痛みをケアする効果的な方法

上達のコツ

もし稽古・試合中に怪我をしてしまったら?

スポーツや武道をしているとどうしてもついて回るのが、練習中や試合中の怪我です。

相手と競いあう以上は怪我をする確率も高くなりますが、剣道は防具を使用して行うこともあり、他の武道と比べて外傷する機会は少ないと言われています。

しかし、怪我をする確率そのものは他のスポーツと比べれば多くなるでしょう。

怪我はこんな状況下でよくおこります。

・体と体、あるいは体と竹刀が接触した場合
・無理な姿勢や速い動きで打突することで、筋肉や骨、関節、靱帯などに大きな負荷がかかった場合
・反復動作が多いこともあり、筋肉や関節、靭帯などを使いすぎた場合
・これは過用症候群(オーバーユース・シンドローム)とも呼ばれており、他にもオーバートレーニングなども要因に挙げられています
・剣道の稽古中や試合中に自分で転倒したり、相手や周囲の人と接触した場合
・剣道防具の不整備や破損、規格外の竹刀の使用や練習する道場の整備不良などの場合
・日頃の健康管理の不徹底や、体の生理や外的環境を考慮しないで練習した場合

その怪我の内容としては、外傷や障害によるものは「アキレス腱断裂」「腰痛」、四肢の関節挫傷や捻挫の頻度による怪我は、「肘」「肩」「膝」「足」「手」「指」などを損傷することがあります。
また骨折の頻度については、肋骨や胸骨が多く見られます。その他の骨折部位は「頭部」「顔面」「足根骨」「鎖骨」「肩甲骨」「手の骨」「下腿骨」「膝蓋骨」などとなっています。

■特に多い怪我

踵の痛み

踏み込みでの踵の痛みです。剣道で踏み込む際に踵から踏み込んだり、袴の縫い目を踵で踏んだりして痛めてしまうことがあるのです。普通の練習では問題ないのですが、大会などで緊張しているときは踵を痛めることもあります。一度痛めると、その後の練習にも影響してきますので注意しなければなりません。何よりも怖いのは、足裏にある足底筋膜が炎症したり裂けたりすることです。

踵の踵骨部挫傷

他にも踵の踵骨部挫傷も起こる可能性があります。こちらは踵の衝撃を吸収してくれる脂肪が、強い衝撃を伴って損傷してしまいます。こういった怪我の治療には、やはり休養を取ることが一番です。休養して体を休ませて、回復させることが最も良い方法です。また人によっては歩行にも支障が出ることもあり、我慢できないときは痛み止めの注射を受けることも考えましょう。我慢できる程度の痛みであれば、注射は避けた方がいいでしょう。

■損傷した場合は安静にする

早めの回復を考えるのであれば、痛みを感じるうちは損傷部位を全く動かさないことが重要です。患部を動かしてしまうと、回復は遅れてしまいます。
歩行に支障が出る際にはギプスと松葉杖で対応し、患部を動かさないように注意しましょう。そして痛みが取れたら少しずつリハビリを始めることとなりますがその際には無理な体勢とならないよう、患部に意識を持って臨むのがよいでしょう。

フォームの改善
このような怪我の予防法としては、フォームの改善があります。怪我をしやすいフォームになっていますので、自分のフォームを見直してください。悪いところがあれば、早急に改善することが大切です。

剣道をしているとクセなどから同じ場所が痛みがちです、長く剣道を行うためにも、正しいケアをしていきましょう。

筋肉痛との付き合い方

■筋肉痛は、早めのケアが大切

筋肉痛はつきものですが、剣道でももちろん起こります。このような痛みは上達の確かな証拠とも言えますが、場合によってはプレイできなくなるくらいの痛みを伴うこともあります。
筋肉痛は毎日のように練習を行っている人でもなるため、今まで長いブランクがある方は特に気をつけるべきです。

