剣道を統轄する組織・団体
メジャーなスポーツや競技にはたいてい、活動を統轄・管理するための団体が存在します。
日本を代表する武道の一つである剣道にももちろんそういった団体は存在しますが、ここでは剣道を奨励・促進する各組織・団体、また剣道と関連のある団体について紹介していきます。
■全日本剣道連盟
日本国内で剣道を統轄する団体としては「全日本剣道連盟(略称:全剣連)」がそれにあたります。
全国47の都道府県に存在する剣道地域連盟を加盟団体として構成されており、全国大会の運営等を実施しています。
全剣連は戦後に発足した組織ですが、その源流は明治時代に武道全般の振興を目的として立ち上げられた「大日本武徳会」です。
大日本武徳会は剣道だけでなく弓道、柔道、空手といった武道全般を振興・奨励する政府の外郭団体で、それまで「剣術」「撃剣」などと不定的な呼び方をされていたものを「剣道」に統一、審判制度や段級制を取り入れたりするなど、競技としての整備を進めていきました。
戦後はGHQの方針により解体させられていますが、その後居合道やなぎなた、杖道などを含む形で全日本剣道連盟が1952年に発足、現在に至ります。
(※なぎなたは後に「全日本薙刀連盟」を発足し独立)
全日本剣道連盟の役割
全日本剣道連盟は主に段位の認定や剣道に励んだ人への功労賞の贈呈(剣道功労賞、少年剣道教育奨励賞など)を行っています。
剣道の段位は他にも「日本剣道協会」など他の剣道団体が認定するものもありますが、警察官や皇宮護衛官など武道区分採用の段位基準、また後述する国際剣道連盟などは全日本剣道連盟の指定する段級制に準じています。
また、日本国内で様々な大会を主催しており、特に京都の旧武徳殿・武道センターで開催される全日本剣道演武大会(通称:京都大会)や全日本都道府県対抗剣道優勝大会などが知られています。
全日本学生剣道連盟
日本全国の大学剣道部を統轄する組織で、北海道・東北・北信越・関東・東海・関西・中四国・九州の各地域の学生連盟によって構成されています。
「全日本学生剣道選手権大会」や「全日本女子学生剣道選手権大会」、「全日本学生剣道優勝大会」といった、主に大学生による日本一を決める全国大会などを開催しています。
また、全日本学生剣道連盟に加盟している関東学生剣道連盟は、日韓学生剣道親善試合や、警視庁対関東学生剣道連盟親善試合といった親善試合も主催しています。
■大日本武徳会
戦後解散させられた旧大日本武徳会を再興する目的で立ち上げられた団体です。
旧武徳会の事業を継承する全日本剣道連盟、全日本柔道連盟、日本弓道連盟が先に発足していたため、一般社団法人という形で現在に至っています。
■日本剣道協会
全日本剣道連盟から枝分かれする形で発足した団体です。
全日本剣道連盟とは異なる基準の段級制度をとっているため、年齢による制限のある全日本剣道連盟とは異なり、実力があると認められた場合は10代であっても段位を与えるという方針を取っています。
「体当たり」「足払い」「組討ち」など、実戦を意識した独自の形式をとっています。
■国際剣道連盟
国際社会における剣道の普及・振興に勤めている団体で、東京に本部が存在します。略称はフランス語表記による”Fédération Internationale de Kendo”から「FIK」とされています。
世界各国の剣道家が出場する国際大会「世界剣道選手権大会」を主催しており、日本の全日本剣道連盟をはじめ47の国と地域が加盟しています。
■剣道に関連する組織・団体
剣道と間接的に関連する組織としては、1977年に発足した団体で、剣道や柔道、空手、少林寺拳法など日本の武道を統轄する団体の一つである「日本武道協議会」が挙げられます。
また、武道の大会や音楽コンサートなどが行われることで知られる「日本武道館」も公益財団法人であり、剣道とは深い繋がりがあります。
日本武道協議会に加盟している団体は日本武道館を大会の会場として使用できる権利が与えられているため、同協会に加盟している全日本剣道連盟も日本武道館で多数の大会を実施しています。
また、剣道そのものとは直接関係ありませんが、日本の古武道を振興する団体として「日本古武道協会」というものも存在し、こちらには「北辰一刀流」や「鹿島新當流」「柳生新陰流」といった古流剣術、さらには居合術や槍術、棒術、砲術などの武器術も多数加盟しています。
■まとめ
日本(あるいは世界における)剣道を振興する団体として、剣道連盟をはじめとする様々な団体をご紹介しました。
普段皆さんが稽古に励んでいる道場・剣道部も基本的にはこのような団体に所属しているため、剣道をしている人にとっては決して関係の浅くない組織と言えます。
日々の剣道活動に励む人達をサポートしてくれる組織のことについて知識を深めてみるのもよいでしょう。