育ち盛りのうちから筋トレをしていると背が伸びなくなるって本当?

育ち盛りのうちから筋トレをしていると背が伸びなくなるって本当? 上達のコツ

『筋肉をつける=背が伸びない』説は本当?

『筋肉をつける=背が伸びない』説は本当?

育ち盛りのうちから筋トレをしていると背が伸びなくなる」このような話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

お子さんが剣道、あるいは他のスポーツ全般を習っている親御さんの中にはそこを心配されることもあると思われます。

体を動かす競技である以上は体づくり、とりわけ筋肉トレーニングは必要となってきます。剣道も例外ではなく、稽古や試合で相手とぶつかり合い、その衝撃を押し返して面や胴へと打ち込むためにはある程度の筋肉は必要になります。

今回は育ち盛りのうちから筋トレをしていると、本当に背が伸びなくなるのかという点について解説していきます。

■成長期にどうして背が伸びるのか

成長期にどうして背が伸びるのか

そもそも身長が伸びるという状態を一言で表すと骨が伸びているということになります。

人間には「成長期」があり、背が伸びるのはこの成長期の間だけとされています。それがなぜかというと、育ち盛りの頃=成長期の子どもにしか存在しない骨端線という成長する骨に秘密があります。

骨端線というのは骨の中央部と端の間にある軟骨の事で、成長ホルモンからの指令を受けて肝臓がソマトメジンという物質を分泌し、骨端線が増殖します。

その結果、増殖した部分が硬い骨になり、身長が伸びる結果になるのです。

この骨端線は成長期が終わる頃になると固くなってしまい、骨は伸びなくなります。

そのため、成長期に成長ホルモンを沢山分泌させ、カルシウムなどの骨を作る栄養素をしっかりと摂取すれば身長は伸びていきます。

ちなみに、個人差はありますが、骨端線は男性なら17~18歳まで、女性は15~16歳までで無くなってしまうようです。

筋トレをしていると背が伸びないと言われる理由

骨端線は柔らかい骨なので、強い衝撃が繰り返されると潰れてしまう恐れがあります。

つまり、本来伸びるはずの柔らかい骨が、負荷の高い筋トレをしてしまう事で潰れてしまい、結果として身長が止まるというのが、筋トレをしていると背が伸びなくなるといわれる理由です。

