中村学園女子が昨年春夏に続き栄冠|第27回全国高等学校選抜大会【女子】

第27回全国高等学校選抜大会【女子】:優勝・中村学園女子高校(福岡)
優勝・中村学園女子高校(福岡)
妹尾舞香(2年)、諸岡温子(2年)、津野愛梨(1年)、大嶋友莉亜(1年)、奥谷茉子(1年)、中村果乃(2年)、坂元麗華(2年)監督=岩城規彦
試合リポート
第27回全国高等学校選抜大会
2018年3月26日~28日
愛知県・春日井市総合体育館
主催=(一財)全日本剣道連盟・(公財)全国高等学校体育連盟

中村学園女子高校(福岡)が制する

女子の決勝は昨年のインターハイ決勝と同じ対戦となった。

中村学園女子(福岡)と守谷(茨城)。2年生ながらインターハイ個人を制した妹尾が大将に座った中村学園女子は、それ以外の4人は昨年は昨年度のインターハイでは試合に出ていない。

一方の守谷は昨夏1年生ながら大将を務めた柿元と、2年生の髙野、野川の3人がインターハイを経験している。

ここまで準々決勝以外の4試合で勝利を収め、チームを引っ張ってきた中村学園女子の先鋒奥谷が、濱本からメンを奪い決勝でも勝利をあげる。

しかし守谷の次鋒髙野が目の覚めるようなメンを決めて一本勝ちし、1勝1敗とした。中堅以降は試合が動かず、そのまま大将戦となる。

妹尾と柿元は1学年違いだが、同じ福岡の今宿少年剣道部(妹尾)、福岡如水館(柿元)出身で、平成27年の全国中学校大会個人決勝を争うなど幼いころから競い合ってきた同士。

柿元としては1学年上の妹尾は大きな壁であろう。代表戦は当然両者が立ったが、9分を超えた戦いを妹尾がメンを決めて制した。

果敢に挑んだ柿元だったが壁を崩す突破口は今回も見つからず、最後はメンを決められて膝から崩れ落ちた。

■優勝・中村学園女子高校(福岡)の戦評

中村学園女子は、星城(愛知)との1回戦は中堅戦を終えて1勝1敗だったが、副将諸岡と妹尾が二本勝ち。

2回戦は佐久長聖(長野)に対し先鋒から4連勝で快勝した。

続く岡山商大附属(岡山)との3回戦は接戦となり、先鋒奥谷のあげた1勝を最後まで守って勝利を収めた。

奥谷が唯一引き分けに終わった三養基(佐賀)との準々決勝は、中堅津野が一本勝ちを収めると、妹尾の勝利で突き放した。

そして樟南(鹿児島)との準決勝は5人全員が勝利。

2月の九州選抜大会では準々決勝で三養基(佐賀)に敗退しており、序盤戦はまだ未完成のチームという印象があったが、先鋒奥谷が切り込み役を十分に果たし、妹尾は準決勝までの5試合が3勝2分という戦績だったが、引き分けは流れの中で無理をしなかった印象で、終わってみれば昨年同様付け込む隙のない試合ぶりだった。

今シーズン妹尾を倒す選手は現われるのだろうか。

■2位・守谷高校(茨城)の戦評

一方の守谷は昨夏のチームよりも一回り成長した印象。立ち上がりは苦戦し、新潟中央(新潟)との1回戦はいきなり代表戦となる。

先鋒戦で先行を許し、次鋒髙野の勝利で追いつくが、先行した副将阿部が追いつかれて引き分け、大将柿元も引き分けて代表戦となる。

ここは柿元が早い時間にメンを決めた。柴田(宮城)との2回戦は先鋒に濱本、中堅に福居を交代で入れ、中堅野川が引き分けた以外は勝利を収め4―1。東京学館浦安(千葉)との3回戦は先鋒からの3連勝で勝負を決めた。

準々決勝は甲子園学院(兵庫)との対戦。大将出口の決定力が目を引くチームだが、守谷戦では出口を副将に回した。

守谷は阿部を副将に戻している。甲子園学院の戦略は功を奏さず1勝1敗で迎えた副将戦で阿部が出口のメンを返しドウにさばいて勝利を収めると、大将戦も柿元が制した。

準決勝は左沢(山形)との対決。

先鋒戦を左沢の上野がメンの一本勝ちで制し、中堅戦で守谷の野川がツキで先制するも、沼島が追いつき引き分け。左沢の1勝リードで大将戦となるが、柿元が落ち着いた戦いぶりで眞崎からメンを奪って代表戦に持ち込む。左沢は先鋒の上段剣士上野を代表戦に送り込むが、柿元がこれを制した。

