準決勝~準々決勝詳報・各チーム大将が力の限り戦った|平成30年度玉竜旗高校剣道大会 男子

優勝・島原(長崎) 試合リポート
平成30年度玉竜旗高校剣道大会(男子の部最終日)
2018年7月29日(日)
福岡市・マリンメッセ福岡

大将の意地、責任感がぶつかり合った終盤戦

準々決勝以上の7試合は決勝も含め1試合も一方的な展開とはならず、最後はすべて大将同士の勝負で決まった。

途中までは一方的でも誰かの頑張りでそうではなくなるという勝ち抜き戦の醍醐味を堪能させてくれる熱戦が続いた。

準々決勝で初めて試合場に立ち、いきなり真価が問われる場面で登場し活躍した大将、前の試合では何人かを抜き去りながら今度は相手にそれを許してしまった大将……

誰もが持てる力を出し尽くして戦い、悲喜こもごものドラマが生まれた。

■準決勝 島原(長崎)×水戸葵陵(茨城)

準決勝、島原×水戸葵陵【次鋒】前田×【次鋒】木村

準決勝、島原×水戸葵陵【次鋒】前田×【次鋒】木村|前田がメンを先取する

先鋒同士が引き分けた後、島原の次鋒前田がメンとコテを奪って相手のポイントゲッターとなっていた木村を下す。しかし水戸葵陵の鈴木は前田と引き分けマイナスを最小限にとどめた。

すると水戸葵陵は副将の棗田が奮闘、相手の中堅若杉、さらにこの試合から代わって出場した副将隈部も破って逆にリードを奪い、大将黒川を引き出した。

2人を倒さなければならない黒川は、メンを決めてまず棗田を止め、大将岩部を引き出す。

この前の準々決勝で怒涛の4人抜きを見せていた岩部に対しても、時間内にメンを奪う。

奮闘した岩部もついに刀折れ矢尽きた。最後まで反撃するも及ばず、水戸葵陵の玉竜旗を関東へ持ち帰る夢はここで潰えた。

■準決勝 九州学院(熊本)×育英(兵庫)

準決勝、九州学院×育英【大将】重黒木×【大将】松澤

準決勝、九州学院×育英【大将】重黒木×【大将】松澤|延長8回、松澤のメンを返した重黒木(左)がここからドウを決めた

先鋒同士、次鋒同士、中堅同士とも決まり技が生まれず引き分けに終わる緊迫した展開となる。

副将戦、小川(九州学院)が福岡(育英)の出ばなにコテを決め、ついに均衡を破った。しかし福岡は斜めの太刀筋で技ありのメンを決め追いつく。副将戦も引き分けで、まったく互角の状況で大将戦を迎えた。

数日前に育英は恒例の九州学院遠征を行なっており、両者は何試合もこなしている。

重黒木(九州学院)と松澤(育英)は勝ったり負けたり。3月の魁星旗大会では同じ準決勝で顔を合わせ、松澤が勝っている。

手の内を知るだけに相手の得意なところは許さず、互いに慎重に戦う展開となり、延長8回を重ねた(本大会では2分ごとに延長を区切る)。

重黒木得意のひき技も許さなかった松澤だが、最後は松澤が意を決してメンに出たところを重黒木が返してドウを決めた。水戸葵陵とともに本州勢最後の砦となった育英が姿を消した。

■準々決勝 九州学院(熊本)×福岡第一(福岡)

準々決勝、九州学院×福岡第一【大将】重黒木×内村

準々決勝、九州学院×福岡第一【大将】重黒木×内村|長い延長の末、重黒木がコテを決めた(写真)

試合は当然こちらが先だが、振り返ってみると九州学院としては準決勝とまったく同じ展開の試合だった。

先鋒福田、次鋒岩間、中堅池内ともに決まり技なく、梅林、御厨、谷口とそれぞれ引き分けに終わる。

副将小川がメンを先制するが、すぐに福岡第一の田城がコテを返して追いつきこの試合も引き分けて大将決戦となった。

そして重黒木は準決勝と同じように長い延長を戦った。延長7回まで打てる機会をじっと待って我慢し、仕切り直しの場面から内村のコテを狙い打ち。見事にとらえて福岡第一を振り切った。

