試合で主導権を握るためにやるべき5つのこと

試合で主導権を握るためにやるべき5つのこと 上達のコツ

剣道の試合において実力が伯仲している相手に勝つには、自分の得意とする技や相手の動揺を生む戦術などを用意しておき、主導権を握る必要があります。

今回は、試合で主導権を握る為にやっておくべき事を紹介していきます。

■有利に立つための基本的な考え方

有利に立つための基本的な考え方

剣道の試合は全て一対一で行われます。

基本的に休憩などを挟まず短時間で決着が着くため、相手よりも精神的に優位に立った時点で勝利する確率はぐっと高まります。

では、優位に立つために何が必要なのかというと、まるで自分の精神に根が張ったかの様にどっしりと構えることです。

人間、一度動揺してしまうとすぐに立ち直るのは至難の技です。特に剣道の場合、監督や仲間達が傍で声を掛けるといったことは出来ません。

厳しいようですが、試合が始まれば終わるまで一人で戦い抜かなければいけません。

そのため、緊張状態や相手の揺さぶりに動じない強固な精神力を持っておく必要があります。

動じない精神力を持つには色々と方法はありますが、まずは何よりも”場に慣れる”ことが重要です。

練習試合などに積極的に参加し、緊張する場面を多く経験することで緊張を乗りこなす精神力を持ちましょう。

■得意技を持っておく

得意技を持っておくメリット

得意技とは、出せば必ず一本が取れる技、という意味ではありません。

毎日の稽古を繰り返して行き、自分の体格や足さばき、癖などから出しやすい技の事を指します。

それは面でも、胴でも、小手でも、それこそ足さばきでも構いません。どれか一つ、これには自信があるという技を持っておくと、いざという時でも動揺を抑える事が出来ます。

動揺を抑えられると、試合中に迷ったり弱気になる事が少なくなります。

剣道の格言に「一眼二足三胆四力」という言葉があります。

これは剣道における必要な要素を順番に並べた言葉で、三番目に大事だといわれている胆とは胆力、度胸や勇気とも言います。

心で相手に負けてしまうと、勝つことは出来ないという事です。

■相手の意表をつく戦術

相手の意表をつく戦術

次に、相手の意表をつく戦術を紹介していきます。

注意点としては、ここで紹介している方法は初見だと最も効果を発揮します。

何度も繰り返しやっていると周りに知られていき、効果が薄まっていくので、ここぞという時だけ使いましょう。

開始の合図と共に速攻の面

剣道の試合は蹲踞の姿勢で開始の合図を待ちます。

そして合図と共に起ちあがり、お互いに剣先を向け合い出方を探り隙を見つけるといった流れになるのが一般的です。

多くの剣士がそういう物と考えており、蹲踞から立ち上がる時の動作が遅い選手は珍しくありません。

そんな選手に対して、いち早く立ち上がり、相手が立ち上がったと同時に面を叩きこむのです。

基本的に試合開始の合図があり、相手選手が立ち上がっていれば一本は成立します。

ここで面が取れれば大成功ですが、たとえ失敗しても奇襲としての役目は果たしております。

相手にしてみれば、身構えていない時に打たれてしまったのですから頭の中は大混乱です。

試合の主導権を最初にもぎ取る戦術といえます。ただし、立ち上がりながら面を打つのは反則と取られてしまいます。

しっかりと立ち上がってから面を打ちましょう。

相手の考えている事の裏をかく

例えば背の高い選手を前にした時、普通ならこの選手は遠くから飛び込んで面を打ってきそうだ、逆に小柄な選手なら懐に入りこんで小手を打って来そうだと思います。

しかし、そう考えている事の裏を突かれたら、大変驚きますね。このように、人は相手の体格や行動から、この人はこうするだろうなというのを予測します。

その考えの裏をかくのは非常に効果的と言えます。

なかには、自分は特徴のある選手では無いと考える方も居るかもしれません。

ですが、そんな人ほど相手の裏をかく方法はあります。

例えば、前述した開始の合図と共に素早く飛びかかるという戦術を実行した場合、相手は貴方の事を素早く行動する選手だと思います。

そこで逆にゆったりと待ち構えていたら、相手は自分の予想が外れ戸惑い隙を生みやすくなります。

前述の戦術だけでなく、胴を集中した後に面を打ち込んだりと相手の考えの裏を突く方法は色々とあります。

同時に、相手も同じように自分の裏をかこうと戦術を練っている可能性は非常に高いです。

相手が大きい・小さいからこうするだろうという枠に嵌った考え方は持たず、柔軟な対処を心がけましょう。

思い切った行動をとる

試合も中盤になり、奇襲の効果が薄れてきたころになると、実力が拮抗していると互いに決定打が取れない状況になります。

そんな時に思い切った行動に出ると、試合の主導権を握れることがあります。

思い切った行動とは、逆胴や担ぎ面、あるいは諸手突きといった、普段の試合では中々使われない技の事です。

一本として認められなくても、相手に打たれたという意識を植え付け、精神的に優位に立てる様になります。

■感情のコントロール

試合では自分の思い通りに流れが運ぶことはなかなかありません。そんな時、苛立ったり焦ったりすると冷静な判断力が失われ、ますますピンチを招く原因にもなりかねません。

逆に、自分が有利な場面で慢心してしまうことで油断が生じ、相手にその隙を突かれる恐れもあります。

どのような状況においても自分自身がゆらぐことなく常に平常心でいることで、自身の持つポテンシャルを試合でも引き出すことができます。

また、どんな場面においても平常心を崩さない態度は相手にとっても少なからずプレッシャーとなり、優位性を保つことにもつながります。

■相手と自分の事をきちんと知る

相手と自分の事をきちんと知る

孫子の言葉に「彼を知り己を知れば百戦危うからず」という物があります。

これは敵の事も自分の事も知っておけば、百回戦っても負ける事は無いという意味です。

この言葉は剣道にも当てはまります。相手の得意な技が何なのか、逆に苦手とする技は何なのか知っているのと知らないでいるのでは試合をするときの気持ちに違いが出ます。

また、自分の得意な事が何なのか、苦手な事は何なのか知っていると、日頃の稽古や試合の時に注意することができます。

自分の事を客観的に見るのは難しいため、一緒に稽古している友達や、指導している人に尋ねてみましょう。

この時、メモ帳でもいいのでしっかりと自分の字で書き留めておくと後から振り返る時に役立ちます。

剣道は自分で自分の気持ちを組み立て、相手に競り勝つ武道です。

■まとめ

・試合を数多く経験し、緊張を乗りこなす精神力を持つ

・「自分にはこれがある」と思えるような、自信のある技(得意技)を持っておく

・意表を突くような奇襲技を活用することで、相手の動揺を誘う

・感情をコントロールし、焦りや慢心のない平常心を心がける

・自分の得意なことや苦手なことを知るため、友達や先生に聞いてみる

試合が始まれば、終わるまで一人で戦わなければいけないため、相手よりも精神的に優位に立つのは非常に大事です。

今回紹介した得意技や戦術などを日頃の稽古に取り入れていけば、試合で勝てる確率がぐっと高くなります。