世界の厳しさを知る男がリベンジを期す
Satoru OKIDO
プロフィール
1984年生まれ、愛媛県出身、錬士六段
新田高校→鹿屋体育大学→大阪府警察
今大会の男子キャプテンは、一昨年の警察チャンピオン。
第7回世界選手権で個人優勝を飾った大城戸功範士を父に持つ。
大城戸範士が世界の強豪を相手に激闘を制したのは、奇しくも今回と同じ韓国大会。因縁を感じずにはいられない。
高校、大学時代は大きなタイトルを獲得することはなかったが、大阪府警に入ってその素質が開花。
父から譲り受けた恵まれた体格と正剣で正選手の座をものにした。
イタリアで開催された第15回世界大会の日本代表にも選抜されたが、個人戦で韓国選手の前に敗戦。その後は不遇の時期を過ごすことになる。
日本大会では代表落ちも経験したものの、警察選手権で優勝を果たし、熾烈な合宿を耐え抜いて代表復帰を果たした。
世界の厳しさを知る男の復活劇に期待したい。
汚名返上に燃える天才剣士
Yosuke KATSUMI
※個人戦出場
プロフィール
1986年生まれ、岡山県出身、錬士六段
倉敷高校→鹿屋体育大学→神奈川県警察
一昨年の全日本選手権者は、今大会で3度目の世界大会出場。
韓国との団体決勝では、前々回のイタリア大会が引き分け、前回の日本大会が二本負けと結果が出ていないが、全日本選手権を制したのは日本大会の翌年のこと。
大城戸と同じく汚名返上の大会となる。
若きころから天才的な剣でその名を知られ、全中個人2位、インターハイ個人3位とトップレベルの実績を残してきた。
鹿屋体育大学を卒業後は神奈川県警に奉職し、宮崎正裕・史裕兄弟や髙鍋進のもとで稽古に邁進。
ポーカーフェイスであまり感情を表に出すタイプではないが、今大会に並々ならぬ気持ちで臨んでいるであろうことは想像に難くない。
研究熱心で、ツボにはまったときの強さは全日本選手権で証明済み。
復権成るか。
個人戦の鬼が団体の核に変貌を遂げる
Hidehisa NISHIMURA
※個人戦出場
プロフィール
1988年生まれ、大分県出身、五段
九州学院高校→筑波大学→熊本県警察
昨年、全日本選手権で二度目の優勝を飾った現王者は、もはや日本代表になくてはならない存在だ。
中学時代から全国レベルの力を有していたが、進学した九州学院高校でその素質を爆発させる。
筑波大学では自身初となる個人日本一に輝いた。
就職先は引く手あまたであったはずだが、高校時代を過ごした熊本県で警察官の道を歩む選択をする。
大都市の警察に比べて稽古環境が整わないことを言い訳にせず、コツコツと努力を重ねて日本大会では代表の座を獲得し、個人3位に入賞。
その年の11月、並み居る強豪を倒して日本一の座についた。
個人戦では無類の強さを誇るが、今大会では団体戦の核としての期待が大きい。
圧倒的な強さで日本チームをリードしてもらいたい。
特筆すべき対応力で世界に名を馳せるか
Yohei TAKESHITA
プロフィール
1989年生まれ、大分県出身、五段
大分鶴崎高校→明治大学→大分県警察
全日本選手権3位、警察選手権2位と大分県出身の選手としては破格の実績を残してきた男が、ついに日本代表の座をも手中に収めた。
5歳のときに剣道をはじめ、大分鶴崎高校から明治大学へと進む。
大学時代は主に団体戦で活躍の場を見出し、全日本学生優勝大会ではチームの3位入賞に貢献した。
その名が一躍全国へと広まったのは、警察選手権で決勝まで勝ち上がった同年、全日本選手権連覇を狙う内村良一を退けた一戦。
翌年は準決勝まで勝ち上がり、内村からあげた勝利がフロックではなかったことを証明した。
技が多彩で打突力も一級品だが、特筆すべきはどんな相手に対しても実力を出し切ることのできる対応力の高さ。
世界の強豪を相手にしたときこそ、その真価が発揮される。
日本剣道を背負って立つであろう才能
Sho ANDO
※個人戦出場
プロフィール
1990年生まれ、北海道出身、五段
東海大第四高校→国士舘大学→北海道警察
“神童”と呼ばれた幼少期から、これほど王道を外れることなく育ってきた選手もいないのではないか。
東海大第四高校では名将古川和男範士に鍛え上げられ、器をさらに大きなものとする。
国士舘大学では誰もが憧れるような王者の剣で圧倒的な強さを誇り、個人団体と日本一に輝いた。
北海道警察に進んでからも順調な伸びを見せ、日本大会で世界大会初出場。予選リーグでは日本の大将として戦った。
全日本選手権では惜しい試合が続いているが、昨年、警察選手権を制して大きなタイトルを手にする。
古川範士譲りの強い中心の攻めは日本剣道のお手本とも言えるもの。
韓国でも実力を発揮し、世界に日本の剣道を示してくれるはずだ。
あふれ出るポテンシャルは現役屈指!
