剣道具の変遷
剣道の現在の形のひな型は、江戸時代までさかのぼると言われ、時代の移り変わりとともに変化し、現在のスタイルとなりました。
一方で剣道具もまたそれに合わせた形で試行錯誤と進歩を遂げ、現在の形に進化してきました。
■成立と進化に歴史あり
現代剣道の前身である剣術の稽古には木から削りだされた模擬刀、つまり現在でいう木刀が用いられていました。
しかし木刀による打撃は一歩間違えれば大怪我、死亡事故に繋がる恐れがあったため、当時は形稽古という寸止めの稽古が主流でした。
袋竹刀と呼ばれる、木刀に革袋などを被せたものが登場したことで、相手の体に直接打ち込む稽古が行なわれるようになりますが、防具装着することで怪我の確率を減らすようになりました。
原形となったのは戦国武将の使用した甲冑です。材質は鉄ですから重量は相当なもの。大将クラスになると30キロから40キロにもなったとか。
もちろん、そのような重すぎる装備では稽古に向かないので、訓練用に軽量化された竹・皮製の防具が考案されたわけです。
これが現在の剣道防具の原型になったといわれており、安全に剣道の稽古ができるようになったのです。
防具の普及と改良に合わせるように竹刀もまた改良を重ねていき、19世紀に入ると現在の剣道で使われている四つ割り竹刀が誕生しました。
江戸時代中期の頃には、現在の剣道防具とほとんど同じ形・構成の物が誕生しています。なんと幕末頃に来日した外国人が残した写真には今と変わらない姿で剣道を行っている姿が映っています。
現代でも続く進化
こうして現在の形に辿り着いた竹刀と防具ですが、形を変えない部分では防具の皮革部分に合成素材を用いたり、耐久性に優れたカーボン製の竹刀などといった新しい素材も使われています。
剣道普及のために先人たちが試行錯誤してきたことが現在でもしっかりと受け継がれている証ですが、剣道具の改良発展で特に代表的だと言えるのは抗菌・防臭加工技術ではないでしょうか。
天然皮革などを使用した剣道防具は洗うことができず、長期間使用し続けると独特の臭いが発生してしまいます。
販売されている防具の中には、菌の繁殖を抑える素材を使用していたり、丸洗いができる人工素材を使用したものも存在するため、清潔性を保ちやすくなっています。
機械を使用した製造技術の向上により、防具の種類やデザインにもバリエーションが生まれました。
防具の縫い合わせにミシンを使用することで製造コストを抑えたり、糸の縫い方で防具に装飾を施すことなどもできるようになっています。防具はメーカーなどにより色々な配色・デザインがあるため、形や刺繍などにこだわる人もいます。
他にオーダーメイドで作ることができますが、学生などは激しい稽古をしていく中でどうしても破損が多くなってしまうので金銭面や動きやすさが重視されます。
また、学生は団体戦で防具を揃えたり、学校の校章を胸につけたりして、気合を入れたりすることもあります。
全日本剣道連盟による正式名称は「剣道具」です。
剣道具とは第一に自分の体を守るものであり、面・小手・胴・垂を身につけ、竹刀を使い打突します。
■海外からの需要増加
海外における剣道認知度は年々拡大しており、2015年に行われた世界大会では1970年の約3倍の56か国の選手が集まりました。
その必然として海外においての防具需要は年々増加しており、剣道を経験されている人の場合は、本場である日本の防具店を観光ルートのひとつとして訪れる方も実は少なくありません。
また、日本で開催される大会は国際大会よりも水準が高いということもあり、日本の大会に参加することを目的に訪日される選手の方もよく見かけるようになりました。
そんな海外から訪れる方々が日本で購入する機会が増えてきたため、近年では外国語で対応できるスタッフのいる店も存在しています。
防具の通信販売
また、海外で剣道をしている方にとって重要なのがインターネット通信販売の存在です。
一昔前は日本以外の国でしっかりとした道具を手に入れることはそう簡単ではなく、海外の選手にとってはなかなか質の良い道具を手に入れることができずに苦労していたそうです。
しかし、海外で熱心に取り組む方々の需要に応える形で海外へ向けて海外通販を行うお店が少しずつ登場しました。
インターネットの普及で通販がより手軽な存在になった
今日においては、インターネット通販が海外剣道文化を支える一翼を担っているといってももはや過言ではありません。
もちろん海外からだけでなく、日本国内に住んでいても通信販売は道具を購入するうえで非常に便利です。
「実物を見てみないと不安」という方も、そんな時は通販をして<いるお店が店頭販売もしていることを確認し、実際に見せてもらったり試着してみるのも良いでしょう。
防具一式を揃えるとなると決して安い買い物ではないので、お店に足を運んでみて実物の雰囲気をチェックするのも大事です。
■海外製の防具は?
職人による伝統的な手法により日本国内で作られてきましたが、機械の導入や材質に安価なものも出てきたことから海外生産のものも多数登場するようになりました。
種類にもよりますが、純日本国産のものに比べると安価に購入できるものが多く、始めたばかりの少年剣士や学生を中心に人気を集めているようです。
「防具は一生もの」という考え方もありますが、大人はともかくとして成長期の学生たちはあっという間に大きくなってしまうため防具のサイズも変わるもの。
長く使えば傷みもしますし、必ず買い替えるときがやってきます。比較的安価に購入できる外国製防具は、そうした少年剣士や学生にとってはありがたい存在なのです。
外国製の防具は安価なのが最大の魅力。良し悪しはありますが、きちんとした品質管理のもとで作られた、日本製に劣らないものも出てきています。
■まとめ
現在の剣道具の成立にかかわる歴史は、製造技術や使用素材の進歩、コストに優れた外国製防具の登場などといった工夫の歴史でもあります。
安全に、より多くの人が剣を学べるようにするための積み重ねがいまの剣道具をカタチを作ったと言えるでしょう。
剣道具というと、どこか昔ながらの職人さんが一人でやっていたり、何となく歴史を感じさせるようなイメージがあるかも知れませんが、実際は海外での剣道人気に応える形で外国語に対応したり、インターネット通販を行ったりと近代的な販売方法を取り入れているところも存在します。
特にインターネット通販での購入は国内外問わず需要が高まっていることもありますし、パソコンやスマートホンで気軽に品物を確認できるのも利点です。