二度の代表戦を制するなど1年生大将の柿元は「無敵」という印象だったが、妹尾に対してはその雰囲気がまったく消えてしまった。

守谷としては決勝はリードして大将戦につなげなかったところ。直後の魁星旗大会も決勝は同じ顔合わせとなり、柿元は妹尾に敗れ同じ結果となっている。

■3位・左沢高校(山形)の戦評

守谷と準決勝を戦った左沢は、この大会では第1回大会を含む3度優勝。

平成19年の優勝以来12年ぶりの入賞となった。とくに注目されたのは1回戦の筑紫台(福岡)との対戦。筑紫台は昨年のこの大会で2位、2月の九州選抜では優勝を果たしている。

次鋒佐藤の一本勝ちで左沢がリードしたまま大将戦となり、筑紫台の津守が意地を見せて一本勝ちで代表戦とするも、佐藤と津守による戦いは、開始と同時に佐藤が上段からコテを決めた。期するものがあっただろう筑紫台は初戦で涙を飲んだ。

2回戦、3回戦は副将戦までに勝負を決めた左沢。

準々決勝は小禄(沖縄)の粘りにあい、先鋒上野、次鋒佐藤ともに先行するも追いつかれて引き分け。副将戦で鈴木が二本勝ちを収めリードするも、大将戦は小禄の與世田がコテを先取。しかし眞崎がドウを奪い返した時点で勝利を決めた。

■3位・樟南高校(鹿児島)の戦評

もう一方の3位は樟南。

鹿児島商工時代からの伝統校だが、女子の3位入賞は本大会、インターハイを通じて初めてとなった。

2回戦では近畿選抜優勝の須磨学園(兵庫)を3―0、3回戦は快進撃を見せた初出場の郡上(岐阜)を4―0と完封した。

島原(長崎)との準々決勝は1(1)―2(2)とリードされて迎えた大将戦で栁元が二本勝ちし、鮮やかな逆転勝利を収めた。

準決勝こそ完敗に終わったが快進撃といえる戦いぶりだった。

■大会を終えて

ベスト8のうち5校が九州勢となった。

沖縄の小禄は1回戦の東海大菅生(東京)との代表戦を與世田が制し、済美(愛媛)、高千穂(宮崎)を下して堂々の準々決勝進出。左沢にも食い下がった。

三養基も好チームで、2回戦、帝京第五(愛媛)には先に2勝をあげられるが、副将中村(萌)、大将中村(日)がともに二本勝ちで逆転、浜松望星(静岡)との3回戦は中村(萌)が代表戦を制した。

島原(長崎)は樟南に敗れてのベスト8止まりは悔しい結果。

九州勢以外のベスト8は関東の守谷(2位)、東北の左沢(3位)、近畿の甲子園学院という3チーム。

甲子園学院は磐田西(静岡)、高山西(岐阜)、長崎日大(長崎)を破ったが、勝負強い大将出口が副将に回った準々決勝で惜敗した。

■岩城監督一問一答

昨夏のインターハイ決勝と同じカードだったが、意識は?

いや、全然ないです。人は言うかもしれませんが、もう中身が全然違うのでと割り切って私はやっています。

去年のインターハイを経験しているのは妹尾選手だけでしたが……

そうです。だいぶ(チームづくりに)時間がかかっています。今でもまだよく分かってないことがいっぱいありますが、まあ何とか、伝統と運で……。

九州選抜大会では敗れていますが……。

ベスト8で負けていますし、いろいろな大会で負けています。

それでもここまでもって来られたのは……。

……よかったです。

今年はどんなチーム?

