第16回 全日本選抜剣道八段優勝大会
平成30年4月15日(日)
名古屋市中村スポーツセンター
第16回全日本選抜剣道八段優勝大会 2回戦・1回戦
ここでは、この記事の前にお伝えした全日本選抜剣道八段優勝大会の2回戦以下の編集長・鈴木の戦評を写真と一緒にお伝えします。
■2回戦
2回戦 恩田浩一(東京)メ─ 平野誠司(徳島)
序盤、恩田のメンには平野が剣先を相手の前面につけて防ぐ。平野も攻めるがなかなか打ち切れない。中盤平野のメンと恩田の出ゴテの打ち合いもともに惜しかった。結局残り2分ほどのところで平野が相手の竹刀を払うところで逆に恩田が中心を取り、見事なメンを決めた。そのまま恩田が一本勝ちを収める。
2回戦 笠谷浩一(大分)ド─ 石川薫(京都)
序盤から笠谷の技が目立ち、石川は1回戦よりも技が出ない印象。後半になって石川がメンを出すも不発。笠谷は表を攻めて裏からメンなど惜しい技を見せる。時間が残り少なくなったところで、石川がメンに行くと、笠谷が教科書にあるような前で返しての見事なドウにさばいた。
2回戦 宮戸伸之(和歌山)ド─ 坂田秀晴(山梨)
剣先を相手の竹刀に滑らせるように機を探る宮戸と、じっと動かさない坂田。宮戸が何度か打突を出す。相手の攻めには崩れない坂田だが、逆に攻めて打つ場面も少ない。延長に入り、ようやく坂田に大きな技が出るも、宮戸は見切っている。膠着状態になりそうな試合に決着をつけたのは宮戸の逆ドウ。それならとばかりに大きく踏み込んでメンを狙いつつ逆ドウを放つと、審判の旗がきれいに上がった。
2回戦 染谷恒治(千葉)ココ─ 山本雅彦(大阪)
序盤、慎重に機会を探る染谷に対し、山本が上段からのコテを何度か見せる。染谷がコテを狙うと、打ち終わりに山本がメン。これは両方とも一本にはならない。そして中盤、染谷の体が伸びると山本の左コテを完璧にとらえた。ややあって、染谷はまったく同じコテで二本目を奪う。上段攻略がとても簡単なことに思えるような、見事な二本のコテだった。
2回戦 石田利也(東京)コ─ 稲富政博(佐賀)
試合が中盤に差し掛かるあたりで、稲富が石田のコテを狙っていくと、それを返して石田がメンを決める。石田の振りの速さに場内がどよめいた。稲富も終始メンやコテなどを打ち切り小気味の良い剣道を見せるも、あとわずかで一本にならなかった印象。
2回戦 湯澤寛(秋田)ド─ 清田高浩(福岡)
清田が攻めて片手ヅキを見せるなど、序盤から主導権を握った印象だった。動きがなかった湯澤だが、中盤すぎ、清田がメンに行ったところに返しドウを決めた。その後は湯澤はそれまでより手数を増やし、清田の攻撃を封じた。内容は悪くなかった清田だが追いつくことはできず。
2回戦 江藤善久(大阪)ド─ 清水新二(熊本)
終盤になって、江藤が清水のメンをドウに返して勝利を収めた。
■1回戦
1回戦 新屋誠(大阪)ドメ─ 山中章義(広島)
静かな攻防で始まった第一試合、前半に新屋が返しドウを決め先行する。その後は新屋の技が決まらなかったところを狙うなど山中にもチャンスがあったが、新屋がメンに跳び込んで二本目を奪い快勝。
1回戦 宮崎正裕(神奈川)メ─ 佐賀豊(北海道)
序盤宮崎に惜しいメンがあり、その後で佐賀もメンで宮崎を脅かす。その後は両者ともに充分な打突がない印象で、試合は延長に入る。延長に入って二合目、佐賀の出ばなに宮崎が鋭くメンを決めた。
1回戦 恩田浩司(東京)メメ─ 佐伯浩美(宮崎)
佐伯は立ち上がりから気迫を前面に出して戦い、コテなどで恩田を攻める。恩田もコテを見せるなどしていたが、後半になって恩田が遠間から大きくメンに跳び込み先制する。佐伯は出小手を狙ったが追い込まれた体勢になった。二本目となり、恩田が今度はコテからメンに渡って決めた。
1回戦 平野誠司(徳島)コメ─ 長谷川弘一(福島)
