平成24年のインターハイ女子団体決勝は、前年優勝の守谷(茨城)と初優勝を目指す中村学園女子(福岡)の戦いとなった。
平成24年のインターハイ女子団体決勝は、前年優勝の守谷(茨城)と初優勝を目指す中村学園女子(福岡)の戦いとなった。
守谷は前年、個人戦も制した高橋萌子を大将に擁するチームで優勝したが、この年はメンバーが入れ替わり、大将大亀杏も前年玉竜旗は経験しているもののインターハイは出場していなかった。
一方の中村学園女子は春の全国選抜大会、7月の玉竜旗大会を制し、インターハイ初優勝に向かって邁進していた。
中村学園は2年生大将の大西ななみと、3年生の副将今村舞が鉄壁の強さを誇り準決勝までともに全勝で決勝を迎える。
一方の守谷は大黒柱の大亀が初日の予選リーグで2敗と不振。先鋒後藤千尋を初め前衛陣がチームを引っ張ったが、トーナメントに入って大亀も復調してきていた。
決勝は中村学園のペースで運ぶ。
先鋒・杉田悠が延長でコテを奪い勝利、次鋒の姉川恵里香がメンを先取されながらメン二本で逆転し、いきなり王手をかける。中堅戦は引き分けに終わった。
鉄壁の二人が残る中村学園女子の勝利を多くの観客が半ば確信しただろう。
しかし守谷は副将高橋穂が序盤にまっすぐなメンを決め今村を一本勝ちで下すと、大将大亀が前半に相手のメンを返して打ったメンに旗が上がる。
場内には異様な空気が漂い始めた。その後大亀が二本目をとるべく攻めるが大西も必死に食らいつき、時間切れとなった。
そして大亀と大西の代表戦、守谷に傾いた試合の流れに乗った大亀は、開始から23秒で大西のメンをドウに返した。
この瞬間、守谷が2連覇を達成した。
中村学園の岩城規彦監督が試合後
「流れですね」
とコメントを残している。
一方守谷の塚本浩一監督は
「大亀がメンタルな部分でまさることができた」
と語った。
流れとメンタル。それは大人の試合でもそうだろうが、十代の高校生の試合では技術を越えて大きく試合を左右する。
勝負の恐さ、剣道の勝敗の微妙さをまざまざと感じさせる一戦だった。
最初の優勝に至るまでは時間がかかるが、一度優勝を経験した監督は、2回目の優勝、連覇など勝利を重ねることが多い。
守谷はこれが4回目の優勝。玉竜旗や全国選抜では何度も優勝している中村学園女子だが、インターハイではこの時点でまだ優勝していなかった。
同校のインターハイ初優勝は4年後のこと。
そしてその翌年、両校は再びインターハイ決勝で、今度は中村学園女子が2連覇をかけて対戦する。