣道界の女王とともに稽古し旋風を起こす
高校剣道界の女王が中学剣道界にも旋風を巻き起こした。初めての全国大会で一気に決勝にまで勝ち上がった中村学園女子中。
インターハイ3連覇の中村学園女子高校進学を目指す生徒が中学から入学してきて、学校では日本一の高校生たちと、それ以外にもそれぞれの道場で稽古をしているという。
岩城規彦監督は高校を中心に見ており、中学の外部コーチが2名いる。
全国道場少年剣道大会の第50回を記念して行なわれた個人戦で優勝を果たした松永(福岡一信館)や如水館の池田など、小学校時代から実績のある選手がメンバーに名を連ねている。今後も注目の存在だ。
リーグ戦初戦は神戸中(三重)に5─0と圧勝。第2試合は花巻中(岩手)に対し、次鋒井上、副将池田の勝利で2─0とし、トーナメント戦進出を決めた。
トーナメント初戦は貴志中(和歌山)に5─0、準々決勝も磐田一中(静岡)に5─0と女王の風格すら感じさせる圧勝を続ける。
地元の玉島東中(岡山)との試合でも先鋒浦、次鋒井上と連勝し、中堅高津は引き分けたが副将池田が勝って3─0で快勝した。
決勝は浦、井上が相手の木村、崔に敗れて勢いを止められ、池田も一本勝ちにとどまり、大将松永も完敗して力尽きたが、今後も女子中学剣道界の新たな勢力となりそうな、鮮やかなデビューだった。
■3位・大和中(佐賀)|昨年の覇者は今年も健在。燕中との因縁の対決も快勝
昨年優勝を果たした大和中(佐賀)。一昨年も2位となっており3年連続の入賞となった。
昨年の大会を経験していない選手がほとんどだが、今年のチームも日本一を狙える力があった。
トーナメント初戦は副将畑島以外が勝利をあげ4─1で平田中(島根)を下す。第2試合も先鋒碇、次鋒中牟田と畑島の勝利で3─0と忍野中(山梨)に快勝した。
五ヶ瀬中(宮崎)とのトーナメント1回戦は接戦となる。碇の勝利のあと中牟田が敗れるも、中堅井石が二本勝ち。副将畑島が一本を失うも2(2)─1(1)とわずかにリードして大将戦へ。
大将一番ヶ瀬は引き分けでからくも勝利をつかんだ。そして、つねに全国を狙う燕中(新潟)との準々決勝は、昨年、一昨年の決勝と同じカードとなり注目されたが、碇が勝って先行すると中牟田、井石ともに一本勝ちで続き、予想に反し一気に決着をつけた。
準決勝は淑徳巣鴨中に対し碇が本大会初めて敗れると、中牟田も敗れ完全に主導権を奪われてしまった。
■3位・玉島東中(岡山)|地元開催に向けての強化が実り、初の3位入賞
地元岡山の玉島東中が3回目の出場で初の入賞を果たした。予選リーグで実績のある2チームと同居となったがそこを突破すると、決勝トーナメントも安定感のある戦いぶりで準決勝まで駒を進めた。岡山勢の入賞は17年ぶりのことだった。
予選リーグでは久御山中(京都)、大沼中(埼玉)という実績のあるチームと対戦することになったが、久御山中に4─0で快勝すると、大沼中には大将井上の貴重な勝利で1─0と接戦を制した。
決勝トーナメント1回戦では幕張本郷中(千葉)に、次鋒森本、副将横井(乙)が勝って2─0と手堅く勝利を収める。
勝平中(秋田)との準々決勝では先鋒戦を奪われるも、同様に森本、横井の勝利で逆転している。
準決勝では中村学園女子中に先鋒岩本が敗れると、ポイントゲッターとなっていた森本、横井(乙)も敗退し快進撃はここでストップした。
■その他の決勝トーナメント1回戦
勝平中(秋田)×豊中十六中(大阪)
先鋒戦は勝平中の小野が先取するが、勝馬がコテを返し引き分け。
次鋒戦引き分けのあと、勝平中の中堅秋山がメンを先取、コテを返されるもさらにメンを奪って勝つと、勝平中の菅原がコテを奪って三田を下し、チームの勝利を決めた。
磐田一中(静岡)×尚絅中(熊本)
磐田一中の次鋒柘植が先勝するも、尚絅中は中堅吉野、副将成松がともに一本勝ちで逆転に成功する。
大将戦、磐田一中の松田はメンを先取してこの時点で本数で並ぶと、さらにドウを奪って一気に逆転、2(3)─2(2)として磐田一中が好勝負を制した。
潮田中(神奈川)×小山三中(栃木)
潮田中の次鋒垣井が二本勝ちでリードを奪うと、小山三中はすかさず中堅石島がメンを決めて一本勝ち。そこから試合は動かず、副将戦、大将戦ともに引き分けて、潮田中が一本差でからくも勝利を収めた。
燕中(新潟)×平坂中(愛知)
リーグ戦初戦では大将臼井が先行されながら追いつき、なんとか本数差で勝利を収めた燕中。第2試合は2─0だったが、この試合も競った展開となる。
先鋒戦を落とすと、次鋒佐藤(和)、中堅八鎌がともにドウを奪っていったんは逆転するが、副将戦では佐藤(妃)が平坂中の柵木に二本を奪われ、2勝2敗、本数でリードを奪われる。
しかし大将臼井がドウを決めて、からくも勝利を手にした。