元々が妹尾中心のチームなんでしょうが、でもいつまでもそれではいけないので……。全体にサイズがちょっと小さいので、運動量を意識し、トレーニングでは力をつけるためにウェイトを重視しています。

今年は混戦かと思いましたが、戦っているうちに中村学園の調子が上がってきて、準決勝は5─0でした。

混戦だと思いますよ。(準決勝は)流れなんです。ちょっと間違ってもつれるとわからなくなるんです。

■決勝戦

相手がひきメンを打った後で攻め口を探るところにメンを浴びせ

決勝 中村学園女子(福岡)×守谷(茨城)
【先鋒】奥谷 メ─ 濱本
ここまで4勝1分でチームを引っ張ってきた奥谷が、ここも思い切りのいい動きで相手がひきメンを打った後で攻め口を探るところにメンを浴びせ、中村学園女子が先行

終了近くなって見事なメンを決める

決勝 中村学園女子(福岡)×守谷(茨城)
【次鋒】大嶋 ─メ 髙野
序盤から惜しいメンを見せていた髙野が、終了近くなって見事なメンを決める。試合は振り出しに戻る。流れを変えるメンになるか

妹尾が力強くメンに跳び込んで決めた

決勝 中村学園女子(福岡)×守谷(茨城)
【代表】妹尾 メ─ 柿元
中堅戦以降試合は動かず、大将同士の代表戦に。幼い頃から知っている同士、柿元にとっては1学年上の妹尾はまだ高い壁だったか、時間はかかったが妹尾が終始優位に試合を進め、柿元は必死に突破口を探すも見つからず、妹尾が力強くメンに跳び込んで決めた

■準決勝

大嶋はコテを奪ったあとメンに跳び込み

準決勝 中村学園女子(福岡)×樟南(鹿児島)
【次鋒】大嶋 ドメ─ 平山
先鋒奥谷が一本勝ちを収めると、大嶋はコテを奪ったあとメンに跳び込み二本勝ち。このあとも中堅津野、副将諸岡、大将妹尾まで二本勝ちを連ね、中村学園女子が決勝を前に完璧な試合を見せた

柿元がコテからメンに渡って決めた

準決勝 守谷(茨城)×左沢(山形)
【代表】柿元 メ─ 上野
先鋒上野の勝利で左沢がリード。中堅戦は守谷の野川が先制するも沼島が追いつき、そのまま大将戦へ。柿元は早い時間に眞崎からメンを奪い代表戦とする。上野との代表戦は7分を超えたが、柿元がコテからメンに渡って決めた。劣勢だった守谷だが柿元が地力を見せた

■準々決勝

妹尾が強烈なメンを浴びせ

準々決勝 中村学園女子(福岡)×三養基(佐賀)
【大将】妹尾 メ─ 中村(日)
中堅戦で中村学園女子の津野が上げた1勝のみで、1─0で迎えた大将戦。妹尾はまさに壁となって挑んでくる中村を跳ね返す。結局中村がかついだところに妹尾が強烈なメンを浴びせ、三養基を突き放した

阿部が出口のメンをドウに返し

準々決勝 守谷(茨城)×甲子園学院(兵庫)
【副将】阿部 ド─ 出口
甲子園学院は中堅杉原が一本勝ちで1─1とした。勝負強い大将出口をこの一戦は副将に配しポイントを奪おうとしたと思われるが、阿部が出口のメンをドウに返し、逆に再びリードを奪われる。守谷は大将柿元も勝って3─1とした

コテからメンに渡って二本目を奪い

準々決勝 樟南(鹿児島)×島原(長崎)
【大将】栁元 メメ─ 松田
副将岩永の勝利で島原が2(2)─1(1)とリード。ここで栁元は早々にメンの打ち合いを制して追いつくと、さらにコテからメンに渡って二本目を奪い、鮮やかな逆転勝利を収めた

メンを返してドウを決め

準々決勝 左沢(山形)×小禄(沖縄)
【大将】眞崎 ド─コ 與世田
先鋒、次鋒ともに左沢が先制するも小禄が追いつく。副将鈴木の二本勝ちで左沢が優位に立つも、與世田がコテを先制し最後まで粘りを見せる。しかし眞崎は與世田のメンを返してドウを決め、この時点で左沢の勝利が確定。大将戦は引き分けた

■3回戦

奥谷がメンを決め

3回戦 中村学園女子(福岡)×岡山商大附属(岡山)
【先鋒】奥谷 メ─ 石田
岡山商大附属は興譲館で実績を残した秋山勝監督が率いている。奥谷がメンを決め中村学園女子リードすると、以降は試合が動かず、岡山商大附属は最後まで一本が奪えずに1─0で涙を飲んだ

髙野はひきドウとひきメン

3回戦 守谷(茨城)×東京学館浦安(千葉)
【次鋒】髙野 ドメ─ 松谷
1回戦で本庄第一(埼玉)を下すなど健闘した東京学館浦安に対し、守谷は濱本が一本勝ちすると髙野はひきドウとひきメンを決めて二本勝ち。中堅野川はいったん追いつかれるもすぐにメンを奪い、前3人で勝負を決めた