まだ序盤のうちに、長谷川の手元が上がるところに平野がきれいにコテを打ち込んで先制。その後、長谷川も工夫のある攻めを見せるが、動きに余裕が感じられる平野はツキなども繰り出すと、長谷川の居ついたところにメンに跳び込み、二本目を奪った。
1回戦 石川薫(京都)メ─ 大城戸功(愛媛)
石川は立ち上がりからメンを二本、三本と打ち切り攻勢に出る。すると今度は大城戸が石川のメンをドウに返す。重みのある竹刀さばきを見せる静の大城戸に対し、動の石川が攻める展開が続き、さらに石川がメンに跳ぶと大城戸は竹刀で防ごうとするも一本となった。大城戸は終盤にも惜しい返しドウ見せるが決まらず、1回戦で姿を消した。
1回戦 笠谷浩一(大分)メ─ 大澤規男(埼玉)
それまでともに打ち切れない展開だったが、中盤、笠谷が遠い間合から大きく入ってメンに跳び込み、一本を奪う。大澤はコテなどで反撃するも、その技が外れたところに笠谷がメンを打ち込みさらに大澤を脅かす。跳び込みドウなども見せた大澤だが笠谷を最後まで捉えきれなかった。
1回戦 宮戸信之(和歌山)コメ─コ 西川清紀(東京)
西川が出ようとするところ、手元は上がっていなかったが宮戸が巧みにコテを打ち込んで先制すると、さほど時間をおかずに西川も出ゴテを返して一本一本とする。最後は西川のコテが決まらなかったところに、宮戸ががら空きとなったメンを痛打した。
1回戦 山本雅彦(大阪)ココ─ 栄花英幸(北海道)
初太刀、栄花が出るところに山本が上段から諸手でコテを決め先制する。二本目となり、その山本のコテを抜いて栄花が片手メンを放ったが旗は上がらず、続いて栄花が出るところに山本が同じように諸手でコテを決めた。
1回戦 石田利也(東京)メ─ 浦和人(兵庫)
相メンとなり石田(写真・背中が浦)のメンが有効打となる。先制を許した浦だったが、石田のコテが外れたところにメンなど、あと一歩で旗が上がりそうな場面を何度か作った。石田が迫力ある攻めで僅差で勝利を手にした印象の一戦だった。
1回戦 稲富政博(佐賀)メ─ 大河内鉄彦(愛知)
この大会で優勝経験のある稲富がコテや片手ヅキ、片手メンなど多彩な技で攻めれば、大河内は時折大技のメンを繰り出す。両者対照的で興味深い勝負となったが、延長に入って間もなく、稲富のメンを大河内が返してドウ、これは両者一本とならず大河内が抜けたところに稲富が打ったメンが決まり技となった。
1回戦 清水新二(熊本)ツ─ 清野忍(山梨)
初出場の清野は一度大きなメンを見せ、跳び込みドウなども放つが、本大会でも経験豊かな清水が相手の技を封じ、機会を待っていた印象。終了近くなったところで清水が意表をつく片手ヅキを放ち一本を奪った。
1回戦 湯澤寛(秋田)メ─ 栗田和一郎(東京)
端正でスマートな構えの栗田に対し、湯澤が重みのある打突を繰り出し積極的に攻める。栗田は冷静にさばいていたが、試合半ば過ぎ、湯澤が渾身のメンを何とか届かせて一本を奪う。その後はともに手数が多くなる中、栗田の反撃を湯澤が手数を出してしのいだ印象。
1回戦 坂田秀晴(山梨)メ─ 小山正洋(静岡)
ともに相手の技を殺し合い、本大会最長試合となる。最後は坂田が相手が押さえに来る竹刀を跳ね上げるようにしてメンに跳び込んだ。
1回戦 染谷恒治(千葉)メメ─ 高木弘伸(島根)
早い時間帯に染谷が豪快にメンに跳び込み先制。高木もすかさず出ゴテで追いつくが、ほどなく染谷が再びメンに跳び込んだ。
1回戦 江藤善久(大阪)メ─ 下川祐造(岩手)
無駄打ちのない静かな攻防だったが、互いにメンに跳んだところで江藤のメンが決まる。下川は最後まで江藤をとらえきれなかった。
1回戦 清田高浩(福岡)メ─ 松本政司(香川)
お互いに相手がよく見えており、動きも鋭い。延長に入って間もなく、清田がメンに跳び込んで決めた。