段位・昇段審査を知っておこう
剣道にも段位があり、上位の段の所持者には称号も存在します。いかにして段位はあがっていくのか、審査も踏まえたことをまとめておきたいと思います。
道を究めるにあたってのひとつの指標ですので気になる方も多いのではないでしょうか。あなたの先生や先輩の通ってきた道を見ていきましょう。
■級と段、そして称号
どちらかというと段位のイメージが強いですが、段級位制ですので級もあり、6級まであります。
これは各都道府県の剣道連盟が与えるもので、おおよそ1級から3級、あるいはそれ以下の級も設けている地域もありますが、いずれにしても一番上が1級となります。
初段を受けるにあたっては、一級を取得していることが条件になっています。
続いて、段位は「初段から八段」までとなっており、八段が最高になります。
昔は九段や十段もありましたが、現在は八段制で行われています。ですので最高位である八段を取得すれば、名実共に日本では最高の剣道家になれます。
・初段 基本を修習した技倆良なる者
・二段 基本を修得した技倆良好なる者
・三段 基本を修錬した技倆優なる者
・四段 基本と応用を修熟した技倆優良なる者
・五段 基本と応用に錬熟した技倆秀なる者
・六段 精義に錬達した技倆優秀なる者
・七段 精義に熟達した技倆秀逸なる者
・八段 奥義に通暁、成熟した技倆円熟なる者
また段位のほかに
・錬士
・教士
・範士
という称号があります。
錬士は六段所有者、教士は七段所有者、範士は八段所有者の中から指導力や実績などに応じて授与されるものです。
最高の称号である範士を取得している方は、日本に数えるほどしかいません。
■昇段の条件とは?
初段の対象は13歳以上であることが前提条件であり、各段位それぞれ前段位を有し一定以上の経過が必要となります。
「二段」は、「初段」から1年以上経過してから、となり、各段に昇段するために求められる期間をそれぞれ定めています。
・初段 一級受有者・満13歳以上
・二段 初段受有後1年以上修業した者
・三段 二段受有後2年以上修業した者
・四段 三段受有後3年以上修業した者
・五段 四段受有後4年以上修業した者
・六段 五段受有後5年以上修業した者
・七段 六段受有後6年以上修業した者
・八段 七段受有後10年以上修業した者・46歳以上
各段の内容と昇段に必要な条件です。それぞれ、段、付与基準、受審条件、年齢制限になっています。
なお初段の満13歳以上の規定は、平成24年4月に改正され、改正前は中学2年生以上という規定でしたが、世界標準に合わせて現在の満13歳以上に変わりました。
初段で注意する点は、審査の当日が誕生日であっても受けることができるということですね。
合格率を見ていきましょう。
・初段 合格率 約80~90%
・二段 合格率 約60~70%
・三段 合格率 約40~50%
・四段 合格率 約30~45%
・五段 合格率 約20~30%
・六段 合格率 約10%
・七段 合格率 約8~10%
・八段 合格率 約1%
「初段」には受かる事が多いですが、昇段の数字が上がるにつれて合格率が下っていきます。
(とくに三段以下の合格率は地域によって多少のばらつきがあります)
■八段になるには最短でも46歳!
