剣道に適したシーズンとは?
スポーツにはそれぞれシーズンがあります。高校野球なら春から夏、駅伝なら冬といった具合ですが、剣道にもシーズンがあります。
春は春で十分盛り上がっていますが、夏では、最も大きな大会で、剣道版甲子園とも言える『玉竜旗全国高等学校剣道大会』が7月の下旬に開催されてます。
小学生(道場)や中学生の全国大会も7月から8月にかけて行なわれ、やはりこの時期が最も盛り上がるシーズンと言えるのではないでしょうか。
そんな夏の時期だからこそできる普段とは変わった練習や、夏の時期特有の気をつけるべきことなどについて触れていきたいと思います。
■夏の稽古は面白い?
大会だけでなく稽古においても夏というのは実は重要なシーズンなのです。
言うまでも無く暑さのためにつらい時期ではありますが、夏の稽古はそれ以上に面白さを感じられる経験も多いはず。筆者の体験から紹介していこうと思います。
学生時代には夏休みがあり稽古時間が長くなります。夏の暑さに加えて時間まで長くなるのですから、通常の激しい稽古の延長をすればみんな倒れてしまいます。
そのため、普段の激しい稽古とは違った技術的な細かい練習や「型」の稽古といった、じっくりと時間を使うような稽古をしていました。
もちろん激しい稽古もやりますが、通常稽古の反復練習や地稽古といった単調になりがちな稽古のほかに細かい技術を覚えたり、癖を見つめ直したりと自分と向き合うことをやっていきます。
この夏の稽古を終えると自分でも驚くぐらいの実力が身についています。
夏の稽古は通常とは違った稽古があるのも楽しみのひとつだと言えます。
■夏といえば!合宿で結束アップ!
もうひとつの楽しみが「合宿」にあります。
仲間と同じ目標を持って過ごす時間はかけがえのない思い出になったり、経験になったりもします。こういった人間関係を育むことで、剣道の技術だけでなく人間的な成長も促せるわけです。
剣道では他のスポーツ以上に「気遣い」や「絆」といったものがとても重要になります。
相手を竹刀で打つ、相手に打たれる、型に関しては防具なしの木刀でやるのですから、相手を信用し、しっかりとした信頼関係もっていないとできません。
それと、よく「礼節や心構えを大切に」と言われますが、夏の合宿を通じた集団生活を送ることで、これらを学ぶ事もできます。
■熱中症対策・気を付けておきたいこと
剣道は防具を着ることが義務付けられるということもあって、身体の熱気が逃げにくくなるため、熱中症になりやすい武道と言えます。
特に暑い夏場は十分に注意する必要があるでしょう。たとえ冷房の効いた場所で行う場合でも油断は禁物です。
事前にしっかりと対策する必要がありますが、万が一熱中症で倒れるようなら早めに対処する必要があります。
試合や稽古中に誰かが熱中症で倒れた際に、その症状が酷い場合はすぐに救急車を呼んでください。そして救急車が到着するまでの間、涼しいところに寝かせるなどの応急処置を施しましょう。
また症状が比較的軽い場合は周りの人から協力してもらい、自分たちで応急手当をする必要があります。
熱中症とは…?
◆かかりやすい環境や要因:
30度を超す気温もしくは高い湿度、強い日差し、通気が悪い、厚着をしている、激しい運動、炎天下で長時間作業、水分補給不足。
◆種類:
熱失神、熱けいれん、熱過労、熱射病
◆症状:
めまい、汗がとまらない、筋肉痛、頭痛、吐き気、だるさ、40度を超える高熱がみられる、意識不明。
◆予防:
こまめな水分補給(ノンカフェインの常温のお茶や水)、ビタミンB1やクエン酸を摂る、規則正しい食生活を心がける。
応急処置の方法としては、以下の点を参考にしてください。
熱中症の対処方法としては、まず身体を冷やすことが大切です。熱中症というのは体温調節が正常に機能しないことで発症する病気ですので、すぐに体を冷やす必要があるのです。
まずは、涼しい場所に移動することが先決です。エアコンが効いた部屋や、扇風機などが設置してある部屋に移動をさせましょう。
そのような場所が見つからないときは、日陰の風通しが良い場所などできるだけ涼しいところに移動するといいでしょう。
熱中症対策で体を冷やす際には、衣服(防具)を外し、身体から熱を逃がしてやることが重要です。
肌に直接水をかけたりうちわや扇風機などで風を送ってやるといいでしょう。冷却の効率性を増すためにも、太い動脈がある場所を中心にして冷やすことを考えましょう。
ちなみに太い動脈がある場所としては「首の前」、「ワキの下」、「足の付け根」などがあります。これらの場所に氷嚢を当ててやると効果的です。
本人にある程度意識がある場合は、経口補水液・スポーツドリンクなどを自力で補給させましょう。
逆に意識がない状態で他者が無理やり水分を飲ませることは気道に流れ込んでしまう恐れもあるので必ず避けて下さい。
■まとめ
夏の練習と聞くと、たいていは「しんどい」「遊びたい」というワードが真っ先に出てきてしまうものです。
しかし一方で、夏の稽古で「体と技」を磨いて、夏の暑さと合宿で「心」を養っていける二段構えのシーズンに、剣道上達のコツが隠されているかもしれません。
しかし、気温の上がる季節でもあるため、くれぐれも無理をすることだけは禁物です。
特に熱中症は体調を崩すだけでなく命にも関わるため、指導者(学生の場合は保護者)の注意をしっかり聞き、体温が上がりすぎないよう十分に注意して稽古に励みましょう。