バリエーションに富む剣道の大会
剣道の大会は、規模の大小のみならず、様々な連盟が主催するためかなりの数になります。また日本にとどまらず、世界各国で開催されている大会もあります。
今年は世界大会も行われるので世界的にも盛り上がりそうな予感です。
■大会の種類をカンタンにおさらいしておこう
男子向けの大会
全日本剣道連盟の主催以外にも多数ありますが、全剣連が日本国内における主な大会を主催しています。
国内における最も名誉ある男子大会は全日本剣道選手権大会であり、剣道の腕前だけでなく武道の精神に則った礼儀作法も求められる厳粛な大会です。
毎年文化の日に行なわれ、出場するには二十歳以上である事と各都道府県剣道連盟が実施した予選で優勝する(複数の選手が出場できる都道府県もあり)必要があります。
かつては段位が六段、あるいは五段以上の者しか出る事は出来ませんでした。
女子向けの大会
一方で女子の大きな大会というと、全日本女子剣道選手権大会があります。
これは女子の競技人口が増加したこともあって、現在の出場資格は都道府県ごとに行われる予選を勝ち抜いた18歳以上の選手が出場できます。
警察庁が主催する大会
警察庁が主催する全国警察剣道選手権大会は全日本剣道選手権大会に並ぶレベルの高い大会です。
出場する選手の多さや高い実力の選手が拮抗する事もあり、この大会で優勝するのは全日本剣道選手大会で優勝するのと同じくらい難しいと言われています。
国外で開催される大会
国外に目を向けると1970年に設立された国際剣道連盟が主催する世界剣道選手権大会があります。
三年に一度開かれる今大会は、初めの参加国は17カ国だったのが、普及によって今では50ヵ国までに増えました。
しかし根付いたのが最近という国もあって、参加国間での技量の差や審判員のレベルが低いという問題もあります。
その他
ジャンル別でいうと、高校生大会、少年少女剣士、実業団など様々な分類で大会が開催されています。
■大会に出るには? そして注意しておくこと
子どもの場合
学校の部活に所属している場合は学校単位での参加しかできません。
特に団体戦は上達した上級生に限られますから、初心者で団体戦の大会に出ることはないと言っていいでしょう。
個人戦でしたら、ひとつの団体から何名といった参加枠を設けてなければ初心者でも参加は可能です。
大人の場合
社会体育として道場やサークルに所属している場合、道場主催の大きな大会が全国どこでも頻繁に行われているため、参加可能な大会が学校の部活に所属しているよりたくさんあります。
学校の団体名で参加できる大会もありますが、その地域の道場連盟が主催していると連盟に加盟している道場の剣士しか受け付けない場合も多くあります。
大人でも道場やサークルに所属していた方が大会の参加資格は得やすいです。その地域の道場連盟に所属して、連盟費を払っていることが参加資格になることが多いからです。
ただ、全国的にオープン戦と言われる、資格条件がゆるい大会はあるので探して参加することは可能です。
段位の制限がないかどうかもよく確かめましょう。
■剣士が注目したい大会3選
全国各地で様々な大会が行われていますが、日本は剣道のお膝元だけあって中には世界選手権以上にレベルの高い大会も開催されています。
日本国内でも特に有名な大会を三つ後紹介します。
全日本剣道選手権大会
毎年11月3日の文化の日に日本武道館で開催される日本選手権大会のことで、全日本剣道連盟が主催しています。
全日本剣道選手権は、トーナメント方式によって男子の日本一を決めます。
大会の優勝者には天皇盃が授与されることもあり、毎年多くの選手が参加しています。
数ある大会の中で、全日本剣道選手権は栄誉ある大会として知られています。
全日本選手権は厳粛に行われており、選手の強さはもちろん、武道精神などの礼儀作法が評価されるのも特徴です。
全日本剣道選手権は、全日本剣道連盟傘下にあるそれぞれの都道府県剣道連盟で予選を行います。
その予選で優勝した選手が、本選に出場できる権利を取得します。
内容は各都道府県によって異なり、北海道、茨城県、神奈川県、静岡県、愛知県、兵庫県については準優勝者も、そして千葉県、東京都、大阪府、埼玉県、福岡県については準優勝者と第三位者も大会に出場できます。
ちなみに第32回(1984年)より出場資格が六段以上に制限されましたが、第38回(1990年)より五段以上へ、第43回(1995年)からは段位制限が撤廃されて20歳以上になりました。
全日本剣道演武大会
毎年5月2日~5日までの三日間、京都府・平安神宮の傍にある武道センター(旧武徳殿)で開催される大会です。『京都大会』とも呼ばれます。
全日本剣道演武大会は、全国にいる剣士たちが1年間の修錬の成果を披露すると同時に、参加者同士の親善を図る大会でもあります。
日本国内だけでなく、海外からの出場者が多いのも特徴です。
大会自体は明治28年に始まり、武徳祭大演武会として開催された大会を全日本剣道連盟が継承しています。
京都大会は剣道だけでなく、「各種形の部」「なぎなたの部」「杖道の部」「居合道の部」があり、各種武道が一堂に会して演武を披露します。
p class=”honbun”>剣道は「錬士の部」「教士の部」「範士の部」に分かれており、立合(この大会では一般に試合でなく立合と呼びます)は錬士の部からスタートします。
京都大会と言うと朝稽古が有名であり、毎年たくさんの選手が参加しています。早い場合は朝の4時頃から出発する人もおり、全国の有名な高段者と稽古ができる貴重な機会にもなっています。
京都大会の出場資格は剣道連盟の錬士以上の取得が条件であり、参加費は2,000円となっています。
一度称号を取得すれば誰でも出場可能な大会ですので、参加する人が多いとも言われています。
全日本選手権のような厳しい予選が行われているわけでもなく、気軽に参加できる大会として人気があります。
ただし、一度の出場で行えるのは一試合(立合)だけです。
玉竜旗高校剣道大会
西日本新聞社と九州剣道連盟が主催しており、剣道における甲子園とも言うべき大会です。毎年7月下旬に福岡市博多区にあるマリンメッセ福岡で開催されています。
戦中戦後は一時的に中止されていましたが、復活した後1973年以降から男子、1997年以降は女子が全国各地の高等学校から参加をすることができるようになりました。
また本大会が開催される前に金鷲旗全国高等学校柔道大会の女子の部と男子の部が開催されており、これら2つの大会を総称して「金鷲旗玉竜旗高校柔剣道大会」と呼ぶこともあります。
ちなみに玉竜旗高校剣道大会の準決勝や決勝は、九州や沖縄の地上波テレビ放送で中継されています。
玉竜旗高校剣道大会は、男子と女子それぞれがオープン型の参加制になっています。
つまり全日本選手権のような地方予選などは一切行われず、基本的にはどの地域の高校も実施要項に沿って手続きすることで自由に参加できます。