ちなみに13歳で初段に合格した場合、その後も順調に昇段した際の年齢は以下の通りです。
・初段 13歳
・二段 14歳
・三段 16歳
・四段 19歳
・五段 23歳
・六段 28歳
・七段 34歳
・八段 46歳
となり、順調に昇段していけば最短で34歳で七段の合格が可能ということです。
また八段の審査は七段合格後に10年の修業を行い、且つ46歳以上の者ですので、最短はどうしても46歳になります。
段位は技術力だけでなく修行した年月も合わせて評価するものとなるため、このような修行期間が定められています。
■昇段審査と審査基準
全日本剣道連盟や国際剣道連盟で定めた規定に基づいて昇段の審査が行われます。
初段から五段の審査は、全剣連会長が加盟団体に委任して行います。なおこれら審査事項については、本規則や別に定めることになります。
その中でも最初の山場が初段の審査になります。始めたばかりの人にとっては、この初段審査が1つの目標にもなるでしょう。
初段とはいえ、きちんと対策を講じなければ合格することはできません。そのためには審査内容と基準をきちんと理解しておくことが大切です。
「初段」の昇段には下記のものが必要となります。
・防具一式・竹刀・木刀
・事前に受け取っている筆記課題(記述がされているもの・後述するようにその場で解答する場合は不要)
・受験費・登録費(段に合格した際に支払う費用)
会場は、その地域で決められたところですので事前にしっかりと確認しておきましょう。
初段の審査基準については「剣道の基本を修習した、技量良なる者」という規定があります。
これは基礎をきちんと勉強・練習し、基本的な技を打てる人という意味です。この内容から見ると基本事項を身につけ、きちんとした技が出せる人、要するに試合で一本を取れる人と言えるので、審査に合格するには一本の基準も把握しておく必要がありますね。
・正しい着装と礼法
・適正な姿勢
・基本に則した打突
・充実した気勢
以上の4つの基準を満たしている必要があります。
審査では各項目それぞれ一定基準を満たすことが必要となるため、昇段審査に臨む際にはひとつひとつの動作を確認しましょう。
また、礼節や姿勢については総合的な判断も加味されるので、審査が行われる会場に入る前から集中し、落ち着いた気持ちで臨めるようにしておきたいところです。
■初段の審査内容と合否
では、その審査内容を見ていきましょう。審査は大きく3つに分かれます。
審査の方法は、実技、日本剣道形、学科を行います。このうち学科の審査は、筆記試験で行われます。
審査の合否は初段から三段の審査は審査員3名以上の合意、四段から七段の審査は審査員5名以上の合意、そして八段の第一次実技審査は審査員5名以上の合意、第二次実技審査は審査員7名以上の合意によって決められます。
実技
実技(切り返し・掛かり稽古)、掛け声(気合い)・足さばき・剣さばき・構え等が備わっているか、「礼」がきちんと出来でいるかといった部分が問われます。
実技審査で最も意識するべきことは声です。初段審査での合格の鍵になるのが、大きい声になります。そのため普段から大きい声が出るように訓練しておくといいでしょう。
元々声が大きい人であれば問題ありませんが、普段あまり声が出ない方は練習中や練習が終わった後に発声練習をしましょう。
また実技も切り返し・掛かり稽古ではなく、試合さながらの実技が審査の対象となっていきます。
日本剣道形
次に日本剣道形です。
日本剣道形十本の中から地域によって本数は異なりますが、二人組で何本かを打って審査されます。
初段の場合は三本目までのことが多いようです。初段では高度な内容は求められませんが、基本的な動作の手順を覚えておくことは必須です。
段審査に挑戦するようになるまではあまり練習する機会もないことが多いので、この形の練習は一番重要だとも言えます。
学科
筆記試験は地域によって違いますが、改めて課題が出されて記述した解答を当日提出する場合や、事前に通知されたいくつかの問題の中から出題される場合、当日出題される場合などがあります。
道場や剣友会、クラブの先生や先輩によく聞いて確認しておきましょう。
当日記述の場合、心がける点はただ1つ、あまり緊張しないことです。
筆記試験では、あまり緊張してしまうと簡単な問題も落としてしまう可能性があります。気持ちを強く持つと共に、問題へ向かう時には冷静にリラックスした気持ちで臨みましょう。
■これから審査に臨む方へ
初段の審査はそれまでの昇級審査とはまた違う緊張に襲われてしまうかもしれませんが、既にそのレベルに到達している可能性が十分にあるから審査を受けられるとも考えられます。
緊張感を持つことも大事ですが、普段の動きができれば問題なく昇段できるという心構えを持って、いつもと同じ平常心を保ちながら審査に臨むことが何よりも重要です。
そして何より毎日真剣に取り組むことの方が大切です。
級位・段位審査も確かに大切ですが、いくら級や段を持っていても、練習を続けなければ実力も下がってしまうでしょう。
日々の努力の研鑽が大事ですので、まずは真剣に練習することから始めましょう。そして自分の実力を知るために、その過程で級や段位に挑戦してみましょう。