8月12日、インターハイ最終日は、団体戦のベスト16以上、個人戦のベスト8以上の試合が行なわれた。
男子団体は九州学院(熊本)が決勝で育英(兵庫)を下し2年ぶりの優勝、女子団体は中村学園女子(福岡)が決勝で守谷(茨城)を退け3連覇を達成した。
個人戦の女子は中村学園女子の大黒柱である妹尾舞香が2連覇を達成。男子は昨年2位の大平翔士(栃木・佐野日大)が栄冠に輝いた。
■男子団体
玉竜旗大会では前の選手が今ひとつ勝ちきれない印象があった九州学院だったが、本大会決勝トーナメントに入ってからは先鋒福田、次鋒岩間らがポイントをあげ勝ち進んだ。
準決勝では奈良大附属(奈良)に代わって次鋒に入った門間と中堅池内が敗れて0―2とされ、最大のピンチを迎えるも、副将小川、大将重黒木でひっくり返して決勝に進んだ。
一方トーナメントに入ってから万全の戦いを続け、しかも徐々に調子を上げてきたのが育英(兵庫)。準決勝は東福岡(福岡)を4―0というスコアで下した。
ともによく練習試合を行ない、手の内を知った同士の対戦となった決勝、予想通りロースコアの展開となり、先鋒、次鋒では試合は動かず、中堅戦の延長になって九州学院の池内がドウを決める。
しかし副将戦では育英の福岡が目の覚めるようなひきメンを決め追いついた。流れとしては育英に勢いがあり、練習試合でも育英の松澤は九州学院の重黒木に対し五分以上の星を残しているという。
大将戦、時間内には決着がつかず延長へ。その延長の時間も残り少なくなり、両陣営にも見る者にも代表戦が頭をよぎり始めたであろうその瞬間、重黒木が渾身の力でひきメンを放つ。これが決勝の一本となった。
■女子団体
昨年のインターハイ、今年春の全国選抜大会、魁星旗大会、夏の玉竜旗大会と連続して決勝は同じ顔合わせ。
今回も果たして中村学園女子(福岡)と守谷(茨城)の対戦となった。中村学園女子は東奥義塾(青森)との準決勝で妹尾が一本を奪われるという緊迫した場面を迎える。
中村学園女子の先鋒奥谷が一本勝ちの後、引き分けが3試合続いた後、東奥義塾の杉本がねじこむように妹尾からコテを奪う。
しかし妹尾は焦る様子も見せず、しばらく時間はかかったもののメンを奪い返すと、延長に入ってさらにメンを決めた。
一方の守谷は桐蔭学園(神奈川)との準決勝、中堅野川の二本勝ちで1(2)―1(1)といったんは逆転するが、桐蔭学園は勝負強い副将渡部がメン二本を奪って再逆転を果たす。
しかし守谷は大黒柱柿元が桜井からコテを奪って一本勝ち、代表戦に持ち込むと、渡部との対戦となった代表戦でも柿元がコテを決めた。
決勝は守谷が先鋒福居、次鋒内藤の連勝でいきなり王手をかけるという予想外の展開となる。中堅戦は守谷が3年生で主将の野川、中村学園女子が1年生の笠という対戦だったが、一気に決めたい野川に対し笠が殊勲のひきメンを決め一本勝ちを収める。
守谷は副将の髙野が諸岡に対して一本を取りに行くが、中村学園女子の二本柱に成長したと言っていい諸岡がそれを許さず引き分け。守谷が1勝リードで大将戦を迎えた。
幼いころから同じ福岡で競い合ってきた2人による大将戦。しかし柿元は一歳上の妹尾にはまだかなわななかった。
足を使って的を絞らせず攻めた柿元には惜しいメンも何本かあったが一本とはならず、妹尾は大将戦では柿元の攻めの間隙をぬってメンに跳び込み代表戦へ。代表戦でも3分弱でひきメンを決めた。
■男子個人
昨年のこの部門で2年生ながら2位となった大平翔士(栃木・佐野日大)。団体戦では予選リーグで悔しい敗退となったが、個人戦では延長戦の連続の中を粘り強く勝ち上がってきた。
決勝の相手は伏兵的存在だった加藤竜成(鳥取・八頭)。ともに長身ながら加藤の方が背丈がある。
決勝はともにここぞという機会にだけ技を打ち切るという展開だったが、延長に入って間もなく、大平がひきメンを放って一本とし、意外に早い決着となった。
団体戦では自分に回る前にチームの敗退が決まった大平だったが、時間制限のない個人戦での無類の勝負強さを見せた。
■女子個人
歴史的に見ても例のないほどの無双ぶりを見せている妹尾舞香(福岡・中村学園女子)。本大会でも当然のように勝ち上がってきた。
対するは愛媛・松山北高校の渡邊茜。団体戦には出場していないが昨年もベスト8に駒を進めており、今年も昨年以上の力を見せて決勝に駒を進めてきた。昨年の準々決勝で両者は対戦している。
渡邊をもってしても力及ばす、何とか妹尾の壁を破ろうと攻め試合は延長にもつれたものの、最後は妹尾がメンを決めた。その高い壁を崩す選手は今年も現れず、2年連続で妹尾が頂点に立った。