樋口はメンを決める

3回戦 樟南(鹿児島)×郡上(岐阜)
【中堅】樋口 メド─ 蓑島
初出場ながら3回戦に駒を進めてきた郡上に対し、樟南は先鋒東が二本勝ち、次鋒平山も一本勝ちで続くと、樋口はメンを決める。さらに樋口はすかさずドウを奪い、前3人で一気に決着をつけた

與世田はメンを先取すると

3回戦 小禄(沖縄)×高千穂(宮崎)
【大将】與世田 メ─ 黒木
先鋒富田の一本勝ちで小禄が先行するが、高千穂は中堅藤枝の二本勝ちで一本リードする。そのまま大将戦を迎えるが、與世田はメンを先取すると、そのまま一本勝ちを収め逆転勝利を決めた

■2回戦

津野もメンを奪って

2回戦 中村学園女子(福岡)×佐久長聖(長野)
【中堅】津野 メ─ 栁平
先鋒奥谷、次鋒大嶋ともに一本勝ちを収めた中村学園女子。津野もメンを奪って一本勝ちを収め、快調に勝利を決めた。諸岡も勝って4─0とする

根来が開始2分ほどでひきメンを決め

2回戦 岡山商大附属(岡山)×東奥義塾(青森)
【代表】根来 メ─ 杉本
一昨年の覇者東奥義塾は1回戦を代表戦の末勝利。この試合も大将杉本がコテを決めて追いつき、2試合連続の代表戦となる。しかしここでは根来が開始2分ほどでひきメンを決め、岡山商大附属が勝ち進んだ

メンメンと攻めて二本目を奪い

2回戦 三養基(佐賀)×帝京第五(愛媛)
【副将】中村(萌)メメ─ 西原
三養基が先鋒戦を制するも帝京第五が奥田、須波の勝利で逆転。ここで中村はメンを決めて追いつくと、さらにメンメンと攻めて二本目を奪い、本数差で逆転。大将中村(日)も二本勝ちで続いた三養基が好勝負を制した

二本目のメンを決めた

2回戦 甲子園学院(兵庫)×高山西(岐阜)
【大将】出口 メメ─ 髙木
甲子園学院の先鋒須藤が勝てば、高山西の次鋒辻が追いつき、そのまま大将戦となる。出口は開始早々メンを奪うと、さらに惜しい技を連発し二本目のメンを決めた

■1回戦

佐藤が上段からコテを打ち下ろし一本とした

1回戦 左沢(山形)×筑紫台(福岡)
【代表】佐藤 コ─ 津守
昨年準優勝の筑紫台に対し、左沢は次鋒佐藤の一本勝ちで先行。大将戦で筑紫台の津守がメンを決めて追いつき代表戦とする。しかし代表戦では開始と同時に佐藤が上段からコテを打ち下ろし一本とした。筑紫台が初戦で姿を消した

柿元はツキを放ち

1回戦 守谷(茨城)×新潟中央(新潟)
【代表】柿元 メ─ 山田
先鋒戦を落とした守谷は次鋒髙野の勝利ですぐに追いつく。しかしその後は勝ちきれず、柿元も引き分けて代表戦となる。新潟中央は副将の山田を送り出した。開始1分ほどで柿元はツキを放ち、そこからメンにつなげて一本を奪った。守谷は薄氷の初戦突破だったが柿元には安定感があった

一瞬の隙に與世田がメンに跳び込んで決めた

1回戦 小禄(沖縄)×東海大菅生(東京)
【代表】與世田 メ─ 髙橋
中堅戦で一本ずつ取り合ったのみの5引き分けで代表戦となる。髙橋が積極的に攻めていたが、一瞬の隙に與世田がメンに跳び込んで決めた

■2位・守谷高校(茨城)

守谷高校(茨城)

2位・守谷高校(茨城)
阿部琴乃(2年)、野川真(2年)、髙野菜央(2年)、濱本芽倭(2年)、柿元冴月(1年)、福井永里子(2年)、小川渚(2年) 監督=塚本浩一

塚本監督のコメント

仕上がりとしては非常にいい仕上がりだったと思います。

去年のインターハイ準優勝を経験した者が3人残っていましたので、それが大きかったと思います。あとの2人がどれだけ3年生が抜けた穴を埋めてくれるかだったのですが、それは充分果たしてくれました。

