脱水症状を防ぐ!上手な水分補給

脱水症状対策 上達のコツ

夏の稽古で気をつけたい!脱水症状対策

脱水症状

だんだんと暑い季節になってきました。

そんな中で胴着や防具をつけて稽古をするとあっという間に汗だくになってしまいますが、夏の稽古で特に心配なのは脱水症状です。

今回は脱水症状の原因とその対策について紹介していきたいと思います。

■脱水症状とは?

脱水症状=体内の水分が不足した状態

脱水症状とは、体内の水分が不足した状態を指します。

汗や排泄などで体の中から出ていく水分量(水分喪失量)に対して、体に取り入れられる水分(水分摂取量)が不足することで起こります。

私たちの体に含まれる水分は「体液」と呼ばれます。

体液は体の60%を占める水分とミネラル、タンパク質などで構成され、生命機能の維持に深く関わります。

多量の発汗などで水分が失われると、これらの成分も一緒に流出していってしまいます。

脱水症状にも様々なものがありますが、主に失われる水分量に応じて症状が異なります。

まず、体重に対して2%の水分が失われると喉の渇きが起こります。3%で強い喉の渇きとぼんやり感、食欲不振が起こり、5%で頭痛などの症状が現れます。

さらに、8~10%の水分が体から失われると体の揺れやけいれんが起こり、20%で死にいたると言われています。

このように脱水が深刻になると命に関わる状態に陥ってしまいます。

特に夏場の稽古では、胴着や防具に身を包んでいるため、体外に温度を逃がすため多量の発汗が起こります。

気温が高い時はもちろんですが、体内の水分量が足りない状態での運動には十分な注意をはらいましょう。

■水分補給のタイミング・ポイント

水分補給のタイミング・ポイント

脱水症状を予防するためには水分補給が欠かせません。

ではどのタイミングで水分補給を行うのがよいのか、またそのポイントについて簡単にみていきましょう。

稽古前の補給

稽古の前に250~500ml程度の水分を補給しておくことをおすすめします。

飲んですぐに動くと吸収を妨げるので、30分前くらいまでに飲んでおくのがよいです。

このときに一気飲みをしないように気をつけてください。

稽古中の補給

稽古が始まってからは、少なくとも20~30分に1回程度の水分補給を行うのがよいでしょう。

一回に150~200ml(コップ一杯)ほどの水分補給を行うと体温の上昇が抑えられるほか、汗として流れ出た分の水分を補えます。

暑い時期や長時間の稽古、かかり稽古などで運動量が増える場合は、水だけでは流出するミネラルが補えないため、ただの水よりも適度な塩分が含まれる飲料を選択しましょう。

日頃からのこまめな水分補給を

脱水症状はのどが渇いていなかったり、あるいは汗をかいていない段階からでも起こり得ます。

気温の高い夏は日常生活でも水分が失われやすくなっています。入浴の前後はもちろん、睡眠中にも汗によって水分が失われています。

就寝前や起床直後の水分補給も忘れずに行い、体が慢性的な脱水状態にならないよう注意していきましょう。

のどが渇く前からこまめな水分補給を心がけてください。

水分の温度

夏の稽古中は冷たい水がおいしく感じられますが、冷たすぎると内臓に負担をかけてしまいます。

一般には常温のものが吸収によいとされています。

しかしあまりに外気温が高すぎる場合などは11~15℃程度に冷やした水分を補給することで体温の上昇を抑え、熱中症予防などの効果が期待できます。

■水分補給におすすめの飲み物

水

もっともお手軽なのがです。自分にとって飲みやすい水であればどんなものでも構いません。

短時間の稽古やそこまで激しい内容でない場合、また日常生活のなかで水分を補給するのであれば水で十分でしょう。

ミネラルが多く含まれるからといって硬水をいきなり大量に飲んでしまうとお腹を壊してしまう可能性もあるので注意が必要です。

塩入り麦茶

塩入り麦茶

夏の部活動で「塩入り麦茶」が用意されていたという経験はないでしょうか。

実は麦茶には体温の上昇を抑制する効果があります。水を飲んだ場合と麦茶を飲んだ場合とでは、麦茶を飲んだほうが水よりも2℃ほど体温を低下させたという実験結果もあるようです。

麦茶にはカリウムが含まれますが、発汗によって流出するナトリウムを補うには不十分です。そのため、塩を加える必要があります。

具体的にはおよそ0.1%~0.2%程度の塩分濃度に調整するのがいいと言われています。

スポーツドリンク

スポーツドリンク

スポーツドリンクは浸透圧の設定によって主に2種類に分けられます。状況に応じて使い分けましょう。

浸透圧とは、同じ濃度になろうとして水が移動する力のことを指します。通常は濃度が低いほうから高い方へ水分が移動します。

ちょっと難しい話が出てきましたが、つまり何が変わるのかというと、スポーツドリンクの浸透圧の設定によって体内で水分が吸収される速さが変わるということです。

ハイポトニック飲料

糖分や塩分が含まれますが、体液の濃度よりも低い浸透圧に設定されている飲み物です。

運動して汗をかくと体液の浸透圧は低くなっているため、ハイポトニック飲料は速く腸管で吸収されます。

稽古中など発汗量が多いときにはエネルギーよりも水分補給を優先したほうがよいので、ハイポトニック飲料を選択するのがよいでしょう。

また、糖分の含有量が少なめに設定されているためカロリーが低く、減量などで糖質の摂取量を気にしている場合にも向いています。

アイソトニック飲料

水に糖分や塩分を配合して人の体液に近い浸透圧に設定された飲み物です。

そのためアイソトニック飲料は体液が同じ浸透圧である安静時においては体内への吸収が速く行われます。

しかし、運動中は発汗により塩分が排出されることで体液の浸透圧が低くなるため、運動時の水分吸収スピードはやや遅くなります。

さらにアイソトニック飲料には糖質が多く含まれているので、長時間の運動のエネルギー源になりますが、注意しなければならないのは糖質が多い分カロリーオーバーになりやすいという点です。

糖質の量やカロリーに注意しながら、運動前のエネルギーチャージや、運動後のリカバリーとして飲むのがよいでしょう。

ここで疑問なのは、どれがハイポトニック飲料でどれがアイソトニック飲料になるのか?という点です。

これは含まれる糖質の量に注目することで判別できます。

糖質が全体の2.5%以下に抑えられているものがハイポトニック系、2.5~8%含まれるものがアイソトニック系の飲料になりますので、商品を選ぶ際に参考にしてみてください。

■まとめ

脱水症状・まとめ

・稽古前の水分補給は30分前までに済ませる。稽古中は20~30分おきの水分補給が望ましい。

・慢性的な脱水にならないよう、就寝前や起床直後、入浴前後などこまめな水分補給を行う。

・水は冷やしすぎない。一気飲みもNG。

・塩分の補給も忘れずに。スポーツドリンクを飲む場合はカロリーや糖質の取り過ぎに注意し、場面によって飲み分けをする。

いかがでしたでしょうか。慢性的な脱水に注意し、暑い夏の稽古もさわやかな気分で乗り切りたいですね。