Yuki TSUCHITANI
プロフィール
1992年生まれ、石川県出身、五段
金沢高校→国士舘大学→大阪府警察
頭角を現わしたのは国士舘大学時代、安藤翔や國友鍊太朗といった一学年上の最強世代に食い込むかたちで、レギュラーの座を獲得した。
さらにその名を売ったのが、大阪府警奉職二年目の警察選手権である。
このときはまだ知る人ぞ知る存在だったが、颯爽と優勝をさらい、一気にスターダムへと駆け上がった。
大阪府警は現在、警察大会を3連覇しているが、彼の存在が原動力となっていることは間違いない。
身体能力、スピード、パワー、技のキレ、そのポテンシャルは他を圧倒しているというのが大方の評価。
まだ能力を持て余している部分はあるものの、心と身体が一致したときには手がつけられないほどの力を発揮する。
“何十年に一人の逸材”と言う表現が、最もよく似合う存在だ。
大阪の斬り込み隊長から日本の斬り込み隊長へ
Yasuki MAEDA
プロフィール
1992年生まれ、兵庫県出身、四段
帝京第五高校→鹿屋体育大学→大阪府警察
今、剣道界で一番波に乗っている男と言えば、彼を置いて他にいないだろう。
大阪府警の斬り込み隊長として警察大会で大活躍。
勢いに乗って臨んだ初出場の全日本選手権はベスト8まで勝ち上がり、あの内村良一に肉薄した。
高校、大学時代の実績は、他の代表選手に比べればほとんどないと言って差し支えない。
だが、鹿屋体育大学時代からその強さは知られる存在だった。大学4年時には全日本学生優勝大会を制覇。
このとき、準決勝で代表戦を争った相手は竹ノ内佑也であり、鋭い引き面を決めて勝利をあげている。
大阪府警に進んでからはさらに攻撃力を増し、彼が前衛にいることでチームの勢いは一気に加速する。
ひたむきでがむしゃらに剣を振るう姿は、日本チームに勇気を与えてくれるはずだ。
底知れない実力で世界を圧倒する
Yuya TAKENOUCHI
※個人戦出場
プロフィール
1993年生まれ、宮崎県出身、五段
福大大濠高校→筑波大学→警視庁
21歳5ヶ月という若さで全日本選手権を制し、日本剣道界に強烈なインパクトを残したのは4年前のこと。
日本一の肩書きとともに挑んだ前回の日本大会では個人戦、団体戦ともに出場しチームの優勝に貢献、世界にその名を知らしめた。
そんな天才剣士が、ふたたび世界大会の舞台で躍動する。
近年、全日本選手権の出場機会は逃しているものの、それでも実力ナンバーワンの呼び声は高く、首脳陣からの信頼も厚い。
とりわけ、勝負所で捨て切った技を出せるメンタルの強さは、紙一重の戦いが続く世界大会という舞台でも光り輝くはず。
幼少期から養われてきた高水準の豊富な技も魅力だ。
チームを世界一に導くのは、進化をとめない天才の一打かもしれない。
教員の星が世界大会で躍動する
Kyohei HAYASHIDA
プロフィール
1994年生まれ、長崎県出身、五段
島原高校→筑波大学→教員(福井県立武道館)
教員界から久々に頂点を狙える存在が現われた。
全国教職員大会を2連覇し、昨年の全日本選手権では殊勲の初出場3位入賞。
ほとんどが屈強な警察官で争われる全日本選手権で、キレのある技を武器に次々と有力選手を倒していく姿は、見ていて爽快感を感じるほどだった。
島原高校時代から、薄紙を一枚ずつ重ねていくように力を蓄えてきた稽古の虫。
筑波大学では同級の竹ノ内佑也があまりにも輝きを放っていたために陰の存在だったが、大学4年時には学生日本一の座をつかみとった。
卒業後は国体の選手候補として福井県で教職に。
機会あるごとに出稽古にむかう積極性が奏功し、さらに実力を伸ばした。
剣道はシンプルでありながら上手さもあるタイプ。
積み重ねてきたその成果を、世界の舞台で見せてもらいたい。
19歳の俊英が世界制覇の突破口となる
Keita HOSHIKO
プロフィール
1998年生まれ、鹿児島県出身、三段
九州学院高校→筑波大学
強豪・九州学院高校在学時には2年時からレギュラーを奪取し、チームの核として春・夏制覇に貢献。
3年次には4冠制覇を達成し、高校剣道界に九学旋風を巻き起こした中心人物である。
卒業後は筑波大学に進学。
スター揃いのチームにおいてもその存在は際立っており、昨年、今年と全日本学生選手権で3位入賞を果たしている。
その伸びしろははかりしれず、正真正銘、地力と実力で世界と戦うチャンスをもぎとった。
どんな技も打つことができるオールラウンダータイプでありながら、相手に決して不用意な一本を与えない“隙のない”剣道が強み。
その若さにして、すでに完成形のようにすら見える星子の剣道が、世界を相手にどのように発揮されるのか、期待せずにはいられない。