はじめるのに適齢期は存在する?
剣道は、武道の基本と一緒に礼儀作法も学べる魅力的な競技です。そのため子供に習わせる保護者さんも少なくありません。
競技に自体には年齢なくできますが、スタートはいつがいい?となる方もいます。では、ある程度年齢を重ねてからでも大丈夫なのでしょうか?
■幼年・少年期のスタート
例えば、自分のお子さんに始めさせる時期について、悩んでいる保護者の方もいるのではないでしょうか。
剣道を学ぶ上で適年齢はありません。幼稚園児でもできますし、80歳代のおじいちゃんでもすることはできます。
ただ年齢は特に決まっていないと言っても、いざ自分の子どもに習わせるとなると気になるものです。
本人がやりたいときから始めるのが理想ですが、強くなりたい点を考慮するのであれば、早いに越したことはないでしょう。
しかし幼稚園児のような子どもに対して大人と同じように指導をしても、怪我をする可能性が高まるだけです。
ですので幼稚園児や小学校低学年の子であれば剣道で強くなることよりも、まずは好きになってもらうことに重点を置いた方がいいでしょう。
大会に優勝したり大成する選手は、子供の頃から何かしらの道場・団体に通っていることが多いです。
そういった場所の多くが小学生や中学生を幅広く受け入れています。
というのも、剣道が直観よりも精神面、身体面での両方が成長して強くなる側面が強い競技だからです。
よって心理面である程度考えて体を動かし始めることができる小学生・中学生から始めることは有利と言えないこともありません。
まれに高校生からはじめて才能を開花させる選手もいますが、そういう人は始める前に全身を動かすようなスポーツを経験していたり、運動神経がずば抜けて良い選手だったりします。
■中高生からのスタート
次に中学・高校から始めることで成長はできるのでしょうか。
剣道に限らず、大抵のスポーツ・武道は伸び盛りの小学生の時から始める子が強くなっていくイメージがあります。
保護者の中には「中学、高校からで遅くはないのか?」「経験者に追いつけるのか?」と考える方もいるようです。
中学・高校生からスタートしても特に問題はありません。むしろ、ある程度成長してからスタートすることで得られるメリットもあります。
理解力
ルールや技など、初心者が学ぶべきことが多数あります。先生がそれらを指導する際は様々なことを説明しますが、小さい子どもであれば、難しい説明には理解できない可能性があります。
中学生以上の年齢であれば理解力が身につく時期でもありますので、先生が説明する事柄の理解力も当然持っているはずです。そのため上達しやすいのです。
体力
竹刀を振ったり動いたりすることが多いので体力も必要です。
中学生になると成長と共に体力が向上し、剣道での動きにも十分に対応できるようになるでしょう。そのため小さい子どもよりも早く習得できるようになります。
癖がつきにくい
子供の頃からスタートすると練習の仕方によってはおかしな癖がつき、それがなかなか改善されない場合があります。
上述の通り理解力の身に付いた中学・高校生から始めた方がおかしな癖がつきにくくなります。
もちろん早く始めるに越したことはありませんが、中学・高校から始めて実力をつけていった人は大勢存在します。
地域に少年団体がなかったり、中学に入って剣道部が人数を増やすために誘われたりして入部し、全国大会出場チームのレギュラーになったという話も珍しくありません。
最初は大変かもしれませんが、小さい子どもと比べ中高生は理解力や体力もありますので、すぐに追いつき追い越すことができます。
始めたばかりの初心者にはまずすり足と素振りの毎日が待っていますが、毎日基本の練習をしっかりこなしていけば、基本的な技はすぐに身につくはずです。
さらなる努力によって、長く続けている人を超える可能性すら秘めています。
■社会人からのからのスタート
社会人だから遅いということは決してありません。社会人になってから始められた方も大勢います。
剣道は生涯楽しめる競技であり、お子さんと一緒に学んでいる方もいらっしゃいます。
学校卒業や就職を境に剣道を辞めてしまった方は少なくないと思いますが、そこからしばらくして生活にも時間的余裕が生まれ、また剣道をやってみたい、となることがあります。