■準々決勝 育英(兵庫)×福大大濠(福岡)

準々決勝、育英×福大大濠【大将】松澤×【副将】池田

準々決勝、育英×福大大濠【大将】松澤×【副将】池田|松澤が延長で池田にメンを決めた(写真は決まらなかった場面)

先行したのは福大大濠。先鋒の中山が大津からコテを奪って一人を抜き、次鋒阿部と引き分けた。

育英は中堅榊原が次鋒井上を下し追いつくも、福大大濠の濱地がメンを二本奪い榊原を下す。

育英は副将福岡が濱地からコテを先取するも濱地はツキを決めて追いつき引き分けとする。

福大大濠が優位を保ち、育英の大将松澤には倒すべき相手が2人残された。

ここで松澤が真価を発揮した。池田に対して延長2回でメンを決め木島を引き出すと、またも延長1回でメンを決め、2人を抜いての鮮やかな逆転勝利を演じた。

■準々決勝 水戸葵陵(茨城)×新潟明訓(新潟)

準々決勝、水戸葵陵×新潟明訓【大将】岩部×【大将】須田

準々決勝、水戸葵陵×新潟明訓【大将】岩部×【大将】須田|一本一本から岩部(こちら向き)がひきメンを決める

この前の7回戦では大将須田の3人抜きで、昨年2位の高千穂(宮崎)に鮮やかな逆転勝利を収めた新潟明訓。

その勢いをかってここでも先鋒田中が新谷に二本勝ち、次鋒木村と引き分ける。その後を受けた新潟明訓の次鋒渡邊は、中堅鈴木、副将棗田を連破し、早くも水戸葵陵の大将岩部を引き出すことに成功した。

しかしここからは岩部劇場となる。渡辺にはメンを先行されながらメン二本で逆転勝利。中堅富樫にもメンを先行されながらコテ二本で逆転を果たす。副将岡本にはメン二本を決めた。

そして須田との大将決戦、岩部がコテを決めれば須田もメンを返して追いつくが、最後は岩部が力強くメンを奪った。

何度も勝利まであと一本に迫った新潟明訓。3位入賞はならなかったが最も健闘をたたえたいチームだった。

■島原(長崎)×東福岡(福岡)

準々決勝、島原×東福岡【中堅】若杉×【中堅】樋口

準々決勝、島原×東福岡【中堅】若杉×【中堅】樋口|若杉が二本目のメンを決める

先鋒同士、次鋒同士が引き分けとなった後、中堅同士の対戦で試合が動く。若杉(島原)がメン二本で樋口を下し、まず島原がリード。若杉は続く副将原と引き分け、相手の大将中山を引き出した。

中山はこの試合まで島原の副将を務めていた内藤にドウとメンを決めて勝利を収め、黒川との大将決戦に持ち込んだ。延長2回に突入する勝負となるが、黒川がメンを決め、東福岡をなんとか振り切った。

2位・九州学院

2位・九州学院|重黒木祐介、小川大輝、池内暢斗、岩間功樹、福田敏樹、渡辺龍真、深水皓斗。監督=米田敏郎

3位・育英(兵庫)

3位・育英(兵庫)|松澤尚輝、福岡錬、榊原彬人、阿部壮己、大津遼馬、久住俊介、鎌浦光作。監督=飯田良平

3位・水戸葵陵(茨城)

3位・水戸葵陵(茨城)|岩部光、棗田龍介、鈴木龍生、木村恵都、新谷剛史、渡辺哉斗、渡辺颯斗。監督=君島範親

島原が九州学院を下し6年ぶり2度目の栄冠|平成30年度玉竜旗高校剣道大会 男子

2018.07.29