■剣道で気をつける筋肉痛の部位

剣道で特になりやすい筋肉痛の部分としては、足のスネです。
剣道ではすり足という独特の歩行法がありますが、この方法は足にかなりの負荷がかかります。練習のし過ぎで乳酸が増えて、筋肉痛になってしまうのです。
また腕の外側の筋肉も同じで、力を込めて竹刀を振ったりすると痛みが出ることがあります。この部分の筋肉痛は練習前のケアが大切です。
練習を始める前に入念なストレッチを行い、足をしっかり伸ばしておくことが望ましいです。
さらに練習後も同じようにストレッチやマッサージなどを行い、痛みやすい部分をしっかりケアしておきましょう。
ストレッチやマッサージでほぐしておくと、その後の練習での筋肉痛を緩和できます。

■筋肉痛がおこったらすること

一昔前の考え方では、筋肉痛が起こってからの運動が大切と言われたこともありました。
ですが、筋肉痛は筋肉組織の損傷や新たな組織の形成からくる痛みです。痛みがある中で運動を続けると回復が遅れる原因ともなりますので、痛みがある際には患部をあまり動かさず、回復に努めることが大切です。

その他のケア法としては、お灸があります。
足や腕には「三里」という疲れを取ってくれるツボがありますので、この位置にお灸をすえると痛みが治まりやすいです。

試合の前に!効果的なウォーミングアップ

試合に臨む前に欠かせないウォーミングアップ

どんな競技・スポーツでも試合前のウォーミングアップは大切です。入念に行うことで怪我をしにくくなります。ここではウォーミングを行う意味、方法などについて説明していきたいと思います。

■ウォーミングアップとは?

ウォーミングアップ(Warming up)とは、スポーツをする前に軽く体を動かしたり筋肉をほぐし温めたりすることをいいます。いわゆる準備運動のことで、略して『アップ』とも呼びます。

行うことで関節の動きをなめらかにしたり、筋肉がほぐれることで体のこわばりを防ぎ、激しい運動にも対応できるようになります。

事前にウォーミングアップをすることで普段のパフォーマンスをしっかり発揮できるようになりますし、逆にウォーミングアップを行わずいきなり試合に臨んでしまうと、体が思うように動かせず不本意な試合結果になったり、最悪の場合は怪我に繋がることも考えられます。できるだけウォーミングアップは入念に行っておくと良いでしょう。

多くの大会では試合の前にウォーミングアップの時間が用意されています。その時間を有効に利用して体を温めておきましょう。

■タイミング

まず大切なのは、ウォーミングアップを行うタイミングではないでしょうか。そのタイミングは人それぞれですが、できるだけ早い段階でウォーミングアップすることをおすすめします。

人それぞれ本番へ向かうまでの間があると思いますが、ウォーミングアップを終えて気持ちを整理する時間も必要となるので、時間がない中で急いで行うのではなく、できるだけ早い段階でウォーミングアップを行い、気持ちに余裕を持っておくことも大切です。

また、ウォーミングアップを行っている姿を対戦相手に見せることで、試合への意欲を印象付けることができます。

■やり方

時間が取れそうならまずは軽いランニングや筋肉を伸ばすためのストレッチなどから始めてみましょう。

気をつけるべきポイントは、やりすぎないことです。普段から稽古を重ねていれば基礎体力もついているとはいえ、いつもと違う環境でつい力が入り、ウォーミングアップで体力を必要以上に消費してしまうと肝心の試合に影響を及ぼしかねません。

強い選手・強いチームはウォーミングアップも上手にこなしていることが多いので、機会があればその様子を見て参考にするのも良いかも知れません。

■適切な場所でやろう

ウォーミングアップは基本的に試合会場の中で行うことになりますが、どこで行うかも大きなポイントだと言えます。

様々な場所がありますが、基本的には各自がしやすい場所で構いません。また会場内に適切な場所が見つからない場合には、外、駐車場でも構いません。体を動かせるスペースを見つけ、筋肉をほぐし温め、本番に備えましょう。

■まとめ

事前のウォーミングアップは本来のパフォーマンスを出すためだけでなく、怪我の予防にもなりますので、大会に臨む際には十分に体を慣らし、準備を整えておきたいところです。
もし怪我をしたなら無理をせずすぐに治療にあたるのが大事です。競技である以上、怪我はつきものですが、長く剣道を続けることこそが本来の剣道の姿ですから。

この記事は、過去の掲載記事を加筆しています。