どんなスポーツもそうですが、空いたブランクが長ければ長いほど、勘を取り戻すのは容易ではありません。今までと動きは同じだけど何か違うと感じる事もあると思います。
とはいえ、徐々に体が動きを思い出してきますので、最初はあまり張り切りすぎずに楽しみましょう。勘がしっかり戻るまでは基本に返って素振りなどを中心に行うのが吉です。
大切なのは楽しむという気持ち
重要なのはその人のやる気になってきます。社会人なので、会社もありますし、どうしても時間的な制約は出てきてしまいます。
しかし、剣道を楽しむということは、いつ始めたかは関係がありません。どこまで真剣に取り組めるかです。何を定義に真剣かと問われれば、有段者を目指すくらいに真剣に行うかどうかというのがひとつの目安となってきます。
道具を揃えていける
剣道の場合は剣道防具を貸してくれるところがありますが、自分にフィットしない事が多いので、できることなら防具を買うことが1番です。
小中学生は、自分のお金で防具を買うのは難しいと思いますが、社会人なら経済力もあるので容易に揃えることができますし、防具以外に必要なものも購入できます。
続けていくために
一番のネックは「仕事をしながら両立できるか」という所だと思います。一般的な会社員の場合、平日は勤務時間後の練習ということになります。
残業なども出てくると思うのでなかなか時間を割くのは難しいかも知れませんが、毎週この日は稽古の日!と決めておいて、それを意識したワークスタイルを確立することが求められます。
あるいは土、日曜日などの休日を稽古に当てるという方法もあります。
最初は小中学生の方が練習量は豊富なので圧倒されるかも知れませんが、社会人だから遅いと言うことは決してありません。
まずは素振りの練習からしっかりと作法や型などを学んでいくことになりますが、大人の飲み込みが早いので直ぐに楽しさにハマると思います。
全国大会に出るなどはさすがに厳しそうですが、しっかり自分の趣味の一環として選択したのであればそれは間違いではないと思います。
■親子でスタート
親子で楽しんでいる人たちも見られますが、やはり親御さんの影響でお子さんも始めるパターンが多いようです。
逆に剣道をしている子どもの姿を見て、大人の方も始めたいと思うこともあるようです。お子さんは小学3年生くらいから親子で剣道をすることが多いようですね。
共通の趣味を通して親子の会話が増える
親子で共に楽める趣味を持つというのは、コミュニケーションが増えるきっかけにもなります。剣道だからこそ生まれる親子の絆があります。
親子で同じ道場で楽しむ親子は野球やサッカー程ではないですが意外と多いです。
剣道の場合は竹刀の握り方から始まりますが、その前に蹲踞も学びます。「今日はここが良かったよ」とお子さんに語りかける事によって、子供はますます楽しくなっていくのも魅力といえます。
成長を楽しむ
中学に上がれば、部活に入りますから指導は部活の顧問の先生にお任せという事になります。
それでも休日に道場に行って部活の成果を試したり、決して完全に離れてしまうわけではありませんからご安心を。
逆に自分の手から少し離れた間に、どこまで成長するのかも一緒に剣道を楽しむ上で重要な事です。
■最後に
剣道に限らず、どんな習い事も「小さい頃から始めた方が良い」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
確かに小さい頃から始めた方がその分実力がつくのも早いでしょう。だからと言って歳を取ってから始めても、全く問題はありません。
剣道というのは大人になってからも取り組むことができますので、心配しなくても大丈夫です。
お子さんにさせてみたい、お子さんがやってみたいという場合は、保護者の方も思い切って一緒に始めれば、親子で共通の話題を共有できます。
また激しい動きをするだけでなく、精神修養など心が鍛えられる競技でもあります。
仕事や生活のストレスから心のバランスを乱しがちな現代社会において、剣道を通して不動の精神を学んでみるのも良いのではないでしょうか。
どのスタートにせよ最初は剣道について学び、それが好きになった後にステップアップしていけばいいのです。