2018年9月3日(月)
東京都・東京武道館
レポート=寺岡智之
写真=勝又寛晃
藤﨑、小松の2枚看板だけでなく4年生も躍動
11月11日(日)に愛知県で開催される「第37回全日本女子学生剣道優勝大会」へとつながる、関東地区の94大学による出場権争奪戦が東京武道館で開催された(※3校が欠場)。
これまで43回の歴史のなかで最多16回の優勝実績を誇り、前年王者でもある筑波大が優勝候補筆頭。レギュラー7名は粒ぞろいだが、そのなかでも翌々週に世界大会を控える日本代表の竹中美帆(3年)の存在が光る。
同じく日本代表の小松加奈(2年)を擁するのが明治大。こちらは7月の全日本学生選手権で日本一に輝いた藤崎薫子(3年)が大将に据わり、二枚看板で初優勝を狙う。
そのほか、昨年2位の日本体育大や、近年女子部のレベルアップを図っている中央大、名門国士舘大、強豪法政大などが虎視眈々と関東王者の栄冠を狙って今大会に臨んできた。
優勝候補が早くも激しく火花を散らしたのが2回戦、国士舘大と法政大の対戦。法政大は先鋒・髙城有芽野(1年)の勝利で先行したが、国士舘大も中堅・土井春奈(4年)の一本勝ちで試合をタイに戻す。
勝負は両校の大将による代表戦へともつれ込み、長い延長の末、国士舘大の井手璃華子(4年)が引きメンを打って勝利をたぐりよせた。
トーナメントは実力上位と思われた有力校が順当に上位へと勝ち進む。準々決勝には筑波大、国士舘大、日本体育大、順天堂大、明治大、東洋大、慶應義塾大、中央大の8校が名乗りを上げた。
準々決勝4試合はほとんどが一本を争う接戦となったが、唯一大きな差がついたのは中央大と慶應義塾大との試合。中央大は先鋒から副将までずらりと1年生を並べ、時田利瑚、小川燦、坂口未優の3名が白星を上げる。
強化2年目でレギュラーは1・2年生のみだが、そのポテンシャルをまざまざと見せつけられる結果となった。準決勝には中央大のほか、筑波大と日本体育大、そして明治大が勝ち上がった。
準決勝は筑波大と日本体育大、明治大と中央大の組み合わせで行なわれたが、試合展開は両極端なものとなった。
激しくぶつかり合ったのは筑波大と日本体育大。先鋒、次鋒と勝利したのは筑波大だったが、中堅と副将は日本体育大が取り返す。
そして本数わずか一本差で訪れた大将戦は筑波大の竹中が、猛攻を仕掛ける日本体育大の桑野こゆき(2年)の技を最後まで打ち切らせず、さばききって勝利をつかみ取った。
明治大と中央大の対戦は、明治大が先鋒・山﨑里奈(1年)、中央大は副将・坂口の一本勝ちで代表戦へと突入。
大将同士が進み出た勝負は、明治大の藤﨑がつばぜり合いから巧みな体さばきで中野を崩し、引きドウを打って緊迫した攻防にピリオドを打った。
筑波大の連覇か明治大の初優勝か、両校のプライドをかけて争われた決勝戦。先鋒、次鋒と引き分けが続いたが、中堅戦で勝負は動いた。
明治大の小松が対する佐々木を強気に攻めてコテを奪う。二本目開始からは小松が試合巧者ぶりを発揮し、時間終了まで一本を守り切った。
そして副将戦、明治大の4年生で唯一決勝のメンバーに選ばれた中原光紗が、同じく4年の進藤暖佳を相手に躍動。
進藤がコテを打って倒れ込んだところにメンを決め、その後も終了のブザーがなるまで必死に戦い抜き、大将戦を待たずして明治大に初優勝の栄冠をもたらした。
「藤﨑や小松、山﨑の力ももちろんですが、主将の柳本や水林など控えにいる4年生の力も大きかったと思います。レギュラー7人だけでなく、明大剣道部50人が最後まで諦めずに戦おうと一致団結した結果が、今回の初優勝に結びついたのだと思います」(大塚武男監督)
【全日本大会出場校】
筑波大、國學院大、国士舘大、立教大、日本体育大、駒澤大、順天堂大、大東文化大、明治大、平成国際大、東洋大、関東学院大、拓殖大、慶應義塾大、国際武道大、中央大、東京農業大、東海大