では、成長期に筋トレをしてはいけないのかというと、実はそうではありません。

成長期の頃は体が大人へとなりつつある時期で、適度な運動をする事で体の成長を促します。特に筋トレは筋繊維を破壊し、修復する際に成長ホルモンを多く分泌させます。

成長ホルモンは身長を伸ばす物質のため、筋トレは身長を伸ばすのに最適なトレーニングと言えます。

■やってはいけない筋トレ三箇条

子どものうちはやってはいけない筋トレ

では、具体的にどのような筋トレが骨端線に悪影響を与えるのでしょうか。

特に注意すべき点をまとめてみました。

強い負荷をかける筋トレ

骨端線を潰してしまう様な筋トレは身長を伸ばすのを止めてしまう恐れがあります。

特に、膝を極度に深く曲げるうさぎ跳びや、重たいダンベルやバーベルなどを用いた筋トレなどは要注意です。

休まずに筋トレ

負荷の少ない筋トレだからといって毎日休まずに繰り返していたら、骨端線に負担をかけてしまいます。

筋トレにしても、普段の稽古も無理のない範囲で行いましょう。

睡眠・栄養バランスが悪いまま筋トレ

体を作るのは睡眠と食事です。成長ホルモンを多く分泌するのは運動以外に良質な睡眠と食事と言われています。

また、筋トレは体に負担をかけるため睡眠・栄養バランスが悪い状態で行うと、悪影響を及ぼします。

身長の高い人は子どもの頃夜更かしせず早く寝ていたという話もよく耳にしますが、「寝る子は育つ」という言葉はまさにその通りだったというわけです。

■成長を止めない筋トレ方法

それでは成長期にオススメな筋トレ方法をご紹介します。

まず、成長期の頃はダンベルやマシーンと言った器具を使ったトレーニングは避け、自分の重さを利用した自重トレーニングを中心に行いましょう。

剣道において必要な筋肉は、腕・背筋・腹筋・脚の四カ所です。

腕立て伏せ

腕を鍛えるなら腕立て伏せがオススメです。

うつぶせに寝て、肩幅よりも少し広い位置に両手を置き、肘をしっかり曲げて体を落としましょう。

腕を伸ばす時に息を吐き、再び肘をしっかりと曲げて体を落とします。これを10回から20回を1セットとします。

腹筋と背筋はそれぞれ個別に鍛える事が出来ますが、どちらか片方だけ偏ってしまうと姿勢が悪くなったり腰痛の元になります。

プランク

そこでオススメなのがプランクという体幹トレーニングです。うつぶせの状態から肘をついて体を起こし、腰を上げ過ぎず、下げ過ぎない状態でキープします。

これを60秒耐えるのを1セットとします。

スクワット

脚を中心とした下半身全体を鍛えるならスクワットです。脚を肩幅よりもやや広めに開き、腰を丸めずお尻を後ろに突きだすようにしゃがみます。

お尻が膝の高さまで落としたらゆっくりと立ち上がります。このとき膝裏が伸ばし切らないように注意して、再びしゃがみます。

常にゆっくりと行うのを意識しながら15回から30回を1セットとします。

初めは少しずつ試して行き、慣れてきたらセット数を増やしていくようにしていくと良いです。

ただし、これらを全部毎日行うのは体に負担をかけて、成長を止めてしまう恐れがあります。

この中の一個か二個をやったら、次の日は別の個所を筋トレして、次の日は更に別の場所を筋トレして、という風にローテーションを組みましょう。

筋肉とは、筋トレをした事で筋繊維が千切れ修復されます。この時、千切れた部分を休ませないと最大の効果を受けられないのです。

今日は腕を鍛えたから明日は足をやろう、のように休養日を作ってあげると理想的です。

■成長期前の子供の稽古

小学生

ここまで紹介したのは成長期の子供、つまり中学生から高校生ぐらいの時期向けの筋トレ方法です。

ではそれよりも前の小学生の頃はというと、端的に言って筋トレそのものをオススメしません。

筋トレをして成長ホルモンが多く分泌されるのは成長期の頃のため、小学生の時に筋トレをしても骨端線が潰れるだけで、むしろその後の成長を邪魔してしまいます。

では、これぐらいの年代の時にオススメなトレーニングはというと、素振りや足さばきなどの基礎的な部分です。

小学生の頃は神経系といわれる、リズム感や体の動かし方を鍛えやすい時期です。正しい素振り、正しい足さばきを身に着けられる絶好の機会です。

■剣道の試合で身長が高いのは有利・不利?

身長による有利・不利

バスケットボールやバレーボールなどの競技では身長が高い人ほど有利になります。

では剣道ではどうかというと、背が高い人は手足も長くなり、遠い場所から打ち込むことができます。

懐が深いというのは、相手にすれば打突部位が遠くなり守りやすくなるなどのメリットがあります。

身長が高いと有利なことばかりかと思われますが、一方で相手との身長差が激しいと小手・胴が打ちにくく、相手に懐まで潜りこまれるとやりにくくなるというデメリットもあります。

一概に身長が高い方が有利、とは断言できませんが、背が高いというのは剣道において一つの武器になります。

筋トレを行う時に身長を伸ばす事を意識しておけば、剣道が上達するきっかけになるかもしれません。

■まとめ

育ち盛りのうちから筋トレをしていると背が伸びなくなるって本当?

・育ち盛りの子供には骨端線という成長する骨がある

・骨端線に負担をかけない筋肉トレーニングなら身長アップにむしろ効果的

・成長期前の子供(小学生)に筋トレは効果が薄く、骨端線が潰れてしまうリスクも

筋トレは身長を伸ばすのに不向きだと言われてきましたが、それは間違いです。

今回紹介したように、負荷の低い筋トレを計画的に行えば逆に身長を伸ばせる絶好のトレーニング方法と言えます。

この記事を読んで、剣道の稽古に取り入れてみましょう。