(決勝は)悔しいですけれど、五分で大将に回したら今の力では勝てないですね。チームとして考えたら前4つで勝負しろというようなことは言ったのですが、結局(選抜大会のあと3月31日の決勝で対戦した)魁星旗でも同様の展開になってしまいました。

こういう大きな大会のときに子どもたちに話すのは、決勝まで6試合あるとすれば5割以上勝率をあげる選手が3人いないとダメということです。それができていたのが髙野と柿元だけで、もう一人いなかったということですね。

チームとしてはよくやったと思うのですが、決勝は副将までに勝負を決められなかったのが一番の敗因ですね。

柿元も守谷に来てから中学生のときは取れなかった技を打てるようにはなってきているのですが、妹尾さんも進化していますから、やっぱりまだ超えられてない感じがします。

柿元自身が「絶対にやっつけてやる」というより、「妹尾さんとあそこでやれるのが嬉しい」と、それだけで満足しているところがあると思うんです。それは柿元の優しいところなのか、そういう関係で小中学校から来てしまっているからお姉さんにはかなわないという気持ちがあるのか。それをこれから夏に向けて乗り越えてほしいなと思います。

■3位・左沢高校(山形)

左沢高校(山形)

3位・左沢高校(山形)
上野碧泉(2年)、佐藤桃花(2年)、沼島颯希(2年)、眞崎千尋(1年)、鈴木茉莉奈(1年)、高橋澄美(1年)、田中杏佳(1年) 監督=斎藤学

斎藤監督のコメント

本当にうちの選手たちは叩き上げで、全中大会はおろか東北大会、関東大会も出ていない。みんな県大会のベスト8止まりです。

そんな中、本当にコツコツと育てて、育ってくれました。部員は1、2年生で9人。2年生は3人しかいませんが、ハートがいい。素直で気持ちがいい子たちです。

怒られてもすぐ自分の非を認めて言い訳しない。1年生はまだちょっと言い訳するので、そのへんが成長できない要因なんです。

でも(3位入賞は)よくやったって褒めてやれますよ。

まあここで終わっていては先輩たちが築いた伝統に届いてないんだから、もっと頑張れとは言いますが。

練習の6割が稽古で、4割はトレーニングというスタンスは基本的にずっと変えていません。

剣道は稽古していればいいというのが基本的な考え方ですが、朝1時間、午後2時間、夜2時間やったとしても同じメンバーとやっていたら同じ成長しかできない。

それだったら0コンマ1でも早く跳べる、遠くから跳べるように基本的な部分のトレーニングをするというのが私のスタンスです。

高校野球には21世紀枠があります。今回、公立・県立校は女子で27校出ていますが、これから何年か経つと県立・公立は本当風前の灯火です。

剣道の普及発展を考えれば、私立が頑張るのがダメとは言わないけれど、県立の先生方もファイトを持って指導できるように、たとえば4校だけでも21世紀枠を設けてはどうだろうかと私は考えています。

■3位・樟南高校(鹿児島)

3位・樟南高校(鹿児島)

3位・樟南高校(鹿児島)
樋口もも(2年)、脇田えり(2年)、東奈々加(1年)、栁元有未(1年)、平山まりん(1年)、柿木心(2年)、有田澄(1年)。監督=猪俣征子

猪俣監督のコメント

今年は昨年のチームから全員入れ替わりのスタートとなりました。

7人中4人が1年生ということもあって若いチームだったわけですが、九州選抜大会がベスト8という結果で、ベスト4にはあと一歩足りなかったので、今回の全国大会でぜひ入賞をということで頑張りました。

ベスト4をかけての試合が同じ九州の島原高校だったので、九州大会の悔しさをもって戦いました。ベスト8と入賞ではまた全然違うので、そこで負けた悔しさを子どもたちがぶつけてくれたかなと思います。

(女子部創立以来初の入賞を果たせたのは)今年のチームはチームワークが素晴らしくよくて、2年生が後輩に対する気配りが非常にできているところがいいと思います。先輩後輩というよりもいい関係を保っていると思います。

昨年のチームが九州でベスト4に入っていて、昨年の方がチームとしていいという評価を受けていて、今年はどうかなと言われていたのですが、今までの先輩たちの伝統を引き継いで、そこを乗り切って頑張ってくれたのかなと思います。

今年だけの力ではなくて、今までの積み重ねではないかと思います。

写真=編集部、窪田正仁